見出し画像

アムステルダムはうなぎの燻製【子連れ欧州ノマド前の読書旅1】


不要不急の参考図書


突然ですが、図書館のカフェが好きです。
土曜日、子どもを預けて、平日にやり残した本業や、副業を図書館ですることがあります。
併設のカフェは自家製ケーキとチャイが美味しくて、休憩時間につまみながら、図書館の蔵書でもある食エッセイやスイーツ系の本をぱらぱらと眺めるのは、至福の時であります。

そんな中に、これもありました。

2018年、毎日新聞出版


原田マハ欲、食欲、旅欲。
欲にまみれたアートファンを撃ち抜く軽妙グルメエッセイ。

「原田マハねえ。だいぶ読んだし、もういいよ~」。
まあ、でも、キャロットケーキのお供にはちょうどいいかな…

1時間後には、いそいそと貸出カウンターに持って行く自分がいました。

私は今、子連れ欧州ノマド旅の参考になりそうな本を探しています。
参考になりそうというのは、本当の意味で実用である必要はありません。
現地の情勢や移動手段など、最新情報はネットで拾うほうがいいでしょう。
(「地球の歩き方」一式は揃えて読み進めています。これも実に楽しい)

読みたいのは、旅先への想像を膨らませ、心を羽ばたかせてくれる本です。
そしてそれは、本書のように「不要不急」の本である場合が多いです。

けれど、そんな読書が一番楽しくはありませんか。
本は制約のない心の旅です。ノマドはもう始まっています。

旅先グルメ備忘録

本書にはマハ氏が拠点とするパリや、小説の舞台となったフランス各都市、ロンドンの記述が多いです。
私のノマド旅は、これらの都市は文字通りスルーします。

しかも現実には、アート界きってのエグゼクティブのグルメ旅を、子連れ貧乏ノマドが、そのままなぞるのは難しいでしょう。
とは言え、今回は無理でも、いつかチャレンジできるかもしれない。
参考になるかは、都合よく解釈していいのです。

ということで、訪問地にゆかりのグルメ情報を抜粋してみました。
情景が広がり、よだれがこみ上げてくる描写は、さすがマハ氏。
うまくいけば現地で食してみたいものです。
では、いざ。心のグルメ旅へ。

アムステルダム:うなぎの燻製

ゴッホ美術館があるアムステルダム。ノマド旅では、何度か中継地として立ち寄ります。

すぐにでもゴッホに会いに行くべきところだが、まずは地元の美味でお腹を満たして取材に備えねば…と、シーフードのおいしい店へ直行、オランダ名物・うなぎの燻製をいただいた。日本のうなぎ料理とはまったく違うのだが、スモーキーな味わいが脂ののったうなぎの肉をいっそうおいしく引き立てる。

単行本75P

クッ…。想像するに、ただの素晴らしい酒のツマミではないか。生牡蠣と白ワインと合わせてだなんて…。子供連れで再現は無理!
と思いつつ、もし手の届きそうな値段で見つけたら、ぜひ試したいです。

ローマ:アーティチョーク

人生で何度でも行きたいローマですが、私自身は初上陸です。
さて子連れ旅で、何をどこまで観られるやら…。

ローマには、カラヴァッジオが大好きだったという名物の食べ物、アーティチョークのオイル焼きがある。アーティチョーク(西洋アザミ)は、日本ではあまりなじみがないが、ヨーロッパでは一般的な野菜で、ごく普通に手に入る。
あるとき、カラヴァッジオは食堂で出されたアーティチョークの味つけが気に入らないと言って、給仕をなぐったという。

単行本139P

なかなか想像できないアーティチョーク。外皮をむいて食べる芯は、ほっくりサツマイモに似ているとか。なんとなくお正月のクワイを思い浮かべたのですが、違いますか?

ネットで調べると芽キャベツみたいな外観。うむ、素朴だからこそ、繊細な味付けが要求されるのかもしれません。
とはいえカラヴァッジオさん、現代ならカスハラどころか、逮捕よ…。

マドリード:子豚の丸焼き

ヘミングウェイが「日はまた昇る」を書いた「ボティン」というレストランがマドリードにあるそうです。
ヘミングウェイに心酔するマハ氏は、ここで彼の大好物だった「コチニージョ」を食します。

やわらかで香ばしい肉は滋味にあふれ、やめられないほど。結局全部平らげた。

単行本147P

あ…これは肉好きの夫も絶対好きなやつだ…。
ヘミングウェイもこれが好物とは、さすがワイルドで逞しいイメージを裏切りません。「日はまた昇る」をちゃんと読んでから、いただきたいですね。
そして子供と食べるなら、子豚ちゃんへの感謝と食育を忘れぬようにしないと…。

マラガ:回虫の?ピンチョス

ピカソの生まれたスペイン南端の都市マラガ。
アフリカ大陸に向き合う陽気な街と人々の気質が、ピカソの原点にあったのではとマハ氏は推測します。
「暗幕のゲルニカ」の取材で訪れ、バールでピンチョスを注文したそうです。

薄くスライスしたパンの上に、うにょうにょうにょ~っと白くて細くて長い塊がのっている。…(略)…私の目には、あの、その、か。回虫…のようにしか見えないんですが。

単行本149P

まったく食欲をそそられない描写です。
飲み込んだので、いまだに味は謎だとか。
マハ氏の謎を自分が解けるかもしれない!というミーハーなモチベーションのためだけに、試してみたい気がするようなしないような。

ヘルシンキ:「かもめ食堂」とコロッケサンド

誤解のないようにお伝えしないといけませんが…
本書に映画「かもめ食堂」の「コロッケサンド」が紹介されているわけではありません。
ヘルシンキといえば大ヒット映画「かもめ食堂」。
出演していた小林聡美さんが「かもめ食堂」設定っぽいCMで、作っていた「コロッケサンド」がめちゃくちゃ美味しそうだった!という小話です。

トーストした食パンに揚げたての熱々のコロッケと千切りキャベツをはさみ、包丁でさっくりとふたつに切る。そのときの「サクッ」という音が忘れられない。

単行本246P

うまっそ…!恥ずかしながら「かもめ食堂」未見の私には、映画にコロッケサンドが出てくるのかも、ヘルシンキでコロッケサンドが食べられるのかどうかも、分かりません。
ノマド旅の前に、絶対に「かもめ食堂」は観ておかねば…!アマプラでリストに入れています。
そして先人同様、遅ればせながら、ヘルシンキに行ったら「かもめ食堂」の食の幻影を探し求めそうです。

旅のお供:梅干し

ああ、これはぜひ実践したい。欧州ノマドは半年近くに及びます。
特に和食好きな子供たちの日本食ロス対策は、かなり重要なテーマです。
世界を駆け巡るマハ氏も同様のようで…

もちろんご飯と一緒に食べるのが理想的だが、そうはいかないときもあるので、私がやっている梅干しの食べ方は、即席「梅干しスープ」を作ることである。カップ一杯の白湯に梅干しを一粒、投入する。

単行本189P

これは実用的です。ぜひやってみたい。
問題は、梅干しをどう持ち歩くか。マハ氏は日本からタッパーに入れていくそうですが、移動が多い旅では汁漏れが心配です。
汁がこぼれないように厳重に袋詰めして、夏のヨーロッパ(南欧にも行く)で、キャリーケースに入れていても大丈夫かな…。
腐り止めとして知られる梅干しとはいえ、耐久性は調べていったほうがよさそうです。

アドバイスをいただきたいです。

ヨーロッパでの日本食ロス対策は、けっこう重要なテーマです。
とりあえず持参したいと思っているのは
・インスタントの味噌汁
・昆布茶
・電子レンジでご飯1合が炊けるどんぶり
かさばらず手間がかからず日持ちして、旅先の子供の胃袋を癒してくれるような…。もしアイデアがあれば、ぜひ、教えていただきたいです。

ノマド前のエンタメ渉猟、続きます。

【イラスト御礼】
keeさん、めちゃくちゃ美味しそうなイラスト使わせていただきました!
出発前に絶対うな重食べます。燻製じゃなくて。




いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集