楽しい時間はあっという間に過ぎる
ぐるめぐる神戸。
noteで数か月前から案内してきたこのグルメツアーをついに昨日開催した。
神戸観光といえば北野の異人館、東灘のスイーツ、レトロな旧居留地、キラキラのハーバーランドなどが王道。
でも今回は兵庫津、兵庫運河をめぐる旅を用意した。
港町として発展してきた神戸の礎ともいえる地域だ。
観光地化されていないこのエリアは、ふつうは行こうと思う機会もなく、ガイドしながらいっしょに歩くにふさわしいルートだと思ったのだ。
ご参加のnoterさんには未知の神戸を体感いただけたはずだ。
ただ一方で、そのマニアックなチョイスが参加人数そのものを大いに減らしてしまったのではないかという疑いもあったり。
今回ご参加いただいたのは、Ruby⭐︎さん、Roro 235さんの2名。
もう1名参加予定だったが残念ながら体調不良で欠席された。
この神戸街歩きには、Ruby⭐︎さんは皆勤賞の4回目のご参加、Roro 235さんは2回目だ。
お二方とも遠くからのご参加で本当に心から感謝。
Ruby⭐︎さんの、参加直前のつぶやき。
Roro 235さんの、参加後のつぶやき。
*
前半の兵庫津をめぐる旅はRuby⭐︎さんと2人でスタート。
では参りましょうと向かったのは現存最古のビリケンさん。
ところがこのエリア、道が非常に入り組み、初っぱなから現在地を見失う。
おかしいな、前に来たことあるのにな。
Googleの助けを借りるも、どんどん細道に分け入り、絶対私道だろうというところを突っ切り、なんとかたどり着く。
早くも気分は軽くヘトヘトだ。
ビリケンといえば大阪・通天閣、というのは誰もが認めるところ。
でも大正初年に作られた国内現存最古のビリケンさんは、実は神戸のこの幽玄な松尾稲荷神社に祀られている。
ビリケンさんは幸運をもたらすアメリカの神。
でもここに鎮座まします赤いおべべのビリケンさんは、なんと米俵の上に座り、左手には宝珠、右手には打ち出の小槌を持ち、大黒天風。
明治末に日本に入ってきたビリケンさんはその数年後には早くも日本化していたのだ。
ちなみに千葉・流山にも現存最古を謳うビリケンさんがいるらしく、ここ神戸のビリケンさんと微妙に1年2年の差を競っているというが、どちらも最古でえぇやんな。
松尾稲荷を出てすぐ横にこんな碑。
「ダイエー」の看板を掲げて日本に流通革命を起こした稀代の風雲児・中内功氏の実家跡だ。
父親がこの地で商っていた「サカヱ薬局」を、氏はさらに大きくする願いを込めて「大栄」すなわち「ダイエー」としたとされる。
ライバル・ジャスコ(現イオン)に飲み込まれるまで日本を代表したスーパー・ダイエーはまさにここから歩みを始めたのだ。
店舗としてダイエー第1号の大阪・千林と発祥の地を争っているというが、もうどっちも発祥の地でえぇやんな。
うららかな陽気の中、静かな兵庫津を歩く。
こんなレトロビルも残っている。
神戸の、そして日本の海運を支えた兵庫運河の入口には大きな水門が立つ。
水門の横の来迎寺には、兵庫を拠点とした平清盛が作った日本最古の人工島・経ヶ島の人柱となった松王丸の供養塔がある。
すでに付近は埋め立てられて地続きになり、経ヶ島がどこにあったかははっきりしないが、築島寺の別称からしてもこの付近であったと思われる。
昼はショッピングモールの中の寿司屋へ。
ショッピングモールと侮るなかれ、神戸中央卸売市場の真横という立地を活かし、新鮮プリプリなネタが驚くほどの安値で提供される。
運河沿いに整備されたベンチで青空コーヒータイム。
Ruby⭐︎さんとあれこれフリーランス談義に花を咲かせる。
キャリコンや編集を仕事として成り立たせるには、あるいは人前で話すことが得意な僕を活かすには…
Ruby⭐︎さんからはいろんな提案をいただいた。
ここでRoro 235さんが合流。
数か月前に足をケガし、まだ完治されていないRoro 235さん。
それなのにここ神戸まで駆けつけてくださった。
3人で向かったのは日本三大大仏のひとつ、兵庫大仏。
明治期には舶来する外国船にとってランドマークになったという。
奈良、鎌倉に続く3番目の座を全国各地の大仏が競っているが、もう全部三大大仏でえぇやんな。
運河プロムナードをゆったり行く。
この兵庫運河は、水面積34haの日本最大の運河だ。
往時は行き交っただろう船影はもはやなく、また一時期荒廃して悪臭を放ったという水もすっかりきれいになって、いまや市民の憩いの水辺。
小腹が空いたので、運河を離れてスイーツを目指す。
地元民に愛される町中のケーキ店〈ロビン〉へ。
さぁここでゆっくりくつろごう。
ん? いざ店に入ってみるとイートインコーナーがない。
やむなくコンビニでコーヒーを買い、公園でスイーツというハプニング。
3人の話題はなぜか日本の経済状況、インバウンド、インボイス。
フォークもなくかぶりついてムシャムシャ。
神戸といえば洗練されたスイーツにあふれるが、こういうのもいい。
そろそろ冷えてきた。
明石焼き、もんじゃ焼きの話から駄菓子屋の話になったところで、本日最後の目的地、神戸イチ有名な駄菓子屋〈淡路屋〉へ。
遠目にもあそこが店だと分かるほどの人だかり。
店内は所狭しと30円、50円の駄菓子が並ぶ。
店は名物おばちゃん一人が切り盛りしているのに、クレープ、卵せんべい、カップ焼きそばwithさまざまなトッピングなどフードメニューも豊富。
中高生が次々とミニクレープを頼むが、おばちゃんが1枚あたり30秒ほどの鮮やかな量産体制で応える。
ミニクレープ100円、子供にとってこんなに嬉しいおやつがあるだろうか。
大人の僕はやっぱりもっとお金を使っておばちゃんの苦労に報いなければ…
はい、ミニクレープバナナ100円。
す、すみません、中高生があまりにうまそうに頬ばるのを見て、つい。
またしても公園でパクついたら3口で食べ終わった。
クリームたっぷり、バナナの他に缶詰みかんも1切れ入って大満足。
帰りはJR和田岬線に乗車。
1駅だけの単線で、ここ和田岬駅が終着駅。
港湾の工場労働者向けで朝夕に数本ずつしか運行がなく、昼間はゼロ。
150万都市の神戸にもこんな路線があるのだ。
夕方の始発電車に乗り込み、運河をまたいで兵庫の町へ。
とくに鉄道好きのRoro 235さんにはとても楽しんでいただけた。
Roro 235さんとは三宮で別れ、再びRuby⭐︎さんと2人になり、最終飲み会。
阪急高架下の日本酒立ち飲みの名店〈スタンド・クラシック〉へ。
目立たない入口を探し当てて扉を開けるといきなり暗くて急な階段を上がる構造のため、初めてだときっと躊躇するが、階段の上の扉を開けるとそこはもう別世界、おしゃれな空間にジャズが響き渡る。
日本酒の立ち飲みなのに圧倒的に女性客で満たされている。
特徴的なのが、上階の低温日本酒セラーから好きな銘柄の一升瓶を選んで持って下りるとスタッフが注いでくれるサービス。
Ruby⭐︎さんも飲める方だから、2人でいったい何杯飲んだのやら。
ここでもたくさん話したが、ちょっともう記憶がうすぼんやり…
ぐるめ、そして、めぐる。
こうしてぐるめぐる神戸は幕を閉じた。
楽しい時間はあっという間に過ぎる。
数か月準備をしてきたから、終わってしまうとなんだかとても淋しい。
Ruby⭐︎さん、Roro 235さんとは道中、そして公園スイーツタイムでこれでもかというくらいたくさんおしゃべり。
お二方にとっても楽しい時間になっただろうか。
ご遠来、そして長丁場の街歩き、本当におつかれさまでした。
初回から数えて次は第5回。
2月頃の開催になるだろうか。
どこへ行こうか、今からもうワクワクしている。
(2023/10/29記)
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