伴貞良

小説やエッセイを書いています。 三島由紀夫、ヘルマン・ヘッセ、井上靖、中島敦、開高健…

伴貞良

小説やエッセイを書いています。 三島由紀夫、ヘルマン・ヘッセ、井上靖、中島敦、開高健、森下裕美、榎本俊二、木城ゆきと

最近の記事

ちょっと仕事が忙しいと小説書いていられない、というのでは職業作家なんて夢のまた夢だわね~と思うんだけど無理なもんは無理よー。 せめてウルトラショートショートでも書きたいものです。 ただ写真を撮るだけなら現実の追認で楽なんですが、創作は脳の体力が必要ですね。

    • [創作メモ]芸術は癒やしであるという。

       人それぞれに形の違いはあれど、芸術が人にとって癒やしを求めるものであることは間違いなさそうです。  考えてみれば自分が若い頃、スラッシュメタルのような激しい音楽を追求したのも、ある種の癒やしを求めてのことだったのかもしれないなあ、と思います。  その癒やしとは、言葉からストレートに想起する「疲れた人にそっと毛布をかける」みたいな生暖かいものに限らず、時に暴力すら癒やしになることがあるでしょう。何であれ人が自分の心の欠損を埋めようとした時、その充填剤のことが癒やしと呼ばれ

      • [掌編小説] 他人事になるまで

         バイト先に出勤すると、いつもアホなことばかりしている同年代の同僚二人が仕事もしないで「一歩、二歩……まだだな」と自分たちの足を使って距離を測っているのに出くわした。  こいつら頭が悪い悪いと思っていたらついに鶏のレベルまで知能が下がったのかと思いつつ、一体何をやっているのか尋ねてみると、片方が「どこまで離れたら他人事になるか、調べてるんだ」などと言う。仮にこっちをアホAとしよう。 「ニュースでどっかの誰が死んだよく言ってるけど、あれ全部他人事じゃん」 「いやいや待てよ。他人

        • [掌編小説] ありがたみマシン

           二人の男が一台の機械を前に話し込んでいた。 「よくうちのことが分かりましたねえ」  片方の男が少々大げさに、心底感心したという顔をしている。どうやらこの機械を作っている工場の社長らしい。話しかけられた方はスーツを着てカバンを持っており、営業マンといった風情である。 「ええ、私どもも業界で長年仕事をしておりますから、蛇の道は蛇というやつでして」  営業マンはチラッと機械の方に目をやった。社長に説明を促すジェスチャーだった。それを受けて社長は低音のきいたバリトンで語り始めた。

        ちょっと仕事が忙しいと小説書いていられない、というのでは職業作家なんて夢のまた夢だわね~と思うんだけど無理なもんは無理よー。 せめてウルトラショートショートでも書きたいものです。 ただ写真を撮るだけなら現実の追認で楽なんですが、創作は脳の体力が必要ですね。

          [創作メモ]作為100%

           写真が本業なので写真と文章の対比にどうしてもなってしまうんでありますが(写真はここにまとまっとります)、写真はそこにあるものが機械を通して写されるので現実そのままと思われがちですが、言葉は正反対で、同時に同じものを見て描写しても同じになることはまずありません。  例外は「消しゴム」みたいに極端に抽象化した場合のみですが、言葉自体がそもそも抽象的で、しかも創作する場合、自分の頭の中にだけあるアイディアを言葉にして連ねていく必要があります。そこが難しくもあり、面白くもあるとこ

          [創作メモ]作為100%

          [短編小説] 妖精タカシの話

           タカシの体に生えた苔は、今朝まで降り続いた雨のおかげで全体的にしっとりと濡れていた。すでに太陽は高く上がっている。苔の中に昆虫か小動物か、何かしら生き物がもぞもぞと動き回っている。タカシはそれを知りつつ、身じろぎひとつしないで昔を思い返していた。歩道の上に横たわって動かないから時間だけはたっぷりある。  タカシの半生は、客観的に見れば悲惨そのものだった。  アル中で賭け事狂いの両親はタカシが中学に上がると同時に二人揃って失踪しており、それから一度も会わないどころか生死すら

          [短編小説] 妖精タカシの話

          創作メモ:たのしい

           わたくし本業は職業カメラマンと写真講師の仕事をしておりまして、ここ15年くらい、すべての物事を写真の目で見る訓練を続けていたのですが、ここ数ヶ月、よっしゃ小説でも書いてみっかというので、文章を書く視点、思考法というものを身につけるべくチャレンジしています。これが殊の外たのしい。  写真はひたすら実存の裏付けがあるのが前提で、写真があるということは、そこに写された何かしらは私達が肉体を持つこの世界で、少なくとも撮影時点に存在していたということであり、また写真はその証明として

          創作メモ:たのしい

          [掌編小説] 地下鉄にて

           夕刻、地下鉄待ちの列で、眼の前に並んでいる中年のおっさんの首の後ろに、0から10まで目盛りの刻まれた黒いノブがついているのが見えた。  はてスーツ姿のおっさんの首にノブとは一体、と、そのベークライト風の渋い艶を放つノブを観察してみる。古いフォントが刻み込まれ、白い塗料が流し込まれた目盛りは現在1で、ゼロでないところに意味があるようなないような感じだ。俺は真空管式マーシャルアンプのように掌でノブをギャリッ! と全開にしたくなる衝動を抑えるのに必死だった。  そんな俺の熱い視線

          [掌編小説] 地下鉄にて

          note再登録のようなもの

           ご無沙汰しています。伴貞良です。YouTubeを中心に写真界隈のあれこれについて話したり書いたりしています。  写真やカメラについて書く方はもっぱら伴貞良写真日誌に軸足を移したので、noteは皆さんの投稿を拝見するばかりになっていたのですが、文章表現を中心とした創作アカウントとして再始動しようと思います。  小説アカウントの皆さんとも是非交流したいと思っていますので、ひとつよろしくお願いいたします。

          note再登録のようなもの

          ウラジオストク訪問記(2019年11月)

           こんにちは。今回はウラジオストク訪問記を投稿したいと思います。  内容的にはひたすら私が写真を撮りながらウラジオストクの町をつぶさに観察した時に得た印象をお話する形ですから、旅行ガイドとしては残念ながらまったく役に立たないと思っていただいた方が良いでしょう。  写真を撮る人間ならではの視点というのが間違いなくありまして、一つの社会から飛び出した人間が別の社会に接触した際に、一体どういうものから違いを見つけ出すのかというような点にご興味がある方には楽しんでいただけるのでは

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          ウラジオストク訪問記(2019年11月)

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