持続可能な畜産は国産消費から
前回のつづき
「持続可能な畜産」というか、これからの世界の畜産と気候変動がどう変化していくのか、個人的な推測を語りました。
間単にまとめると
世界はざっくり先進国と途上国でわけて考えます。
先進国は、主にEU的な価値観で、代替肉や培養肉が盛り上がるし
そもそも肉を食わない選択が増えると思います。
ただ、もともとが肉を食いすぎなので、消費が減ったところで日本人の平均よりも消費量が少なくなるのかは疑問です。
途上国からすると、先に環境を破壊して発展した先進国のルールで縛って
後発国の発展する権利を奪うな!という主張で
まだまだ先進国のような大量消費を目指して邁進していきますし
栄養としてタンパク質不足のところに人口が激増するので
家畜の生産性を高めながら、数を増やしていくことを止められないでしょう
という予測でした。
今回は
そのつづきで、国内の話。
世界的に畜産業が批判されているポイントが
日本では当てはまらない場合も多いので
僕の主張
肉を食う頻度をやや減らして
国産の畜産物を食べましょうよ。
地産地消が気候変動対策にも生物多様性保全にもベターだよ。
というものです。
以下、環境負荷を国産牛肉と輸入牛肉で簡単に比較したものです。
ちょっと解説すると
まず①土地利用について
日本は国土が狭いので、広大な森林を切り開いて放牧地にしてしまうということはやっていません。
北海道の大酪農地帯は明治時代以前は原生林だった場所を切り開いているので
かつては環境を大きく改変して農地化したと言えますし、雄大な放牧地を「グリーンアスファルト」と呼ぶ環境活動家もいます。
とはいえ、現状は国産牛肉の消費によって破壊的な土地利用の拡大は想定しにくいでしょう。
②水利用
世界は各地で干ばつが起き、水不足が深刻です。
人間よりも家畜に優先して水を使用することが批判されています。
これも水資源が豊富な日本では当てはまりません。
日本で節水したところで、海外の水不足とは関係ありませんね。
③生物多様性
これは調査・情報不足ですが
主な生物多様性の損失は森林伐採などによるものなので
これも主に牛舎で飼う日本では影響が少ないと思います。
④フードマイレージ
食べ物が消費者に届くまでの輸送で排出される二酸化炭素量のことです。
日本は食を輸入に頼っていますから、フードマイレージは世界トップです。
地産地消、国産を選ぶことで環境負荷を減らせます。
⑤フードロス
これは主観が強いかもしれません。
地産地消になるほどフードロスが少ない傾向にあることと
日本は内臓までよく食べるので捨てられる部分が少ないことを根拠にしています。
これはきちんと調べる必要があるかもしれません。
⑥付属情報
・フレキシタリアン:肉を食べないのではなく、食べる頻度を減らす選択をするという意味で使用しています。柔軟な志向性ですね。
・国産牛肉の国内消費は景気がよい→一時的なもの
コロナで居酒屋チェーンが焼き肉屋に改装する事例が多く
講義の当時は国産牛肉の需要が伸びて景気が良かったのですが
やや落ちてきて、今後はどうなるのか読めません。
外国産の牛肉が中国に買い負けて大量輸入できない傾向は続くと思いますが。
今回は消費者への提案できることとして
牛肉を食うなら、国産牛肉を食おう
という話でした。
豚と鶏についてはやや専門外なので割愛しています。
そもそもベジタリアンになろう、という意見は否定しませんが
よりマイルドな選択肢と根拠は用意しておいた方が良いと思うんです。
肉を食いたいですし。
次回は生産者側に提案したいことに続きます。