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アヌーナ*ケルティック・クリスマス2024

今日から待降節アドベントですね。

11月最後の日、横浜市青葉区にあるフィリアホールで行われた、アヌーナのケルティック・クリスマス2024にいってきました。

フィリアホールは駅前のビルのなかにある、こじんまりとした音楽ホールです。
数年前にドイツ人ピアニストのショパン・プログラムに当日券で突入したのが初めてでした(ショパンに狂っていた時で、前日もみなといらいホールでショパンを聴きにいってた)。
その時に感じたのは、「聖堂みたい」ということでした。
内部は船をイメージしているそうですが、私は教会のような雰囲気に感じたのですね。
だから、聖堂や地下墓所などで歌うPVが多いアヌーナには、ぴったりだと思いました。

アヌーナは、古くは千年以上前のアイルランドの聖歌や伝統曲、オリジナル曲を歌うコーラスグループです。
今回、楽器はほとんど使わない、ほぼアカペラのコンサートでしたが、むしろ楽器がないほうが、人の声のバイブレーションの凄さを実感できました。
最初の発声でじわっと涙が出る、という経験はなかなかできない気がします。

アイルランドのグループなので、全員アイルランド人かと思っていたらそうではなくて、ベルギーやフランスやイタリアなど、けっこういろいろな国の人が集まっていると初めて知りました。
メンバーが多くて入れ替わりもあるので、ぜんぶで何人いるのかよく知らないのだけど、今回の来日は12,3人くらいのようです。

始めに男性メンバーがステージに現れて、
そのあと、女性メンバーが客席の扉から通路に入ってきました。
彼女たちはずっとキャンドルを手にしていて、薄暗い客席のなかでキャンドルの灯りを手に歌う姿がとても神秘的です。

演奏曲は当日に決まるので、ホールごとにプログラムがちがうようです。
きのうはこの曲は歌われなかったけれど、雰囲気をとても思い出すので貼ってみます。フランスの古い古いクリスマスの曲のようです。

アヌーナの楽曲はあまり詳しく知らなかったのですが、数年前に松下奈緒がアイルランドを旅する番組で、教会の中でアヌーナが歌った「イルミネーション」という曲がとても好きで、今回思いがけず歌ってくれて鳥肌が立ちました。

「イルミネーション」は、400年前に亡くなった男性の墓碑に書かれた言葉に、アヌーナの芸術監督で作曲家のマイケル・マクグリンが曲をつけたものです。

ここを通る人は誰でもかまいませんから
これを読み 立ち止まり 涙を流してください
私はあなたのように生きていました
そしてあなたはいずれ今の私のようになるのです
私のために祈ってください

アイルランドのセント・マルトス教会
ジェイムズ・ゴールウェイ(1627没)の墓碑銘より

公式の動画もあるのですが、テレビで放送された映像がとても好きだったので。

さきほどInstagramにも載せたのですけど、
時代を超えて、昔生きていた人のメッセージが届く、というような時空を超える感覚が好きです。
中世写本が好きなのも、たぶんそのせい。
曲名が「イルミネーション」
写本装飾のことも「イルミネーション」といいます。

辞書を引いてみると、illuminationとは
「明るくすること」「啓示」
スピリチュアル・イルミネーションspiritual illuminationで「霊的な救いを探し求めること」という意味。
もちろん、写本のなかの絵の具や金泥による装飾のことも書いてありました。

はじめにこの曲の歌詞をみたときに
土の中の死者からのメメントモリ(死を想え)というメッセージに思えました。
でも、「あなたはいずれ私のようになる」というのは、
肉体から解放され、もとの魂の世界に戻る、という意味ともとれると思います。

「さくら さくら」や「もののけ姫」など、日本語で歌う曲もあり
不思議だけど、声がものすごく胸に響いて
こんなにいい曲だったっけ、と思いました。
加えてアヌーナ独特のアレンジもされているので尚更美しかったです。

「グリーンスリーブス」「スカボロフェア」「ダニーボーイ」など
おなじみの曲も。
おなじみだけど、あらためてしみじみ良い曲だと感動。

最近はゲームやアニメの音楽も歌っているそうですけど
私はゲームをやらないので、知らないのですよね。
でも曲だけ聞いても、とても素敵でした。

「エルサレム」という曲では、客席の通路のあちこちで歩きながら歌って
いろいろなところから声が反響していました。
ヘテロフォニーというもので、
同じ旋律を複数の声で即興なども入れて、リズムや音程にズレが生じることだそう。
こんな感じ。

キルモア修道院の聖歌のひとつで、「1601年、英国のカトリック司祭が自らの殉教の日に書いた、といわれています」とあります。

いわゆるわかりやすいクリスマスソングはあまりなくて。
でも、2部の最後に「O Holy Night」、アンコールの最後に「Ding Dong Merrily on High」がありました。

今日、12月1日は所沢、8日は三鷹、
7日はすみだトリフォニーホールで、能舞とのコラボレーションがあるようです。

なんだかまた生で聴きたくなってしまいました。
CD買おうかな・・・。

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フランチェスカ
書くこと、描くこと、撮ることで表現し続けたいと思います。チップは自分を豊かにしてさらに循環させていけるよう、大切に使わせていただきます。