#140 指導要領違反がなくならない理由
奈良教育大学附属小学校での、
学習指導要領違反が報道されています。
この件については、
2つのベクトルを
同時に考えなければなりません。
1つ目は、
国によって定められている指導要領を、
教員の勝手な判断で、
取捨選択すべきではないということ。
「毛筆の授業は必要ない」
「順番を変えて指導したほうが教えやすい」
「教科書の教材は適していない」
同じ教員として、
気持ちはよくわかりますが、
あくまでもそれは主観です。
あなたにとっては正しくても、
そうは考えない生徒もいることを、
忘れてはいけない。
生徒の興味関心の方向は、
十人十色です。
全国あまねく、
多様な生徒のニーズに
アプローチするという目的において、
様々な内容を学ぶ
現行の学習指導要領は、
一定の意味合いを持っていると言えます。
特に多様な方面への可能性を秘めている、
義務教育段階では、
浅く広く学ぶ方式は有効です。
現場の教員の勝手な想いで、
この目的を変えてはいけないのです。
2つ目は、
指導要領の現代に合わせた改革を、
迅速かつ大幅に進めるべきだということです。
1つ目の意見と相反するようですが、
これはこれで進めなければなりません。
貨幣経済社会から
評価経済社会へと
社会の枠組みは大きく変化しました。
ネットワークを介した
コミュニケーションスキルや、
マネーリテラシー、
AIやWeb3.0などの新しいテクノロジーなど、
新たに身に付けなければならないスキルは、
大きく移り変わっています。
これらの指導内容を
盛り込むためには、
現行の指導内容を
取捨選択しなければならない。
しかし、
授業時間と人的資本は限られています。
先の事件も、
「あれもこれもと追加される指導内容を
定められた標準授業時数でこなしきれない」
という現状があったはずです。
学校体質としての風通しの悪さは
是正されるべきですが、
現行の学習指導要領が、
時代のニーズや現場の現状に
マッチしていないことも、
問題の理由として大きいのです。
外部講師を大いに活用しながら、
時代のニーズに合った指導内容の改変を、
ダイナミックに進める。
そのためには、
どうしても教育予算の拡充は必須です。
例えば、
義務教育段階では、
新たな時代のニーズに合わせた指導内容で、
浅く広く学ばせる。
中・高等教育段階では、
「普通科」ではなく、
より現代的かつ専門的な領域を学ばせる。
このように、
国が教育制度の
抜本的な改革を行わない限り、
現場が現代のニーズに合わせて、
勝手に指導内容を変えてしまうケースは、
これからもなくならないでしょう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/82b879d97d81d2b2c269b0da938f9a19cc11fb50