【カノッサの屈辱】恋愛ゲーム史(1979~1996) 土器メキと中央集恋体制の確立(1)
[やぁ、皆さん。私の研究室に、ようこそ。今回の講義は、諸君等にも大変なじみ深い存在であろう「恋愛ゲームの歴史」 であります…]
< はじめに >
バブルを謳歌し、時代を我が物顔で駆け抜けていった若き女性たち。コギャル、ブルセラ、援助交際…と、性意識が堕ちるところまで堕ちた女子学生たち。もはや現実世界には、異性の恋愛対象が存在しなくなってしまった独身男性たち。新たなる恋愛対象の発見と創造。 恋愛ゲームこそ、オタクたちが生み出した最大の発明である。
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なおこの文章・図像は、1990年~1991年にフジテレビの深夜時間帯に放送された伝説的テレビ番組 「カノッサの屈辱」 をもとに自作したものです。題材となった恋愛ゲームとその時代と歴史ともども、当時を知っている人知らない人それぞれ楽しんでいただけると本望です。また再掲するにあたり、歴史用語を2つ追加いたしました。
それから、祝!!ときめきメモリアル発売30周年! (ヴェーダまさし)
〈初出:同人誌・バーチャル義兄弟・より改作〉
〈2009年12月・補作〉
〈2020年3月・再補作〉
〈2024年5月・再々補作〉
◇ 伝説の深夜番組・カノッサの屈辱とは? ◇
ねこにこんばんは。JOCXTV+。
(♪ 服部克久『夕陽』)
~ 考古学者の研究室 ~
やぁ、皆さん。私の研究室に、ようこそ。
今回の講義は、諸君等にも大変なじみ深い存在であろう、
「恋愛ゲームの歴史」 であります。
80年代。劇的に変化していった男と女の関係……デート、ホテル、旅行、クリスマス……移り気な若い女性の、底なしに膨れ上がる欲望を満たすことでまた、その見返りによって己の欲望を満たさんとする男性たち。そんな男女関係を利用することで、莫大な富を得んとし暗躍する数多の資本家たち、あるいはそれに翻弄される社会。
これまでこの講義において、私が繰り返し申し上げてきたとおりであります。
そんな欲望渦巻く80年代の最中に、ひっそりと産声を上げた恋愛ゲーム。モニター上に描かれた、単なる白黒のドット絵に過ぎなかったものが、人格を持ち、言葉を語り、いつしか本当の恋愛対象となっていく。そして今や、生身の女性たちをも遙かに凌駕する力を手にするに至っている事実は、皆さんも良くご承知のことと思います。
果たして、恋愛ゲームはどのように進化し、また、どのように世の独身男性たちの欲望を結実させていったのか。特に今回の講義では、恋愛ゲームの創成から転換期までを、重点的にお話ししたいと思います。
では早速、歴史を紐解いていくことにしましょう。
< 古都より出土した遺物 >
現在、多くの独身男性たちにおいて、欠くべからざる存在となった「恋愛ゲーム」。だが、そこに至る道のりは、決して平坦なものではなかった。数多くの先人たちの知恵と努力によって、今日の「萌え」が支えられているという事実を我々は、一時たりとも忘れてはならない。
恋愛ゲームの由緒と面影を色濃く残し、今なお繁栄をきわめる古都アキハバラ。駅前の再開発事業にともなう、大規模な工事現場。
その現場より、先日、恋愛ゲーム史に於いて、大変重要な歴史的遺物が出土したという事実は、意外にもあまり知られていない。
裏側が、まるで鏡のように黒光りするまで丹念に磨き上げられ、中央に穴が開けられた青銅製の円盤型銅器。
「銅器メモ」 である。
ここに描き込まれている人物こそ、恋愛ゲームの歴史において、最も偉大な役割を果たしていたことが、後の学術調査によって明らかとなった。
凛として神々しい姿、その憂いを帯びた瞳に太古の昔、人々はどのような思いを委ねていたのか?遙か時を越え、再び現代に甦った太古の記憶は、我々に一体何を語りかけようと言うのか?
では早速、我々もその遙か遠い日の記憶に耳を傾けてみることとしよう。