Niiyama_Conductor

指揮者です。ドミニカ共和国の国立音楽院で教えています。

Niiyama_Conductor

指揮者です。ドミニカ共和国の国立音楽院で教えています。

最近の記事

小さな森のクリニック 1

そこは深い深い森の中。 都会から離れて少しずつ標高が高くなってくる。高山植物、見たことのないような形で緑と青と橙色が合わさったような苔が生えている。空気がキレイ。冷たい。そしてさらにどんどん進むと、とんでもなく大きく澄んだ湖があり、その周りの道を抜けるといよいよ針葉樹の山並みがつづく。そして深い森の中で車を止める。音はまったくない。車のドアの閉まる音がはっきり聞こえる。自分の足音も聞こえる。小動物も植物もない。ただ高い針葉樹の森の真下にいる。そんな音がない世界にぽっつりと小

    • 私がnoteをお休みする理由。

      noteは楽しい。読むのは。でも書き手となると、多分、日記のような、心のつぶやきみたいなものをnoteに書いて、それに共感してくれる人がいてくれると嬉しいから(❤️っていいよね。)しばらくやってみた。流行ってるようだし。んでも、それをある程度やると二つの問題に行き着いた。自分の表現力の乏しさと、音楽のことを書きたいとあんまり思わないこと。 表現力が乏しいというのは音楽で言うと、いろいろなアーティキュレーションやダイナミックス、絵で言うとパレットがあり、それを使えるか使えない

      • 左手のピアノ 2 右手人の世界

        じっとしているのも痛いので、明らかにピアノを弾く段階ではない。 三週間くらい安静。 右手がタコになっていると、色々なことに気づく。 ドアって右手側のハンドルの方が擦れてる。 水を飲みたいのに冷水の蛇口は右側にある。 包丁って左手で持てるの? ごめん左手さん。 世界は右手が中心にできていた。 多くのことが右手人の公約数で決まっていることに気づく。自分もすぐ前までそうだった。ドア。ハサミ。バイオリン。ギター。マウス。野菜を切る。蛇口。ハグ。頭を撫でる。頭を掻く。ド

        • クラシック音楽の演奏会の楽しみ方 ベートーベン、色彩、形容詞

          僕なりのオーケストラの聴き方、見方について話してみる。ぜひ近くの大学オケや市民オケに行ってベートーベンの交響曲を聴いてみましょう。聞きに行く曲があったら解説するので聞いてね。 やはり僕の場合、楽器の編成かな。見てるのは。 どの楽器がその時々でどの音を担当しているのか、じいっと見てる。 ああここはフルート!ここはホルン! んで、ベートーベンさんは耳がどんどん聴こえなくなったのにもかかわらず、オーケストレーションをどんどんすすめて行った人。食べ物に例えるのは難しいけど映画と

        小さな森のクリニック 1

          #自己紹介 ピアノの録音に向けて その一 80年代、絶対音感、団地

          もう何十年もクラリネット奏者の妻とクラリネットの教授のピアノ伴奏をして、30年以上もピアノを演奏しているのに、大学の時のピアノ科の試験で演奏したくらいで、ピアノのソロをまともに弾いたことがない。ましてやソロの録音なんかしたこともない。これじゃあかんと思って、今年は一曲でいいからちゃんとソロ曲を録音すると決めた。 これは何十年も漬けているぬか床があって浅漬けをつけないとか、折角祖母が大事にしてきた着物をもらったのに一回もきたことがないくらい残念なことだと思う。友人が海外の空港

          #自己紹介 ピアノの録音に向けて その一 80年代、絶対音感、団地

          2年越しのピアノのレッスン ラフマニノフの協奏曲第二番

          #未来のためにできること 去年から今年にかけてピアニストの生徒とラフマニノフのピアノ協奏曲第二番ハ短調のレッスンをしてきた。2年間にわたる大きなプロジェクトとなった。去年の3月に一回レッスンをして、今年の1月に一楽章を一緒に演奏して、三楽章は今年の3月にレッスンをつけた。今は来年の3月にオーケストラと一緒に演奏するための準備をしている。 ラフマニノフの二番目の協奏曲は、難曲中の難曲と言われる曲。 この選曲は彼のものでYoutubeで誰かの演奏を見て感動したから、自分も弾き

          2年越しのピアノのレッスン ラフマニノフの協奏曲第二番