小さな森のクリニック 1
そこは深い深い森の中。
都会から離れて少しずつ標高が高くなってくる。高山植物、見たことのないような形で緑と青と橙色が合わさったような苔が生えている。空気がキレイ。冷たい。そしてさらにどんどん進むと、とんでもなく大きく澄んだ湖があり、その周りの道を抜けるといよいよ針葉樹の山並みがつづく。そして深い森の中で車を止める。音はまったくない。車のドアの閉まる音がはっきり聞こえる。自分の足音も聞こえる。小動物も植物もない。ただ高い針葉樹の森の真下にいる。そんな音がない世界にぽっつりと小