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日本人、悪いこと考えてる人少ないね

休みを利用してハーバーランドへ服を買いに行った。
スタバは朝から満席、あふれかえるカップル、子供の泣き声。
皆、長く続いた抑圧の時間を急いで取り戻そうとしているようだ。

なかなか気に入る服と出会えず、危うく手ぶらで悶々と帰りかけたが、すんでのところでいいジャケットを見つけた。

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ハーバーランドから西元町へ。
100m超のタワーマンションの腰巻は、かつてこの地にあったファミリアホール(旧三菱銀行神戸支店)の壁。
最近多いこの保存方法には、賛否両論ある。

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元町商店街を西から東へ歩いたが、思いのほか賑わいを取り戻している。
緊急事態宣言がいずれまた出るだろうことは誰の頭にもあるようだった。

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早くも正午、あちこち歩いて選んだのは、赤テントの中華料理〈祥龍〉。

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中華といっても、ここは満州・哈爾浜(ハルピン)料理。
カウンターだけのこぢんまりした店で、他に客はいなかったので、ハルピン出身という女店主とポツポツ話す。

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日本人、ハルピンのことほとんど知らないね。1300万人いてほぼ東京と同じ。地下鉄キレイ。

色鮮やかな、ズリ味つけ。

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辛さ大丈夫? と聞かれ、大丈夫大丈夫と笑ったが、後から来る。
甘辛ピリリ、ズリがゴリゴリ。

日本ニセ札ないけど中国いっぱいあるよ。でも最近皆ほとんどアリペイかウィチャットペイで、ニセ札の出番ないね。

焼き餃子はオススメの黒酢につけて食べると、まろやかな甘みとほどよい酸味でとてもさっぱり。
そういえば中国に焼き餃子ってないのでは?

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ないない。余った水餃子焼くくらいよ。この店全部手作りだけど、焼き餃子用の薄皮作れないから、皮だけ市販の買ってる。

皮は市販――先に聞いておくべきだった…
でも旨いのは、やっぱり手作りの餡がいいからだろう。

次から次へと押し寄せる旨さに乗じて、紹興酒をロックで。

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氷がカランと音を立てる。

日本人、悪いこと考えてる人少ないね。中国いっぱいいるよ。

サラミ似のハルピンソーセージは、豚カルビで作るそうだ。

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濃厚だが塩辛すぎず、カルビだからだろう、旨みが凝縮されている。

ごちそうさま。
飛び入りで入ったにしては、大当たりのハルピン料理だった。

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少し西に戻って、自家焙煎の〈はた珈琲店〉へ。

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カップは200客もあり、好きなのに淹れてもらうこともできる。

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マスターが手早く淹れてくれた〈はたブレンド〉。

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スッキリしすぎて物足りない?
いや、後味がすばらしく、冷めてくるとまた深みも出てくる。

ハルピンの余韻を消すのはもったいなかったが、消したかったのも事実。
さっぱりと落ち着いて、持参した古い文庫本を読んでいたら、隣がくゆらすピースの煙。

ハルピンにかぶせたつもりのコーヒーが、煙にかぶせられた。
続きは家で読もうと本を閉じ、すっかり冷めたコーヒーを飲み干した。

(2021/10/11記)

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へんいち
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