【書評】上野千鶴子『女ぎらい:ニッポンのミソジニ―』③―男性論としてのミソジニー論
前々回および前回の記事では、「ミソジニー」や「ホモソーシャル」といった基本的な概念について説明しつつ、本書の具体的な内容を紹介してきました。
書評のしめくくりとなるこの記事では、上野がミソジニー論を男性論として立ち上げていることに注目して本書の主張をまとめつつ、主に文体的な観点から本書の欠点と思われる箇所についても言及していきます。
〇男性論としてのミソジニー論「ミソジニー」(女性蔑視)について論じたこの『女ぎらい』は、一見女性のための本のように見えます。女性差別の構造を