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Vaio Stera ~転生先で推し変しかけてる~ 2章」#9 強情な騎士とどうしようもない偽花の二組の回 Vol.1

バーチャルの星海のとある収録スタジオにて。

ねおんわーるどとCat Flying Galaxyがコラボを行った後日に行われた反逆之従騎士達(リベル・サーヴァンツ)とFakers Flowerとのコラボ。

そこでは、新たな対決が生まれようとしていた。

そこで、ある意味口火を切ったのは、覇王ヴェインの叫びだった。

「やっぱり短いホラーゲームでも腕立て伏せしながらは無理だろう!!」

撮影をする直前、覇王ヴェインのツッコミから始まった。

それに対し、時光久遠多夢(ときひかりくおんたむ)は返し言葉で言う。

「スノウがあんな挑発で言ったからだ。あそこまで言うんだったら俺は全力で迎え撃つ。それだけだ」

スノウは、おどけた調子で久遠多夢をからかう。

「え~? いつもゲームプレイをダラダラ流してばっかだったから、ボクはそれに喝を入れただけだよ~?」

「上等だ。今回は配信じゃなくてもゲームの腕で圧勝している事をこの能天気男に叩き込んでやる」

まさしく、久遠多夢もスノウもバチバチといった様子。

周囲の静止など聞く気もないといった様子で、今にも始めろと言わんばかりであった。

「まあ、久遠多夢さんもスノウさんも意地が強い、ですからね。でも応援はするね」

「最初から普通にゲーム配信でコラボ、でも良かったと思うんですけどね……」

Fakers Flowerの女性組は、やれやれといった様子。

それに対し、りぼんにゅーは違っていた。

「勝てよすのう。あのプライドが高い奴等の鼻を一度折っておかなきゃいかん。まずは相手を鯖折りするとこから始めてだな」

「まあね~。お菓子を切るみたくサクッと任せといて」

余裕綽々といった感じのスノウ。それに対し久遠多夢は絶対に勝つという意気込みで言い返す。

「スノウ、お前は口だけじゃないっていうのは分かる。だが、今回ばっかしは、本当に口だけだったと体の髄まで切り刻まなきゃ気が済まんからな。あの時の台詞の狩りをカレーライス500倍の辛さでな」

「あの時~~~?? まあ覚えてるよ~~?」

でも、

「あれにそこまでの意味は無いんだよ~~~?」

〇ー〇ー〇

時間は遡り、バーチャルの星海のとある会議室にて。

「えー、今回は反逆之従騎士達(リベル・サーヴァンツ)とFakers Flowerでコラボをするのが決定した」

ガテリア・フォンドルフのその言葉を皮切りとして、会議が始まった。

「以前、ねおんわーるどがCat Flying Galaxyとコラボをしたという話は聞いただろう? そこでオレ様達もコラボをと思い、メッセンジャーに話を持ちかけた。割と早い返事で決まって、今回のコラボの話が決まったワケだ」

「ガテリアサンから話を聞いた時は、またとないチャンスと思いマシテ。是非トモOKにしました」

おおー、と声を上げるHALHAL。次に、感嘆の言葉を口に上げる。

「覇王さんはプロですからね。一度コラボして一緒に歌いたいなぁ、とは思ってました!」

「はは、恐縮です」

HALHALの賞賛の言葉に対し、そんな事はないと恐れ多いといった感じのヴェイン。

そこでなんだが、とガテリアが次の話を切り出す。

「実は事前にメッセンジャーPとやる事の会議を決めててな。キサマラにも聞いてもらおうとこうして集まってもらったわけだ。ちなみにやる事はこんな感じだ」

ガテリアは後方のホワイトボードに、企画内容を映し出す。

『シンガーコラボ:「騎士と花」 騎士と花がそれぞれ荒廃の地に立ち、歌を届けているというシーンを見せる』

『クリエイターコラボ:「騎士と花」のステージ作り、演出作り。テーマに合った雰囲気をクリエイトしてもらう』

『ゲーマーコラボ:別企画。別番組にて、対決企画をやってもらう』

なるほどー、というスノウ。そして、疑問の言葉を放つ。

「ボクと久遠多夢くんの分だけ雑じゃない? 具体的に何をやってもらうのかが決まってなくない?」

「まあ一度話し合いでどんなゲームがいいのか決めてもらおうと思ってな。オレ様達だけで勝手に決めるのは無しにしといた」

「物は言いようだね。まあいいけどさ。先、シンガー組どうぞ」

スノウから、促されるように、ヴェインは「お、おう」と質問に移る。

「俺が歌うイメージの詳細を聞きたいんだが、歌詞とかは、決まってあるのか? いやきまってあるのでしょうか?」

「聞きなおさんでもいい。まぁあれだ。厳つい騎士と花の妖精が荒廃した場所でも『生きている』というイメージを出してもらえたらと思ってればいい」

「それでも曖昧ですね……もっと『凛として立つ』とか、『騎士が花を支える』とかそういうのでいいですか?」

と、ガテリアの言葉に三億からの指摘。

「そこはまぁ、制作組の詳しい指摘が入るところではある。どんなポーズで歌ってもらうかは、二人の意見からも聞こうと思ってな」

「歌詞、いいでしょうか?」

HALHALからの要請に、ガテリアは資料の電子データを送る。歌詞を見たHALHALは、「んー」と唸り、これはといった感じに答える。

「私がよく歌っている感じの歌詞ですね。これにヴェインさんの個性をもっと出して言ったらいいんじゃないかとは思いますね。『枯れた地に咲く命』はわかりますけど、ヴェインさんいる? ってなりますね」

「たしかに……さっき言ったものとか『錆びに根付く一輪』とか、確かにHALHALメインになっているとこではあるな」

「わかった。制作組に伝えておこう。なんかこう、やりたいイメージはあるか」

というHALHALとヴェインからの指摘で、ガテリアは対応する事をもとめる。そこで、三億から提案が出た。

「素直に対決、というのは如何でしょうか」

「対決……?」

「ワタクシ達は今や、Virtual Battle Royaleに出る身。HALHAL様がただ荒野に咲く花というだけではなく、大樹でもある事を示していきたいものだと思ってます」

「大樹か……」

ふむ、と三億からの意見に納得の行くガテリア。そこでアイデアが決まったのか、ヨシと考えをガテリアは決める。

「分かった。シンガー組には対決として、『燃やしに来る騎士』と『負けない強い花の世界』の対決をイメージとして」

「いや、騎士と妖精の対決でいいです……」

そうか、ならそれでいいな。とHALHALの指摘に答えるガテリア。

「では、次はクリエイト組で何を作るかの会議を決めてもらおうか」

「わかった。わたしとしてはまずどっちがキービジュアルを作るのかを決めたいのだが」

そう切り出したのは、りぼんにゅーだった。

「三億とわたしでは、まずデザインできる方向性が違うだろう。よって、まずどっちが指示を出すのかを決めて作りたいのだが」

「あら、それでしたらワタクシが指示出しで、りぼんにゅーさんが制作というのはいかがでしょうか?」

「どういうことだ?」

「りぼんにゅーさんは、人に指示を出すタイプというよりも、自身の手で制作をして形作るのが性格的には合っているとは思います。なので、ワタクシがまずデザインの方向性を決めて」

「待て待て待てなんで勝手に決めてるんだ。大体デザインの方向性指示は共同でもいいだろう?」

「いやぁ、HALHALお嬢様の世界観を勝手に決められては困るものでして」

「それならその部分だけお前が制作すればいいんじゃないか?」

「それに合わせる分をワタクシの方でも決めさせていただこうかと思いまして」

「なんだと? 領分より外の事はお前だってできないだろう?」

「マァマァ、落ち着いてください」

次第に三億とりぼんにゅーがヒートアップしてた為、メッセンジャーPが止めに入る。

「確かに、三億さんはこの中で最もHALHALさんの世界観を作り出す事ができます。ですが、りぼんにゅーさんがいったとおり、ヴェインさんの世界観はいかがでしょうか。それなら、三億さんだけで決めるのは少々キツイように思われます」

「ですが、やはりどっちかがディレクターの役割を担わないと、デザインが乱雑かしてしまいますよ?」

「そこは一理あるが、だから出来る分はそれぞれでだな」

「なら、二人して作りたいものを全力で『創造』しようよ。その後に『合体』なんてのはどうだい?」

悪い雰囲気の中、そう切り出したのは、スノウだった。

「すのう?」

「おたがい、別チーム側の世界観というのは作れないんだしさ。今まで考えてきたデザインコンセプトが違うんだし。それなら、各々で作りたい世界観を創り上げて、その世界観をソングバトルよろしくぶつければいいんじゃないかな」

なるほど、という三億セレナ。

「それもそうですね。では、こちらで好きにさせていただきまして、全力でりぼんにゅー様の世界観を塗り替えさせていただこうと思います」

「上等だ。お前のチョコケーキを生クリーム色にするぐらい塗りつぶしてやる」

「あら、より良い味わいになりそうですね。下地になる覚悟がおありのようで」

「お前の場合もっとも、添え物以下だろうしな。お通し以上に記憶に残らないだろうな」

「なんでお前らそうバチバチなんだ……」

りぼんにゅーと三億セレナがお互い喧嘩腰になってる事に、いたたまれない様子の覇王ヴェインだった。

さて、と話を繋げるガテリア。

「クリエイト組の喧嘩はほっといて……ミュージックビデオに関しては、大体決まったな。所でゲーム企画なんだが」

「シンプルに、対決企画でいいんじゃないのか?」

そう提言するのは、久遠多夢だった。

「俺とスノウ自体、大体の配信企画は対決をやっているしな。多分対決をやれば盛り上がって」

「もう飽きられてると思うよ、多分。どうせダラダラするし」

そう切り返したのは、スノウであった。どういう事だ、と若干怒り気味に久遠多夢は聞き返す。

「ボクの方でも、何回かヴェインちゃんと対決ものやってるけど、ここのメンバーってもう何回も対決ものやっていると思うんだよね。だから、もっと別のアイデアを出す必要があるんだ。といっても、対決にはなる。けど、違うやつさ。そこのダラダラばっかりのゲーム配信者と違って、良い物ならある程度考えてはいるんだよね」

「別にダラダラしてるばっかりじゃないけどな。時間の共有ってやつだが?」

「何を思いついてるんだ、すのう」

りぼんにゅーからの質問に、それはね、と答えるスノウ。

「ゲーム実況。それも、動画なんてどうかな」

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