新サービスの企画に挑戦したけど、メンバーと喧嘩になった話
はじめまして。デザイナーのがっきーです。
2020年4月に新卒入社し、2021年1月にUXDCに配属されました。社会人になって2年、デザイナーとして働き出して1年になります。
新卒でデザイナーとして配属された私ですが、実は大学時代、物理学科というゴリゴリの理系でした。大学院では専攻を変えて、ユーザーインターフェース、メディアデザインなどを学び、主にペットロボットのインターフェースついて研究していました。
専攻を変えた理由は話すと長くなるので、また別の機会にお話しします。
こんな変な経歴を持ちながらもデザイナーになった私が今回話すのは、新サービス企画の話し合いで、非デザイナーであるメンバーとバチバチに喧嘩した話です。
新サービスの企画に挑戦
私は現在、同期5人と一緒に大学生向けのサービスを考えています。
元々、配属された当初に同期のみんなで、何かサービスやアプリを作り上げたいねと話していたところ、ちょうど会社で新規事業を創出するプログラムXIW(※)があったので、応募しようという話になりました。
そして、なぜ大学生をターゲットにしたかというと、私たち自身、コロナ禍入社で入社式もなく、新人研修はほぼリモートという孤独な社会人デビューを経験しており、コロナによる活動制限の辛さは十分に知っていたので、コロナで理想のキャンパスライフを送ることができていない大学生に対して、何か力になれないかと思ったからです。
大学生のためにサービス作るぞ!!!
そう心に誓った6人は、順調にサービスを考えられているかと思いきや、ブレストの時点から激しい口論をすることになりました。
非デザイナーのメンバーとケンカした3つの理由
私以外の同期はみんなエンジニアです。AIやVR/AR、クラウド、セキュリティなど、みんなそれぞれ専門的な技術を武器にしています。私が技術的に困ったときは、みんなに相談すれば解決してくれます。
そんな同期と話し合いすれば、簡単にいいものができそうじゃない?って思いますよね。現実は、残念なことに全然話し合いが進まないどころか、言い争いが多発してしまいました。
言い争いが起こった理由は大きく3つ挙げられます。
1. 技術視点でサービスを考えがち
アイデア出しを始めた当初、上がった意見として多かったのは
など技術が起点となった意見ばかりでした。
自分の得意分野を生かしたいという気持ちは分かるけど、そもそもそれを使うことで本当にユーザーの課題が解決されるの???と思い、技術視点ではなくユーザーの課題からアイデアを出そうと提案したところ
と言われてしました。ユーザーの気持ちを妄想することや自分事化することにみんな慣れていないようでした。
あとは、誰かがアイデアを出しても、
といった意見が必ず出ていました。
技術的な制約を最初から考えてしまうことで、アイデアが全然広がらず、アイデアを出してはダメ出しされの繰り返しで、みんな恐怖心でアイデアを出す気力もなくなってしまいました。
2. 他人の意見に否定から入りがち
これは、1つ目の技術視点で考えがちと似ているのですが、とにもかくにも他人のアイデアの否定から入ることが多かったです。
技術以外でも、
といった否定意見がたくさん出ていました。ブレストの基本として、人の意見に反対しないとありますが、これが一切できていなかったんですね。
私は、ここはデザイナーの意地だと思い、最初は共感することを意識してましたが、否定されたらやり返したい気持ちが芽生えてしまっていました笑
そして、否定されて否定して否定されての負のループに。
否定されることで自由奔放な意見が言えない雰囲気になってしまい、話し合いの最後はいつも険悪なムードになっていました。
3. 自分の妄想で決めつけがち
なんとかユーザーの課題からアイデアを出そうという流れができた束の間、今度は自分の妄想で決めつけて話し合いをすることが多くなりました。
みたいな。今考えると、どうしてそんなに決めつけて話ができていたのか謎ですが、自分の経験や知識がすべてだと思って話してしまうのがデフォルトでした。
私もこの状態によく陥っていたので反省...
この3つが原因でアイデア出しが上手くいかず、3ヶ月間、週1で話し合いを行ったのにも関わらず、みんなが納得いくアイデアは一切出ることはありませんでした。
このままでは納得いくものが作れないと焦った私は、社外メンターの方に泣きつくように相談しました。
社外メンターの方からいただいた1つのアドバイス
新規事業創出プログラム(XIW)では、新規事業創出時におけるアドバイスを社外メンターの方にお願いしています。
そのメンターの方に、これまでの経緯に加えて、やっと思いついたアイデアなのに本当にユーザーの課題を解決するのか不安と話したところ
「ユーザーの声を直接聞いてみよう」
とアドバイスをいただきました。一番シンプルで当たり前なことですが、一番私たちができていなかったことでした。
この記事をお読みの皆さんは、これって基本中の基本でしょ?こんな基本的なこともできていなかったのか...とがっかりされているかもしれませんが、全然できていなかったのです。
ユーザーの声を聞くためにヒアリングを実施
社外メンターの方からアドバイスをもらった直後
「まずはユーザーの声を聞かないと始まらん!!」
と思い立った私たちは、ターゲットである大学生100人にアンケートを取り、2,3人にヒアリングをすることにしました。質問内容は、授業からサークル活動、友達とのコミュニケーションについて。
大学時代の後輩の後輩や、会社の後輩の学生時代の後輩、奥さんの義妹さんなど、あらゆるツテを使って情報を集めました。
想像と違った大学生活
2年前まで大学生だったから、大学生のことを分かってるつもりだった私たちですが、アンケート結果を見て、もう自分たちは大学生じゃないんだ、もう若くないんだ...と思うほど、自分たちの想像と現実が違っていることに気づきました。
たとえば、
私たちは、新人研修がほぼリモートで辛かったよね〜という話をしていたので、大学生もオンライン授業に対して否定的な意見が圧倒的に多いと思っていたのですが、実際はオンライン授業を好む声の方が多かったり、
コロナ禍は登校することが滅多になく、あっても週1くらいだろうと思っていたら、回答者の4分の1が毎日登校していたり、
ヒアリングを行う前には想像もできなかったような結果が得られ、ヒアリングをする前に手探りで話し合いを行っていた時間がもったいないと感じました。
いろんな大学生がいた
すごく当たり前なことですが、大学生といってもいろんな考え方を持ってる人がいることが改めて分かりました。
大学行きたいって思ってる人がいれば、行きたくないって思ってる人もいるし、コロナ禍の大学生活をどうすれば楽しく送れるか工夫している人もいれば、そもそも楽しい大学生活自体諦めてしまって何も期待していないという人もいました。
自分たちが思い浮かべる大学生像って全体の一部でしかなかったことが分かり、ひとことで大学生といっても、どういう属性を持った大学生をターゲットにするか明確にすることが重要だと実感しました。
ヒアリングでユーザーの声を聞いたひよっこたち
ユーザーにヒアリングを行って、さまざまな発見を見つけた後にアイデアを考え直してみました。すると、話し合いを進める中で、変化が見られました。
アイデアの拡散が上手くいくようになった
今まで自分の経験や立場、利益でしか物事を考えられず、アイデア出しの時点で苦戦していた私たちですが、ヒアリングの後にはアイデア出しが面白いほど盛り上がるようになりました。
他人の意見に否定から入りがちだったのが、実在する大学生の声が否定のストッパーとなり、あ〜そういう考えもあるのかと、相手の意見を飲み込めるようになったり、
以前はあまり意見を言わなかったメンバーも、自分の意見ではなくユーザーの声を代弁する立場になることで、意見出しが活発になったり。
このようにユーザーの声が、アイデアを否定から守る盾になり、アイデア出しの後押しをする武器となりました。
できない理由ではなく、実現する方法を考えるように
ヒアリングを行う前は、競合のサービスが存在したり、技術的に実現することが難しいことが分かると、あ〜もうこのアイデアだめだ!次考えよう…となってしまうことが多々ありました。
しかし、ヒアリングを通して、実際にユーザーの声を聞いたことで、この大学生たちのために実現させたい!という気持ちが芽生え、どうにかして実現できないかと自然と別の対応策を考えることができるようになりました。
新サービスの選考結果
序盤はアイデア出しすら上手く行かなかった私たちですが、ユーザーの声を聞いてから話し合いをしたら、一切喧嘩せずにアイデア出しをすることができました。
その上、エレベーターピッチにおいて企画も通ることができました!(まだまだ懸念点は多いけど)
最初から、ユーザーにヒアリングをしていれば、こんなに苦戦しなかったのに…という気持ちは封印します笑
今後も、新規事業創出プログラム(XIW)は続くので、この調子で、話し合いで行き詰まってしまったら、ユーザーに向き合うということを繰り返したいと思います。
最後に
デザイナーでありながら、ユーザーの声を聞くことを放棄してしまった(意識できなかった)ことで、起こったメンバーとの喧嘩。
これからの業務でも、デザイナーではない方と話す機会はどんどん増えていくので、今回の同期との喧嘩した経験を生かしていきたいと思います。
以上、ひよっこデザイナーの奮闘日記でした!