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【エッセイ】ローソンさんありがとう
(ちょっと過去のお話)
明日の午後6時で、マンションの目の前のローソンが閉店となる。ここにはいつも、私がお風呂上がりにコーヒーを家族の分、買いに来ていた。
他にも、ゆうパックを出したり、コンビニ支払いのものを支払ったり、ポストに手紙を投函したり、ハガキを買ったり。もちろん、ウチカフェスイーツなども買っていた。
契約の10年が切れて、近くにセブンイレブンもあるし、イオンの近くにファミリーマートができることもあって、オーナーは続投を諦めたらしい。次は建物そのまま、酒屋になるという。
明日6時に風呂をあがっている可能性は低いので、今日最後のコーヒーを買いに行った。棚のモノはほとんどなく、コピー用紙も補充予定がなく、アイスコーヒー用のカップがないので、ホット用で代用だ。そんなの、もちろん構わない。
みんな、店長オーナーと、ずっと働いてたおばちゃんと、二人と握手して、ありがとうを告げて帰っていく。私がコーヒーを待っている間、カウンターでコーヒーを飲んでいた客のおばちゃんが、花束を二人に渡した。それから菓子折りも。
その後、卒然と感謝状(自作)を取りだし、読み上げた。途中で客も、店員のおばちゃんも泣きだした。ローソン○○店 ファン一同より、とくくられていた。
ここは確かに、いわゆる「コンビニ」の範疇を超えていたところがあった。最初は関与してほしくなかった客が、いつの間にか子供のバイト先の斡旋まで店員さんにしてもらったり。コンビニは店員と客のつながりは一過性のことが多いが、なぜかそれを超えて、介護の愚痴を言いあったりだの、ここの家族のお父さんはしばらくどこに出張だというのがわかっているだの、妙なつながりがあった。
うちも祖父母の代からお世話になっていた。
この店員さん2人にも、開業したときお知らせと名刺を渡しておいたので「何か相続とかでも困ったことがあったら」と言いかけたら「うちらは相続じゃなくて、実は…」と、ざっと困っていることを話してくれた。もちろん、細かい話は聞けないし、お客の前では話せないので、後日電話をもらうことになった。
握手をして、帰った。
アイスコーヒーの氷が完全に溶けていたことは、いうまでもない。
でも、ぬるくなった最後の一杯は、格別な味がした。