駅伝日記#4:走れる楽しさ
私は、中高と貧血持ちでした。
長距離選手ではあるあるの症状で
悩まれている方
何らかの対策を取られている方が
多いと思います。
かくいう私もその一人で
貧血の種類と
その対策にはそれなりに詳しいつもりです。
ですが、それで一度大きな失敗をしたことがあります。
高校1年生のころ
当時の私は
貧血を治すために
鉄分を多く含む
食品やサプリメントを摂っていました。
ですが、改善されるどころか
ちょっと悪くなったりしてました。
おかしいなぁと思いつつある日
同じように貧血持ちだった先輩が
鉄剤をうってもらったと聞いたので
自分も通院しているクリニックの先生に
鉄剤をうってほしいと頼みました。
ですが、先生は
いい顔をしませんでした。
今、振り返ると
先生の対応は正常で
よっぽどじゃない限り
鉄剤をうつのは
自分の体に負担をかけるので
絶対しない方がいいです。
もし今、
自分が過去に戻れるのなら
ひっぱたいてでも反対します。
ですが、当時の自分はとにかく
貧血を治したくて必死だったんですよね。
これが治れば
これまでより速く
走れるようになると思っていました。
そうして半ば無理矢理にですが
鉄剤をうってもらう許可を得ました。
そうして開始した鉄剤治療なのですが
ある日突然、先生から即刻中止の
お達しを告げられました。
「肝機能障害」
こう私は診断されました。
と言うのも
念のため全身の状態を診るために
血液検査を行ったら
肝機能の項目数値が
異常に高かったんですよね。
基本的に
肝機能が異常値を示すときは
アルコール中毒のような方で多いため
検査結果をみた先生からは
「君、まさかお酒とか飲んでないよね?」
と疑われました。
もちろん高校生だったので
お酒は飲んでいなかったのですが
どうやら原因はアルコールではなく
鉄分の過剰摂取によるものだったらしいです。
これは、大学で栄養学を学んでから
知ったことですが
鉄分を過剰に摂りすぎると
肝機能障害を起こすことがあるらしいんです。
どんな栄養素も
1日に摂取していい許容量というのがあります。
ですが、当時の私は
多く摂れば摂るだけ良いと思っていたので
上限をはるかに超える鉄分を毎日摂取していました。
その結果、
自分では良かれと思ってしていたことが
全くの逆効果でした。
幸い、1ヶ月ほど安静にしていれば
自然に治癒していくものなので
そんなに心配する必要はなかったのですが
1ヶ月程、走ることは禁止されました。
まぁ、そのときは
膝も痛めていて
全身ぼろぼろ状態だったので
1回リセットするのに
いい機会だったかもしれません。
そうして無事、肝機能が正常に落ち着いてから
個別メニューでゆっくりと練習を再開し
ようやくチームの練習に合流することができました。
そのときの最初のメニューが
8kmを4分/kmペースからスタートし
後半ペースを上げて走るというものでした。
それまでの私だと
4kmくらいからきつくて離されていたので
このときも同じような感じになるかなぁと
思いながら走り始めました。
でも不思議なことに
4kmすぎても離されなかったんですよね。
それどころか
呼吸も身体も楽で
まだまだいけるとさえ思えました。
それもそのはず、今までの自分は
酔っ払いの身体で
標高2000mくらいの高地を
走っているような状態だったので
苦しくて当たり前だったんです。
むしろ、よくその状態で走ってたなと。
だから、そういったハンデが
すべて取っ払われ開放されたので
驚くくらい身体がよく動きました。
そして、このとき初めて心から
走るのが楽しいと思えました。
このときの感覚は今でも忘れないです。
「あぁ、走るのってこんなに楽しかったんだ」
ってうれしくって、楽しくて、涙が出そうな
いろいろな感覚が混ざり合っていました。
悩んでいた貧血も
肝機能が正常に戻ったら
ある程度回復したので
やっぱり知らず知らずのうちに
自分で自分の身体を痛めつけていたのだと
反省しました。
何事もそうなんですが
過ぎたるは猶及ばざるが如しという言葉が
ぴったりだと痛感する良い教訓になりました。
それでは、この辺で。
またね。