牛飼い農家を伝える絵本がなぜ必要か
牛飼い農家の仕事を伝える絵本制作を応援するクラウドファンディングに向けて、一言メッセージを頼まれたので書いて送らなくちゃ。
ここに書きながら考えようと思います。
牛肉、豚肉、鶏肉、お肉を食べているほとんどの人は、その生き物(家畜)が飼われている生産現場を知らない。
「生産」という部分をになう仕事をする人のことを畜産農家と言います。
中でも今回は「牛飼い農家」に焦点を当てている。
子どもや若い人が、YouTuberに憧れるのはなぜだろう。
手の中のスマホでいつも見ているからだ。
動画でその人たちが、おもしろいことをして見せてくれたり、話題を提供してくれたり、回を重ねていくうちに、もっと知りたくなり、近づきたくなり、なりたいと思うのではないか。
人は、知らない職業に憧れることはできない。
関心を持つことも、想像することもできない。
まずは存在を知ってもらうことが、はじめの一歩なのだ。
大きな牛を飼うと、大きなうんちが出てくる。
知らない人はこれを臭くて汚いと思うだろう。けれど
これは発酵させて堆肥になる、土をよくする肥料になる。
農業とは、土地を耕し、そこから恵みを取り出す知恵と技のことで、
植物(稲や野菜)を育てて土を耕す方法と、家畜を放つ(飼う)ことで耕す方法がある。
うんちは捨てるものではなく、循環させる資源(必要なもの)なのだ。
牛を飼う仕事は、
母牛が子牛を生み、その子牛を大きく育てるところから始まる。
妊娠して出産までが10ヶ月(人間とほぼ同じ)、
生後、子牛の市場に出すまでが、ほぼ10ヶ月、
そこからさらに18ヶ月、大きく肥育する期間があり、
合計すると38ヶ月、3年以上を要する。(数か月の誤差はあります)。
お米なら、田んぼの土づくり、種籾を発芽させて、春に田植えをして、秋の収穫まで、長く見積もっても1年である。
農業とは、太陽、空気、大地、水、地球環境という自然の仕組みを生かして、命を育て、そこから恵み・ベネフィット・便益を得る仕事である。
子ども達がいちばん最初に憧れるのは、親である。
はじめて見る大人。
父や母に認められたい、あんなふうに何でもできたり、持てたり、
知ってる人になりたい。
次に、お店屋さんになりたい、ケーキ屋さんになりたい、
スポーツ選手になりたい、○○になりたい。
憧れるのはどれも、見たことのある人である。
子ども達がまず、農家(生産者)という仕事の存在を知ることである。
田んぼ、畑、牧場、子ども達に生産現場へ行く機会を増やしたい。
その前に絵本で、そういう仕事をする大人がいることを知ってもらいたい。
その出会いは実は、子どもが知る機会や職業の選択の権利になるだけでなく、農家自身が、子どもにわーと驚いたり、喜んでもらえる仕事を、自分はしているのだと自覚することで、仕事に対する誇りや励みになるのである。
憧れや、ハートは、循環しているのだ。
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