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抗う練習 〜読書感想〜

抗う練習
印南敦史
フォレスト出版

を読みました。

以下、感想です。


1.どんな本

作家・書評家である印南敦史さんの抗ってきた歴史と抗うことと?が学べる本。
本書の後半には、"抗い続ける人"として、和歌山カレー事件、林眞須美死刑囚の長男とのロング対談が収録。(以下、長男さんのことは本書にならい、林くんと記載します)

250ページで読むのに負担がかからないページ数でしたが、ロング対談を読み始めると、やめられず、一気読みしました!

2.心に残ったフレーズ

起こってしまったことを変えられないのだとしたら、すべきことはただひとつ。
「では、ここからどう進んで行くべきか」を考えることだ

抗う練習 p41

当事者との距離が広がるほど、つまり「自分には関係のないこと」として語れる立場であればあるほど、人は無責任になるかもしれません。その結果、外野の傍観者でしかない人たちは、言いたいことを口にしてしまうことになるのでしょう。

抗う練習 p144

3.私が、この本を手に取った理由と感想。

私がこの本を「読んでみたい!」と思ったのは、帯に、和歌山カレー事件の長男との対談が収録されているという文言を見たから。

抗う練習 帯の文言。

*フォレスト出版さんのこのnoteに対談を結構した理由が書かれていますので、気になる方は是非↓

私は、以前、心理士として児童相談所で保護された子供達や児童養護施設の子供達と関わる仕事をしていました。

事件後、林家の子どもたち4人は児童養護施設に預けられ、家族離散したと。
そんな内容を読んだ時、自分が関わってきた子どもたちの姿が脳内にちらついたんです。

本人にとってはコントロールできないことで、望んでいなかった生活を送らざるをえなかった子どもたちの姿が。

それぞれ状況は違うけど、みんな過去を背負って、今を生きてる。

本書を手の取ったのは、そんな子たちの姿と、林君の姿を勝手に重ね、彼らの生きていく姿を想う気持ちもあったのかもしれません。

対談内容は…
インタビューとして綺麗に形どられたことを語る林くんの姿ではなく、
林くんの生活のリアルが自分の言葉でちゃんと語られていました。

事件を通して変わった生活や、素性がバレないように生活しつつも、マスコミへの取材対応もしているなど、私にとって非日常なリアルもありつつ、

純粋に、親を想う子としての姿であったり、
好きな音楽について印南さんと語る姿だったり。

私と同世代の男性として、生身の姿もそのまま、書き起こされていたことが、
事件後の"リアルな人間の生活"を伝えてくれたように思います。

でも、このリアルは見ようとしないと見えないこと。
この本と出会うことで、彼のリアルな生活の一部を知ることができました。

本書の前半に書かれた内容が、
後半の対談を読み進めるに従って、どんどん納得感が加わってくる印象でした。

林くんと、林家のみなさんが、これからがどうなるかわからない。
今まで関わってきた子どもたちがどうなったかも、詳しくはわからない。

でも、読書後、彼らの今後に光がさしてほしいと願わずはいられない一冊になりました。

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