キャリアプランニングを自分で始める方法
キャリアプランニングは、仕事で成長しキャリアアップするために非常に重要なプロセスです。あなたは自分のキャリアについて具体的な計画を持っていますか?キャリアプランを作ることで、昇進したりスキルを伸ばしたりと、目に見える成果を得ることができます。
今回は、キャリアプランを自分で進める方法とその理由について「令和5年度能力開発基本調査」のデータを利用してわかりやすく紹介します。
所属企業からの支援があってもなくても、自分の将来を描いて成長するためにできることを考えてみましょう。
キャリアプランニングの重要性
現在、キャリアプランを自ら立てようと考えるビジネスパーソンが増えています。調査結果によると、正社員の66.7%が「自分で職業生活設計を考えていきたい」と回答しています【source】。
これは、自分自身の将来に対して主体的に行動することが、ビジネスの現場での成長やキャリアアップに繋がるという認識が広がっているためです。
キャリアプランニングを自分で行うことで、成長を目指す姿勢が明確になり、日々の業務にも前向きに取り組むことができるようになります。
例えば、1年間で資格を取得し昇進昇格につながったり、新しいスキルを習得してプロジェクトのリーダーに抜擢されることもあります。こうした具体的な目標を設定し、それを達成することで、自分自信とモチベーションが高まります。また、自分のキャリアの方向性を見極めることは、仕事への意識を高めることにもつながります。特に、所属企業が提供するサポートがあれば、それを効果的に利用することで、さらに成長を加速させることが可能です。
ステップ1:キャリア目標の設定
まずは自分のキャリア目標を設定することから始めましょう。短期、中期、そして長期に分けて目標を考えることが効果的です。例えば、短期目標として「1年以内に資格を取得する」、中期目標として「3〜5年以内にチームリーダーに昇進する」、長期目標として「5〜10年以内に部門の責任者となる」などがあります。これらの目標を段階的に立てることで、達成感を得ながら成長を実感することができます。
企業の54.6%がOFF-JT(職場外研修)または自己啓発支援を提供しており、そのうち20.3%は両方を提供していますが、45.3%の企業はどちらも提供していません【source】。そのため、自己主導でスキルアップを図ることが非常に重要です。企業の支援がある場合は最大限に活用しつつ、自分の成長に向けた目標を設定していきましょう。
ステップ2:自己分析とスキルギャップの把握
キャリアプランニングの次のステップは自己分析です。現在の自分の強みや課題を理解し、目標に対してどのスキルが足りていないのかを明確にすることが大切です。
これには、SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威の分析)などが効果的です。SWOT分析とは、自分の強み(Strength)、弱み(Weakness)、外部からの機会(Opportunity)、そして脅威(Threat)を整理することで、自分の現在の立ち位置と将来のチャンスを明確にする方法です。例えば、自分の強みとして「コミュニケーション能力」を挙げ、弱みとして「技術的な専門知識の不足」を示します。機会として「新しいプロジェクトへの参加」や「スキルアップの研修機会」を見つけ、脅威として「業界の技術革新による競争の激化」を把握することができます。
具体的には、まず自分の得意なスキルや成功体験を書き出し、次に苦手な部分や課題を挙げます。その後、業界のトレンドや自分のスキルを活かせるチャンスを見つけ、最後に競争相手や市場の変化によるリスクを把握します。これにより、自分の強みを最大限に活かし、弱点を補うための行動計画を立てることができます。
調査データから、企業の79.8%が「指導する人材の不足」や「育成した人材の流出」といった人材育成の課題を感じています【source】。これは、企業だけでなく個人にも責任があり、自己成長に向けた取り組みが必要であることを示しています。自分自身で成長の道筋を描くために、まずは何が足りていないのかを把握し、それを補うための具体的なアクションを検討しましょう。
ステップ3:スキルアップのための具体的なアクション
自己分析が終わったら、次はスキルアップのための行動に移ります。例えば、新しい資格を取得する、オンライン学習を利用する、関連書籍を読むなど、成長の手段は多岐にわたります。
おすすめの資格としては、ビジネス英語の資格(TOEIC)や情報処理に関する資格(ITパスポート)、またプログラミングスキルを身につけるためのPython資格などがあります。オンライン学習プラットフォームとしては、Udemy、Schoo、テックアカデミー、Courseraなどがビジネススキルや専門知識の習得に役立ちます。また、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)や『仕事は楽しいかね?』(デイル・ドーテン)といった書籍もキャリアプランニングに役立つ良書です。
また、企業が提供するOFF-JTや自己啓発支援制度を利用することも効果的です。実際、自己啓発支援を利用することで、自己成長が促進され、キャリアアップに向けた道が開けることが多くの調査結果で示されています。もし企業がこれらの支援を提供していない場合でも、自分の将来に投資することは非常に価値があります。
ステップ4:キャリアコンサルティングの活用
キャリアプランニングを進める上で、キャリアコンサルティングを利用することも有効です。調査によれば、全体の41.7%の事業所がキャリアコンサルティングの仕組みを導入しており、正社員の71.0%が「仕事に対する意識を高める」ことを目的としています【source】。キャリアコンサルティングを受けることで、自分のキャリアに対する視点が広がり、新たな目標設定や実行計画の作成に役立つことがあります。例えば、キャリアコンサルティングを通じて、自分に合ったキャリアパスを発見し、転職に成功したり、社内でのキャリアアップを果たした事例があります。また、コンサルタントからのアドバイスを受けて具体的なスキルアップ計画を立てた結果、短期間で昇進につながった成功例もあります。このように、キャリアコンサルティングは自分のキャリアに対する方向性を明確にし、行動を促進する大きなサポートとなります。
例えば、キャリアコンサルタントに相談する際には、自分のキャリアビジョンを明確にして、それに向けた具体的な行動プランについてアドバイスを求めると良いでしょう。具体的な質問例としては、『自分の強みをどのようにキャリアに活かせるか?』『現在のスキルで次のステップに進むためには何が必要か?』『業界のトレンドに合わせてどのようにスキルをアップデートすべきか?』などがあります。また、相談前にこれまでのキャリアの振り返りや今後の目標をリスト化しておくと、より具体的なアドバイスを受けやすくなります。キャリアに関する課題を共有し、フィードバックを受けることで、自分自身の成長のために何をすべきかが明確になります。
ステップ5:定期的な見直しとフィードバック
キャリアプランは一度立てたら終わりではありません。定期的に見直しを行い、進捗状況を把握し、必要に応じて修正することが大切です。例えば、半年ごとや年に一度のタイミングで見直しを行うことが効果的です。また、毎年の昇給時やプロジェクトの終了後にも見直しを行うことで、状況の変化に応じた柔軟な目標設定が可能になります。これにより、自分の目標が現状に合っているかを確認し、モチベーションを維持しやすくなります。これは、目標達成に向けたモチベーションを維持するためにも重要なプロセスです。
以前投稿したこちらの記事も参考に
調査では、キャリアコンサルティングを受けた労働者の47.7%が「仕事に対する意識が高まった」と回答しており【source】、フィードバックを受けることの効果が明らかです。自己フィードバックを活用することで、目標に対する達成度を振り返り、次の行動に繋げることができます。
まとめ:自分のキャリアを主体的に築こう
キャリアプランニングは、自分の将来を形作るための重要なステップです。自分で目標を立て、それに向かって努力することで、ビジネスの現場でも自信を持って活躍できるようになります。また、企業の支援やキャリアコンサルティングを上手く利用することで、成長の速度を加速させることも可能です。
自分のキャリアは自分で築くものです。そのために、小さなステップから始め、一歩一歩進んでいくことが大切です。キャリア形成は長いプロセスですが、その過程での成長や達成感は、ビジネスパーソンとしての自分をより強く、より価値あるものにしてくれるでしょう。あなたも今日から、自分のキャリアプランニングを始めてみてはいかがでしょうか?
あとがき:副業推奨とキャリアの幅を広げる
今はVUCAの時代であり、どんなキャリアがいつまで通用するか見えない時代です。そのため、企業は社員のキャリアアップを支援しようと多様な取り組みを行っています。私が特に取り入れてほしいと考えているのが、副業推奨です。
私の勤め先では副業禁止規定がまだ普通に存在し、また中途採用も少ないため、社内の考え方が固着しがちで、イノベーションが起こりにくい状況です。しかし、キャリアプランニングにおいて副業が可能な環境であれば、より幅広いキャリアプランが描けるようになるでしょう。副業を通じて新たなスキルを身につけたり、新しい業界の経験を得たりすることで、自分のキャリアの軸をしっかりと定めることができます。
キャリアの軸が明確になったら、その上でサブプランを考えることを強くお勧めします。サブプランを持つことで、不確実な時代に柔軟に対応し、常に自分の成長と新しいチャンスに対してオープンでいることができます。企業に依存するのではなく、自らの未来を切り拓くための選択肢を持つことが、これからのキャリア形成において非常に重要です。
参考資料
調査データ:令和5年度能力開発基本調査 調査結果概要(104-05b.pdf)