言葉、そして習慣って実におもしろい
一昨日の記事で〈めばちこ〉の調査をした。
〈めばちこ〉とは、医学的には〈麦粒腫〉と呼ばれる症状で、東日本では〈ものもらい〉と呼ばれるもの。
数日前この〈めばちこ〉を発症したのをきっかけに、ふだんそれをどんなふうに呼んでいるか聞いてみたのだ。
そんな突然の呼びかけにもかかわらず26例も集まった。
個人的な興味におつきあいいただいた皆さんにただただ感謝である。
調査結果
結果は〈ものもらい〉がやや優勢。
内訳を見ると、〈めばちこ〉がもののみごとに関西ローカルと判る。
京都では〈めいぼ〉もあるので、〈めばちこ〉はもともと大阪・兵庫の方言といえるのかもしれない。
そして…島根の〈めまんじゃ〉とはなんじゃ?と言ってしまいそうな、おもしろい言葉。
治すためのおまじないも併せて聞いてみたが、ほとんどの方が「知らない」「眼科へ行く」「目薬を差す」とするなか、おもしろいものがあった。
お隣からおにぎりをもらうというのはおもしろい。
実際に宮城のnoterさんは、おにぎりをあげたらお隣の〈ものもらい〉が治ったのだそう。
そして、壁を挟んで呪文を唱えるのにもびっくり!
京都のnoterさんは「西遊記の金閣、銀閣みたいでおもしろく、何度もしていた。昭和10年生まれの母が、大正元年生まれの祖母から教わった」とのこと。
残念ながら僕の「へそに塩を詰める(へそじお)」というのはなかった。
あれはいったい何なのだろう。
ものもらいMAPでの分析
この26例を、ロート製薬の「ものもらいMAP」で調べてみる。
さすが目薬メーカー、おもしろいMAPを用意している。
ものもらい系
〈ものもらい〉の語源は、宮城のnoterさんの例にもあったように、「治すために人からものをもらう」行為から来ているそうだ。
てっきり、目の腫れが「もらったもの」という意味なのだと思っていたが、治すために「ものをもらう」のだと知って興味深い。
全国的にはこのほか〈めもらい〉〈めこじき〉などもあるらしい。
分布はこうだ(※色が濃いほど使用率が高い)。
めばちこ系
まったく語源が異なりそうな〈めばちこ〉も、ものをもらうための「鉢」から来ているという。
ものをもらうと治ると信じられているのが多いのは、「他の家の食べ物を食べると栄養バランスが改善されて不調が治る」からという。
それだとどんな病気も〈ものもらい〉と言ってしまいそうだけど。
北海道のnoterさんがあげてくれた〈めっぱ〉も、同じ「目+鉢」から来ている可能性があるそうだ。
めいぼ系
対して〈めいぼ〉は「目のイボ」という意味で、京都発祥だそうだ。
東西に広がって、〈めんぼ〉〈めぼ〉という省略形を生んだらしい。
めまんじゃ
そして独特な島根の〈めまんじゃ〉は、語源が不明だとか…
島根の中でも出雲市、隠岐でしか用例が見つかっていないとか。
語感からして朝鮮半島由来の可能性もある。
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昨日の調査であがったものだけでもこんなにバラエティ豊か。
言葉、そして習慣って実におもしろい。
ほかに、自分はこんなふうに言っていたけどそれってどのあたりの言葉?とか、自分の地域で他にどんな言い方がある?といった疑問は、このロート製薬「ものもらいMAP」で一発解決する。
関心ある方はぜひ覗いてみてほしい。
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ちなみに僕の〈めばちこ〉は完治しました。
優しいお声を多数いただき、本当にありがとうございます。
(2022/10/9記)
チップなどいただけるとは思っていませんが、万一したくてたまらなくなった場合は遠慮なさらずぜひどうぞ!