思っていたよりずっとシビアだ
一人で四人の老後を担うこと。
その重みを今、改めて感じている。
茹だるような暑さの中、エアコンのついていない祖母の新居は、老人には少々酷だ。熱中症が怖いなと思っていたら案の定、病院に運ばれて点滴を打ったとのこと。言わんこっちゃないと思いつつも、どこかに避難させなければ、また同じことの繰り返しになるだろう。
ケアマネさんや伯父と相談の末、祖母をしばらくリハビリ目的の入院という形で避難してもらうことにした。気がしっかりしていて、丈夫とはいえ祖母は90代。もし一人の時間に倒れていたら手遅れになる可能性だってゼロではない。
家を離れるのが嫌だ、伯父が心配だという祖母に、長い目で見た時によくなる方を選んでほしいと必死に説得した。目先のことだけを考えるのではなく、長く今の家に暮らしたいのであれば尚更、今倒れてもらっては困るのだ。
私の言葉がほんの少しだけ届いたのか、予定していた日数の半分くらいなら入院してもいいという返事が返ってきた。とりあえず最悪の事態は避けられそうで一安心。細かいところはもう少しつめないといけないが、なんとか見通しが立ちそうだ。そこまで話が進めば、ケアマネさんが入院先を探してくれることになっている。
一方で両親の方も、仕事を辞めた父がずっと家にいることで、母のストレスが限界を超えたらしい。父は多趣味かつ出不精なので、家にずっといても平気な人だが、母はそうもいかない。
父の病気のこともあるので、健康確認を兼ねて連絡すると、いつにも増して母の愚痴が止まらない。よくもまぁそんなに怒ることがあるなぁと思うほどにカリカリしているのだ。
祖母や伯父の件を共有したかったけれど、とてもそんな雰囲気ではないので、静かに撤退。これに母の愚痴まで聞いていたら身がもたない。
お願いだから仕事に集中させてほしい。
仕事は仕事で山のようにタスクが残っているというのに、使える時間はほぼ全て家族のケアにあてられてしまうので、全然思うように進まない。
もどかしいし、焦りもある。
でも、それこそ長い目でみたときに今しかできないことをやる方が大事だと思って、今は家族のことを優先している。友人にも事情を話して、約束をリスケさせてもらった。
報われなくてもいい、八つ当たりされても平気、とはとても思えない。
イライラもするし、どうしてわかってくれないんだろうと悲しくなる日もある。というか、ほとんどがそんな日ばかりだ。もっと無関心でいられたらどんなに楽だっただろうか、と思った日も数えきれないくらいある。
それくらい、介護の現場はシビアだということがよくわかった。
血が繋がっているからとか、愛情のある家族だからとか、そんな綺麗事では到底割り切れない。お金も時間も体力も全て奪われてもいいという覚悟がないと、とてもできない。
そんな現実を噛みしめながら、どうにか日々歩き続けている。