伝統と格式を重んじて…あれ?
早くは1/7あたりから〈鏡開き〉の記事をちらほら見かけた。
そして1/11になると、多くの記事で一気に「鏡開きしました~」と。
みんな続々と鏡開き。
気が逸る。
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先祖である歳神様が家に帰ってきて滞在する期間を〈松の内〉という。
大正月から小正月まで(1/1~15)だ。
小正月は年明けに初めて迎える満月の日であり、暦の上でとても重要。
松の内の間、門松など歳神様が宿るべき松を飾り、小正月に〈とんど焼き(左義長)〉でそれら松飾りを焼く。
鏡餅も松の内の間は供え、鏡開きは1/20だった。
暦とも密接に関係する伝統の正月行事だったが、江戸時代に入り、ある将軍の一身上の都合から、松の内を1/7までに短縮し、鏡開きも1/11にする命が下った。
身勝手にもほどがある。
ところが、将軍の強権に誰しもひれ伏すと思いきや、従ったのは江戸ローカルのみで、全国でその命は無視され、鏡開きは1/20のままだった。
忙しすぎる現代、残念ながら多くの地域で1/11となってしまったが、関西は伝統の火を絶やさず1/20の鏡開きを続けている。
古来、小正月に〈元服式〉を執り行っていたから、〈成人の日〉もこの1/15に定められていた。
しかし、ハッピーマンデー政策によって成人の日は1月の第2月曜となり、さらに〈成人式〉の呼び名も〈はたちの集い〉などと変わり、もはや元服の意味も形骸化してしまった。
こうした変化も手伝って、小正月(1/15)を区切りとする暦はほとんど意識されなくなってしまったようだ。
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そして迎えた昨日1/20、鏡開き。
伝統と格式を重んじて…あれ?
もしかして、これ?
こんなだけど。
2個しか入ってないけど。
でもおいしいきな粉餅に。
ホンモノの鏡餅もお供えしたいものだ。
(2023/1/21記)
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