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僕はぐっしょり寝汗をかいていた

何の疲れかは分からないが、昨日はほぼ終日横になっていた。
肩こり、頭痛、異常な眠気。

僕はふだんいくら眠くても、よほどのことがない限り昼寝はしない。
起きた後しばらくボーッとする時間がイヤだからだ。

昨日は、そのよほどだったようだ。
朝食の後がっつり寝たし、昼食の後またがっつり寝た。
そんなこと10年に一度くらいしかない。

そして僕はおかしな夢を見た。

他人の夢ほどつまらない話はないという。
聞いたところで何の得にもならないからか。
今日は、そのつまらない夢の話だ。

***

ゼットンが家にやってきた。

ゼットン
『ウルトラマン』の最終回でウルトラマンを倒した最強の怪獣
(©TSUBURAYA PROD.)

家といっても、以前愛媛で暮らしていた村営住宅だ。
5年ぶりに見る旧家はとても懐かしい。
いや、懐かしんでいる場合ではない。
ゼットンがやってきたのだ。

でも、やってきたゼットンはどこかホンモノとは違う。
身長が2mほどと家庭サイズ。
ホンモノは60mらしいので、まずそこが大きく違う。
そしてなにより、ボディーがグラマラスなのだ。

やってきたのはご婦人のゼットンなのだろうか。
はちきれんばかりの胸が重そうだ。

ゼットンがやってきたとき、家には僕と、なぜか母がいた。
暴れ放題のゼットンは、家の中をめちゃくちゃにしていく。

母に、これはゼットンだ、怖いヤツだ、宇宙忍者だと説明した。
いきなり間違いだ。
「宇宙忍者」の別名がついているのはバルタン星人だ。

バルタン星人
『ウルトラマン』第2話に出た、知名度のもっとも高い異星人
(©TSUBURAYA PROD.)

フォルムが似すぎて間違ってしまった。
怪獣博士で鳴らした幼年期がすたる。

ゼットンが家の奥まで入ってきた隙に、僕は身をかわし玄関へ。
母もぎりぎり魔の手をすり抜け、玄関まで走ってきた。

しかしここで、お約束のように母が忘れ物を取りに部屋に戻る。
あ、ちょっと、それってゼットンに捕まるパターンのやつやん。
で、母はやっぱりゼットンに捕まった。

僕は家を脱出した。
僕が逃げればゼットンも母を放して追ってくると思ったのだ。
玄関を出て非常ハシゴを伝って田んぼに下りる。
視界の端にゼットンも玄関を出てくるのが見えた。
よかった、母は解放された。

僕は秋の田んぼの中を身をかがめて走る。
これならゼットンからは見えないはずだ。
でもどうせ、見えてなくてもこっちに来るんやろ?
で、ゼットンはやっぱりこっちに向かってくる。

大急ぎで田んぼを突っきった。
振り返るとゼットンは50mくらいのところまで迫ってきている。
もう逃げるのはムリだと観念し、どこか身を隠す場所を探す。

あそこに隠れよう!
一人がちょうど身を隠せそうな鋼鉄の箱があった。
いかにもだ。
いかにも、隠れる→敵が追ってくる→見つかる、の流れが予想された。
で、ゼットンはやっぱり僕を見つけた。

あぁ、いっかんの終わりだ…

「はい、1回目はいいよ。次捕まえたら終わりねー」
え、まだやるん?

***

ゼットンは気さくだったのに、僕はぐっしょり寝汗をかいていた。

(2022/11/8記)

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