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さらに、オレンジワインについて

Vol.020
いままさに、ナチュラルワインがきています。
主がファッションエディター的な視点でとらえれば、『ブルータス』2022年6月1日号/特集“ナチュラルワイン、どう選ぶ?”が発刊されたことで、今後、さらに世代を超えてナチュラルワインに人気が集まる予感がします。
 
遡れば1990年代後半。
『ブルータス』がフルボディーの赤ワインを特集し、一気に花開いたワインブーム。それまでワインは、どちらかといえば趣向性が高く、一部のマニアが嗜んでいました。それが、日常的なレストランでも、グラスをクルクルと回す光景に出くわすようにもなったのです。
 
見過してはいけないのは、この図式です。
“フルボディーのワイン → ナチュラルワイン”

『ブルータス』のナチュラルワイン特集を企画した編集者は、「ここ数年で、レストランやビストロ、バーで飲まれているワインは、明らかにナチュラル系のワインに変化した」と気づいたに違いありません。
フルコースに合わせるワインから、軽食にも相性のいいワインへの意識転換は、これまでのワインの飲まれ方と、決定的に異なります。
 
先の図式は、こうもいえます。“重いモノから軽いモノへ”。
ワインだけではなく、食事、ファッション、インテリア、クルマ……、ライフスタイル全般に共通した価値観の変化です。
 
前回、書きそびれてしまったオレンジワインについて、もうひとこと。
 
ナチュラルワインは、玉石混交としたラインナップが実に挑戦的です。悪くいえば、飲む側にはよくわからないギャンブル的な一面がある。良くいえば、ワインの基準がゆるやかになって、ワイン選びが広がったことです。
そんなナチュラルワインのなかにあって、オレンジワインは、益々注目されるワインになると、主は考えています。
 
「こってりとした本格派」「軽くて自然な感じ」がお好みですか、というように、ワインバーでは、オレンジワイン選びの基準をそれぞれの表現で、飲み手に説明します。
色ひとつとってみても幅が広く、少し濁った浅いオレンジ色や、琥珀系の深い色味までそろいます。一般的に、「こってりとした本格派」とは、琥珀色系でアルコール度数が高いワイン。一方、「軽くて自然な感じ」は、ノンフィルターでボトル詰めした、濁りのあるアルコール度数が低めのタイプを指しています。
 
さて、ヴィーノサローネが販売するオレンジワインは、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のワイナリー「パラスコス」の“アンフォレウス リボッラ・ジャッラ 2015”です。
 
はじめて「パラスコス」をテイスティングしたとき、ユニークなエチケットに惹かれたうえ、かすかに濁ったブロンズゴールドの色味にやられました。グラスに入ったワインを見ているだけで引き込まれる色の世界です。
土着品種のリボッラ・ジャッラの香りがまた格別で、ピーチやアプリコットに、甘いアカシヤのようなにおいが漂います。タンニンと重なり合う果実味は、何杯でも飲みたくなるいいバランスです。
軽快さが先立つ12度のアルコール度数。オレンジワインをはじめて飲むひとにも、オレンジワインに慣れているひとにも、驚きの味わいだと思います。

まず、このオレンジワインを!
パラスコス "アンフォレウス リボッラ・ジャッラ 2015"

Instagramもどうぞよろしくお願いします。
次回の“ディアリオ ヴィーノサローネ”に続きます。


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