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「売れる理由の言語化」に必要な失注分析の7ステップ

「たくさん『売る』ために営業力をあげよう。」
「そのために、セールス担当のスキルアップをしよう。」
「戦闘力の高いセールスパーソンを採用しよう。」

そう考えているマネージャーの方、いませんか?

何を隠そう、私自身が以前はそうでした。しかし、すぐに最高のセールスを採用できるわけでも、育成できるわけでもありませんよね。(それができたら苦労しない...)

つまり、現状の営業リソース、営業力で戦う必要がある。これは多くの組織にとっての事実です。

とすると、たくさん売っていくためには、営業個人個人のスキル向上だけでなく「サービスの売りやすさやツールの開発力」も重要になってくるはずです。

そのためにおすすめなのが、今回のテーマである失注分析。

・なぜ商談をしても買ってもらえなかったのか
・そもそも商談すらもしてもらえなかったのか

などの分析をしないままに「とにかくプロダクトの改善だ」と走りだし、頑張っても徒労に終わる。実際、先日のアンケートではなんと8割以上の企業が失注分析をしない、もしくは効果に自信がないと感じているようです。

実際これまでの経験からも、失注分析を元にさまざまな改善を行うことで、初回商談で終わるようなことが少なくなります。

そこで、どのように失注分析を進めているかをご紹介をしていきます。

💡 今回の記事は、カスタマーセールスシリーズの第2弾です。

①カスタマーセールスとは何か
②なぜ売れてるかを改めて言語化する ←今回
③既存顧客の市場を把握して、クロスセル/アップセルの戦略をたてる(今後執筆予定) 
④新規契約の売り方にFBする(今後執筆予定)
⑤事例ユーザーを作る(今後執筆予定)
⑥共創型ユーザーを作る(今後執筆予定)

※カスタマーセールスと言いつつ、今回は新規も含めた「セールス全体」に影響の大きいお話です。

失注分析の7ステップ

まずはじめに、7つのステップの全体像は以下の通りです。

  1. 失注したリストを準備する

  2. 失注要因を特定する

  3. 営業担当とリーダーで振り返りをする

  4. カスタマーサクセスや開発担当を含めて振り返りをする

  5. 失注要因を分類する

  6. 失注要因から課題を特定する

  7. 課題へのアクションアイテムを設定する

一つ一つ順番にご紹介します。

1.失注したリストを準備する

まずは、以下のように営業担当がそれぞれの顧客情報をリスト化します。

この段階で重要なのは「まずは空欄があってもいいので、箱だけ作ること」です。

失注理由を明確にし、きちんと分類しようとするとどうしても時間がかかりますし、頑張って埋めても不足が出やすいです。スピードと質を意識し、まずは箱だけ作るのがおすすめです。

なお、セールスフォースで「失注要因を選択式で管理して、理由を個別で書く」というのを普段から実施している会社であれば、セールスフォースでレポート作るのでOKです。

とにかくこの時点では「改めて入力、整理などに時間をかけないこと」を意識してみてください。

2.失注要因を特定する

次に営業担当が自分一人で失注要因の振り返りをし、先程の表に追記します。

ここで注意して欲しいのは「営業要因(個人の営業スキル不足)」と「それ以外」をきっちり分けて考えることです。

特に今回は商品やマーケティングのせいにすることもOKとします。言い換えると「他責でOK」ということです。

あくまで今回の目的は「今の営業力でも売れるためのサービス力向上」だからです。

...とはいいつつ、ついつい真面目な社員ほど自分のせいにしがちですし、失注した以上「個人の営業スキルおける改善点」はほぼ出てきてしまうと思います。

だからこそ、上司・マネージャーが「失注要因を記載するときに他責もOKだよ」と伝えておくのが重要です。

さらに、以下のように「営業スキル以外だとなにが要因か」という観点で、「失注要因(その他要因)など別の枠を用意するのもおすすめです。

参考までに、失注理由のサンプルとして当社の凡例をご紹介します。

<失注理由の判例>
・アポ不成立アプローチ先
・ニーズ違いニーズなし機能不足
※機能不足の理由が多ければ、個別の機能にわけてもOK
・予算なし
・取組みの緊急度
・現プロダクト/サービスで解決できない事由
・顧客の体制
※デジタルを実施する人がいないなど、全く組織がないケースもある
・顧客のwebインフラ
※これがないといくら契約しても成果が出ないなど明らかに自社のプロダクトよりも手前で整備いただく必要がある状態

3.営業担当とリーダーで振り返りをする

営業担当が一人で一通り失注要因の整理をしたら、次はリーダーと営業で個々の失注要因がどうだったかの振り返りをします。

リーダー側が注意したいのは「営業担当を詰める場にしない」と心に刻むことです。

特に売れるリーダーほど、自分に営業手腕がある分、他の人の営業手腕が気になり、つい詰めてしまいやすい...と経験上思います。

ただ「営業担当個人に営業力をつける」ことと「誰でも売りやすい状態を作る」ことを分けて考えてください。

今回はあくまで会社全体でパフォーマンスを上げるために、営業が売りやすい状態を作るのが目的です。

極端に言えば「営業スキルの弱い新人でも簡単に売れるサービス体制にすることが目的である」ということです。

4.カスタマーサクセスや開発担当を含めて振り返りをする

営業内部での振り返りが終わった後は、カスタマーサクセスや開発担当(できればPdMクラス)にも入ってもらって、一緒に重要トピックについての振り返りをします。

毎月開催するわけにはいかないので、四半期に一回が目安です。

そのうえで、失注原因を分類し、課題を特定し、アクションをおこないます。

ここからは実際に当社製品である「KARTE RightSupport」でどのように失注分析をし、改善していったかの具体例とともにご紹介をします。

解説のために、「KARTE RightSupport」を簡単に紹介します。

ユーザーがカスタマーサポートに問い合わせをすることなく、ユーザーのつまずきに合わせて、FAQや解決するチャネルをマッチングすることで自己解決を促進するサービスです。

例えばカスタマーサポートに問い合わせが来た場合に、問い合わせ前にユーザーのつまずきがどこで発生したのかを容易に把握できます。

そして、その個人のつまずきに合わせたFAQや解決可能な問合せのチャネルをwebサイトにリアルタイムに表示できるようになります。

また、そもそも「問い合わせをしてくれる」ユーザーの割合は少ないもの。

カスタマーサポートに寄せられるお客様の声は、全体の4%に過ぎず、全体の96%のお客様のお困りごとは、放置されていると言われています。

そこに対する分析やサポート、例えば「webサイトでお声がけをしなければ離脱してしまうようなユーザー」に、顧客の行動から先回りして、お困りごとに対する解決策を提示することで、離脱を回避することが可能になります。

KARTEが分析の基盤だからこそ把握できる情報で、他のツールでの代替は困難です。

5.失注要因を分類する

まずは営業で集めた失注要因を分類別にならべて、件数も見ます。

件数を見るとはいえ、「多ければ正」な訳ではなく、あくまで傾向値として把握し、一つ一つ分類ごとに振り返るのがおすすめです。

■KARTE RightSupportの場合■
KARTE RightSupportだと「取組みの緊急度」が比較的件数も多く、自分たちの製品にとっても重要だと判断した要因でした。
(細かい、具体的な失注原因の情報は、お客様の情報も関わるので細かくは書けないのですが...)

「取組みの緊急度」という要因の裏に隠されている本当の課題は何なのか?もし、製品自体に課題があれば、大きな方向転換を迫られる内容でもあるので。

6.失注要因から課題を特定する

次に失注要因から課題を検討します。

■KARTE RightSupportの場合■
「取組みの緊急度」が失注要因でしたので、「そもそも、なぜ取組みの緊急度が低いか。どうすれば上がるか」を分析します。

実施したのは、営業による失注顧客へのヒアリングです。ここでひとつテクニックですが「もし何かの要素が変わったら、取組みの緊急度が変わるんでしょうか?」と聞くと、結構教えてもらえます。

100%教えてもらえるものではありませんが、失うものはないのに得られるものはとても大きいので、勇気を出して聞いてみるべきです。

そして実際に聞いてみてわかったのは以下の通りでした。

  • もっとFAQをブラッシュアップし、ユーザーに疑問の自己解決をしてもらい、問い合わせを減らしたい。

  • KARTE RightSupportがあれば、カスタマーサポートへ問い合わせが来る前のデータを取れることはわかった。

  • 問い合わせ前のデータを取ったほうがいいことは理解できる。

  • ただ、すでに作った「FAQ」などあるものをブラッシュアップする予定があるので、そちらを優先したい。

  • 一旦目の前のブラッシュアップが終わったら、「分析するツール」も検討しようと思う。

こういった声がありました。

しかし何に困っているかのデータ取得の緊急度は上がらない。

つまり製品が問題ではなく「なぜKARTE RightSupportへの取組みの緊急度を上げないといけないのか伝わってないのかも?」と仮説を持ちました。

とすると、説明の内容や資料に問題がある可能性が高いです。実際に当時の資料は以下の通り。

※生資料のため、ずっとは公開しておけない可能性があります。早めにみてくださいね。KARTE RightSupportの前はKARTE Issuesという製品名で進めてました。

ではどうするか。

7.課題へのアクションアイテムを設定する

失注要因の課題が(仮に)特定できたら、具体的なアクションに入ります。

今回は、「失注した案件であっても、本来自分たちのツールの方が緊急度が高いはず。それなのに、それが構造的に伝わっていないこと」が要因だと判断しました。

そもそも、

  • どういうユーザーからの問い合わせだったのか

  • なぜ、その疑問が自己解決できなかったのか

  • ユーザーはどのようにして問い合わせまでたどり着いたのか

  • 問い合わせをしてこなかったユーザはどういう存在か

こういった原因がわからないまま、改善をしようとしても「ユーザーを見ておらず、意味がない改善が行われかねない」ということは想像に難くないですよね。

これが当初の説明では伝わっておらず、現状の改善を図る方が優先順位が高いという判断から、緊急度が上がらなかったのではないかと考えました。

そこで、これらを丁寧にわかりやすく説明して、理解を促すことが、商談の進めやすさに繋がるため、新たに資料を一枚作って、説明を変えることで状況改善を図りました。

その結果できたのが以下の資料です。実際に、初回商談で終わることは少なくなりました。

....と、このまま公開したかったのですが、流石に最新の営業資料をそのまま公開するのは難しかったです。すみません。

ただせっかくなので、特別に私のこのnoteを読んでくださっている方は、簡単なアンケートにお答えいただければ、ダウンロードOKにしておきました。期限は2022年3月末日までなります。

と、当時の失注分析の優先度から今回の記事では「営業資料の改善」のご紹介となりました。とはいえ、もちろん時期によっては「機能の改善」など他の改善が優先される場合もあります。

続けて書きたくなってきた...のですが、長くなってしまうので、失注分析「機能開発編」については、別の場でお伝えできればと思います。

また、関連するnoteは下記になりますので、こちらもご参考ください!

▼カスタマーセールス第1弾
https://note.com/vc_ii_1009/n/n352eb69e4633

▼受注分析についてふれたnote
https://note.com/vc_ii_1009/n/n84ac4c6eeb73

最後まで長文をお読みいただき、ありがとうございました!!!

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野村修平
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