48才 歳の数だけプチ事始め #42 月桃の実でお茶を作る
9月、お彼岸を迎えてもまだまだ暑い石垣島だが、秋を告げる印のように月桃の実が色付き、庭の隅や薮を彩っている。今年は初めて、月桃の実をお茶にしてみることにした。
沖縄県では至る所に自生している月桃。ハーブティーや月桃エキスを使った防虫剤など、様々な用途に活用され、抗酸化作用などの効能が確認されているにも関わらず、地元ではなんとなく月桃イコール雑草のような扱いを受けているように思う。もちろん沖縄でも昔から月桃の葉で包んだ餅菓子(ムーチー)や月桃の実を吊るしてヤモリ避けにするなど、日々の生活に月桃を活用したものはあるのだが、ワサワサ茂って大人の背丈を軽く越し、根を頑丈に張ってなかなか掘り出すのも大変な月桃に対する現代島人のスタンスはやはり「頑丈な雑草」のように感じる。
かく言う私も移住してきた当初こそ庭の隅に生えてきた月桃を大事に保護し、葉を乾燥させたハーブティーを作ってありがたく飲んでいたのだが、いつの間にか月桃葉のお茶作りにも飽き、そのうちに実を取ってお茶にするという目標を忘れていた。しかし、月桃の実が熟するのは一年のうち秋のこの時期のみ。快眠にも効果あり、とも聞いたので、満を持して今年は月桃の実を収穫してお茶を作ることにしたのだ。
まずはお試しで一房分の月桃の実を切り取り、一つ一つ房から切り離して網に入れ乾燥させる。赤く熟して中の種が見えるような実は既に乾燥しているのではとも思えるが念のため室内で陰干しした。
いよいよ抽出。本格派はヤカンに水と月桃を入れて煮出すらしいが、ハーブティー用ヤカンがないので熱湯を注いでよく蒸らすことにした。3時間ほど抽出したところ、シャンパンゴールドと琥珀色の中間のような色のお茶が出来ている。香りは月桃の葉のお茶と同じ、独特の爽やかな香りだ。口に含むと、さらにスパイシーな風味がありながらも、香りはきつくなく、私にとっては飲みやすいマイルドな味。飲んだ後も口に微かにスパイシーな香りが残り、シナモンなどをブレンドしてチャイのようなものを作るのもありかと思わせる。
月桃葉のお茶も美味しいが、大きな葉を洗って干し、小さく切る作業が面倒という事もあり月桃茶から遠ざかっていたが、実や種は小さいので扱う手間も少しは減らせる、という横着なメリットも魅力的だ。一年に一度の収穫期の今、月桃の実を摘んで秋のお茶として日々楽しもうと思っている。