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オーナーの思い、小さな豆本にぎっしり詰まる

春を予感させるようなやわらかな陽が差しこむ三宮のオフィス街。

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見落としそうな場所に、そのカフェはある。

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〈カフェケシパール〉。

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暖かく見えていた町が寒く見えるほど、店内はさらに暖かな光。

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もこもこメニューはまるで苔むしたよう。

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120種もあるらしいチーズケーキを選ぶと、それに合うコーヒーが出る。

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昨日、7~8年ぶりくらいに〈カフェケシパール〉を再訪した。

今回頼んだのは定番の〈ザ・チーズケーキ〉。
4種のチーズを使用しているとのこと、口に運んでその複雑な味に驚き。
口に入れた瞬間は冷んやりツルンと固く、でもそれは一瞬でほろほろほどけ、瞬く間に口の中を満たす。
まるでアイスクリームのようだ。

そしてコーヒーが本当にこのチーズケーキに合う。
コーヒーだけで飲んでみると、まぁかなりのビター系。
配られた豆本にはケーキを飲み込む前にコーヒーを口に含むようにとある。
僕が刺身を食べるときにお酒を含むのと同じだ。
書かれてなくてもそうしたとは思うが、あらためて意識し、やってみる。
いや、これホント、すごい。
甘みから苦みへ、そしてその調和。
店ではこれを「マリアージュ」と表現するが、最高の余韻を楽しめる。

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メニューブックにはカフェを開くに至ったオーナーの思いが綴られる。

自分が笑顔でいる。
毎日を楽しんで生きる。
幸せな笑顔は、きっと周りも笑顔にする。
笑顔で笑顔を作る。

そんな思いがいっぱい手書きで書き込まれている。

店に大声でお喋りを楽しむ人はいない。
会話は極力トーンを抑えて、という店のコンセプトがあるからだ。

いいな。
自分の思いの表現。
共感した人が集まり憩う。
このカフェはオーナーの作品だ。

オーナーの思い、小さな豆本にぎっしり詰まる。

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(2022/2/10記)

チップなどいただけるとは思っていませんが、万一したくてたまらなくなった場合は遠慮なさらずぜひどうぞ!