窓辺の少女/ヨハネスフェルメール(Girl by the window)
フェルメールといえば優しい日差しによる光と影を描いた画家として知られています。
映画『真珠の耳飾りの少女(Girl with a pearl earring)』でもアトリエ内の光を大切にする様子が描かれています。
映画ではアトリエを掃除していた使用人が「アトリエの窓を拭いてもよろしいでしょうか?光が変わってしまいます..」と言ったことをきっかけにフェルメール家に重用されていく過程が出てきますが、実際のフェルメールも光の加減には一番気を使っていたと考えられます。
フェルメールの作品は基本的に左上からのガラス越しの光が差し込んでいるのが特徴です。初期の宗教画や風景画を除けばすべてがこの光が描かれています。逆に言えば右側から光が差している『赤い帽子の女』は真作とされてはいますが、真偽が問われる作品でもあります。同様な構図の『フルートを持つ女』は先日フェルメール作品ではないと結論付けられました。
個人的な見解としてはフェルメールは下書きの代わりに「カメラオブスキュラ」を使用していたため、「カメラオブスキュラ」のセッティングを動かさない限り右側からの光は描けなかったのではないかと考えています。実際フェルメールの作品には通常のはっきりした下書きを描いた形跡がないとされています。
本作品『窓辺の少女(Girl by the window)』ではただ少女が座っているだけで背景や小物もないにもかかわらず、この特徴的な光のおかげでフェルメールらしさのあふれた絵画が完成されています。
未公開作品。制作年不明。収蔵元非公開。