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パーパスよりもビジョンです。オンラインセミナー【事例編1】ヴィンテージ ブランディング 70年代 Coca-Cola 関係者向けパンフ“Meet the 70's”を読み解く(前編)
日本全国に拠点を置く、クリエイティブ&デザインエージェンシー アンティー・グループの中にある研究チーム、ビジョンデザインラボがお送りする、Youtubeオンラインセミナーの要約記事です。
歴史的なブランディング事例を紐解くセミナーの第1回。
1960年代後半から70年代にかけた、米コカ・コーラ社の事例を、1冊の貴重なパンフレットを題材に解説します。
本日の講義内容 01:03
![](https://assets.st-note.com/img/1724327883660-naV0Nr8Csr.png?width=1200)
今回は事例編 ヴィンテージブランディング 70年代コカ・コーラ関係者向けパンフレットMeet the 70'sを読み解く。というテーマでお送りします。
1960年代後半に米コカ・コーラ社が発行した1冊の貴重なパンフレットは、現在日本では入手困難で、ボトラーと呼ばれる限られた関係者向けに限られた部数だけ発行された冊子です。コカ・コーラ社が1960年代の後半に70年代を見据えて、次の10年がどういう時代になっていくのか?、その時代に向けてコカ・コーラ社はどういうリーディングカンパニーとして成長していきたいと思っているのか?がビジュアルブックとして綴られており、まさに未来を見据えた、企業のブランド戦略が凝縮された教科書のような貴重な資料です。
今回は3部構成でセミナーをしていきます。
1. 1960年代後半の時代と市場の背景
このパンフレットが発行された1960年代後半がどういう時代だったのか?を、時代と市場の背景から考察していきます。
そして、その状況を把握した上で、
2. 関係者向けパンフレット“Meet the 70's”とは?
で、このパンフレットを1見開きずつしっかりと解説していきます。
❶ 未来と指針を描く
❷ 現状の課題
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↑ここまでが前編の動画でお伝えする範囲です。
↓ここからは後編の動画でお伝えしています。
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❸ 新たなブランドデザインコンセプト
❹ 新たなブランドデザイン展開例
3. ここがビジョン・キャストだ!!
私たちUVDL(un-T Vision Design Lab.)が提唱するビジョン・キャストという概念に照らし合わせ、このパンフレットのどこがビジョン・キャストなのか?を解説してまとめにして終わりたいと思います。
1. 1960年代後半の時代と市場の背景 03:15
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【時代の背景】
・ベトナム戦争
1955年から1975年にかけてベトナム戦争が続いたが、特にこの1960年代の終わり頃には戦況が激化し、アメリカ国内でも反戦運動が活発化していました。
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・社会変革
戦争への批判が強まり、社会的な緊張が高まっていく中、反戦運動だけでなく、女性解放運動、公民権運動などさまざまな運動が、巻き起こっていた、社会構造への反発が膨らんでいった時代でもありました。人々が自由、平等、個人の権利を非常に求めていた時代と言えます。
【市場の背景】
・コーラ戦争
一方、市場では清涼飲料水コーラの製造販売における戦いが始まっていました。もちろん清涼飲料水コーラというのはコカ・コーラだけでなく複数のメーカーがすでに存在しましたが、何といってもコカ・コーラとペプシという、二代巨頭の戦いがこの時代既に始まっていたのです。
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1963年に、ペプシはペプシジェネレーションキャンペーンという施策を打ち出してきます。元々はコカ・コーラよりも少し遅れて誕生したブランドでしたが、最初はコカ・コーラよりも安くて量が多いというコスパをウリに訴求していたブランドだったのです。
ところが1963年あたりから、ペプシジェネレーションと銘打ち、「若者はやっぱりペプシだよね!」と若者世代に向けて、ペプシの方がかっこいいんだぜ!というメッセージの感覚的訴求を、この時代いち早くコカ・コーラに対してぶつけてきたわけです。
そしてコカ・コーラは、だんだんと自分たちの地位が脅かされて焦りつつあるというのが、この時代の市場の状況だったのです。
さらに1975年には、ペプシチャレンジという、かの有名な挑発的なキャンペーンが始まり、それが80年代に向けてペプシマンというキャラクターが誕生していったり、この二大巨頭の戦いはどんどん熾烈化していくという、興味深い市場の背景がありました。
・メディアの進化
1960年当時のアメリカでは、既に90%以上の家庭にテレビがあったようです。TV-CMが誕生し、当時の広告業界ではTV-CMでどれだけ視覚と聴覚に訴えて効果的な広告訴求をするのか?が模索されていました。この時代に現在のTV-CMや動画広告のベースとなる様々な手法が生まれました。
ジングルと呼ばれるメロディーで訴求する手法や、モーションロゴ、視覚的なストーリーテリング、キャッチフレーズ、著名なキャラクターの起用など、ブランドの認知度を高めるための戦略というものが、どんどん洗練されて進化をしていった時代でもあります。
そんな時代背景において、アメリカのコカ・コーラ社が1970年代に向けてどういうビジョンを描いていくのか?を伝えるパンフレットが発行されました。投資家やボトラーと呼ばれる特定の関係者向けに出版され、同社がどのような市場リーダーシップを維持し、どのように社会的な価値を高めていくのか?を、ビジュアルで綴っていく形式のパンフレットです。
2. 関係者向けパンフレット“Meet the 70's”とは? 09:02
私の手元で実物のパンフレットを最後まで一旦ざっとめくっていく動画を撮影していますので、まずはそちらをご覧いただきながら、詳しい解説に入っていきます。
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このように、次の10年がどういうライフスタイルになっていくのか?をビジュアルで表現されています。
詳細説明 12:14
それではここからもっとじっくりと1見開きずつ見ていきます。
全部でざっくりと4つのパートにわかれています。
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このパートの分け方自体が、非常に良い流れになっていると思います。
❶ 未来と指針を描く 12:59
まず最初の見開きの真っ白なページにプロローグとして1行だけ英文が書かれています。
![](https://assets.st-note.com/img/1724310759065-kBmxwsqbSu.png?width=1200)
日本語訳概要:
1970年代はどのような時代になるだろうか?それは変化の時代。
ムード、態度、価値観、ライフスタイルの変化。
「より多く」の時代。(Time is ”more”)
![](https://assets.st-note.com/img/1724311185634-ZRiF9dZmDQ.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1724311220015-wXkxtiryMB.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1724311252118-tJAcCDcxaa.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1724311266629-WcxopRuDK5.png?width=1200)
またかっこいいですね、この写真が!しかも注意深く見ると、多様な人種の方々の写真が使われている点も興味深いと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1724311319583-CEVLgVjPje.png?width=1200)
このビルの写真もかっこいいですねぇ。。。
![](https://assets.st-note.com/img/1724311342321-jmhuLWx5Z5.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1724311523325-xbpKvxAxlt.png?width=1200)
そしてこのページからは、この時代をどういうふうに読み取っててどういうふうにあの自分たちが指針を何を指針としていくのかということにだんだんストーリーがなっていくんですけれども、このページには少々長めの英文が書かれています。
![](https://assets.st-note.com/img/1724311399110-vZQNVj2XtP.png?width=1200)
日本語訳概要:
その変化の挑戦は、新しい10年の夜明けを示している。70年代を代表する企業はどこになるだろう?それは、変化に最も適応する企業であり、さらに言えば、消費者が抵抗する、あまりに慣れ親しんだ日常への突破口となる変化を生み出す企業である。どのようにしてそれを実現するのか。それは、新しいアイデア、新しい形、新しいスタイルを用いてである。
と書かれており、企業がどうやって新しい改革、つまりイノベーションを行っていくのか?それは新しいアイデア、新しい形、新しいスタイルを用いて行うべきであり、いわゆる新しいライフスタイルを市場に向けてしっかりと打ち出していく企業こそがリーディングカンパニーになっていくんだと、書かれています。
![](https://assets.st-note.com/img/1724311952537-JOjmhwc8yV.png?width=1200)
日本語訳概要:
トーンとスタイルは、企業が持つ先進性や革新性、実現力を表現することができる。また、未来に対する明確なビジョンを持った企業であることを表す役割を持っている。
コカ・コーラ社は常に、マーケティング指向のアプローチを通じて変化を生み出してきた。そして、70年代においても革新を続けるだろう。それは、自社のビジネスが何であるかを見つめ、
過去や現在の状態にとらわれずに、可能性を追求することによって実現される。
つまりビジュアル表現におけるトーンとスタイルについて言っていると思いますが、この1文だけでもどれだけこの時代からコカ・コーラ社がビジュアル戦略とを重視していたかがわかる一文だと思います。
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日本語訳概要:
インパルス(衝動買い)/消費者主導の業界として、レジャータイムの食品や飲料は、寝る間を惜しみ絶え間なく活動し続ける70年代ライフスタイルの影響を強く受けるだろう。
このライフスタイルに対応するためには、従来の販売やプロモーション方法を変えていく必要がある。
スーパーの売り場に人が行き交っているような光景をあえてブレた写真で表現しています。また、ブランドカラーの赤を巧みに使用し、本当にかっこいいページですねぇ。。この見開きでは、清涼飲料水や日用品、食品などの市場というのは消費者主導の市場であり、前段のページでも書かれていたように、人々のライフスタイルが寝る間を惜しんで絶え間なく活動する、よりアクティブになっていく、そんな新しい70年代のライフスタイルの影響を強く受ける市場だと言っているわけです。
❷ 現状の課題 19:23
現状のコカ・コーラブランドが抱えている課題が何なのか?という事が、この1枚の見開きで非常にわかりやすく表現されています。グリッドデザインによってクールにデザインされていますが、この当時のコカ・コーラのロゴがあまりにもバラバラだったという課題がビジュアルで表現されているわけです。
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日本語訳概要:
業界における「コカ・コーラ」のユニークな成功を考えてみよう。
「コカ・コーラ」という商標とプロダクトはこれまで、歴史上どの製品よりも多様でたくさんの場に露出されてきた。
それは実際に、どんな場所でも、あらゆる条件下で、あらゆるサイズで眼にすることができる。これら異なる表現の数と種類は、消費者の間で「コカ・コーラ」の様々な視覚的イメージを引き起こした。
今まさに、これらの表現を一つの強力で統一されたイメージに再集約する大きな機会であり、
エキサイティングで統一感のある新しいルックを通じて、新たな消費者の注目を捕らえる機会なのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1724312320899-NyC2p1IuoM.png?width=1200)
日本語訳概要:
まず、未来を見据えよう。まだ生まれていない世代へ。新鮮で、驚くほど異なるもの。
新しいアイデア、新しいコンセプト、新しい理念。
未来のスピリットとは風に吹かれる儚いものであることを、コカ・コーラ社は知っている。今日それをしっかりと掴む者こそ、明日の市場へと運ばれていくのだ。
生活環境のまったく新しい哲学が、ドラマティックな色彩、大胆な形、形と本質のダイナミックな関係性に翻訳され、そのうちのいくつかは、今日の私たちの理解を超えているのだ。
現時点では、新しすぎて理解が難しいぐらいの大胆なビジョンの表現が、次の時代を呼んでくる、ということが書かれていると思います。
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日本語訳概要:
コカ・コーラ社は、ダイナミックな新しいコミュニケーション姿勢を発表する。それは、繰り返しの力(マンネリ)を超え、全く新しい本質的なアプローチを先駆ける、
完全に統合された70年代のコカ・コーラのルックだ。すべてのメディアに一貫して適用されることで、明るく現代的なリーダーシップのイメージを効果的かつ効率的に反映させることができ、
1970年代の消費者に的確にコミュニケーションするだろう。
バラバラだった60年代のビジュアルコミュニケーションの状態を、完全に統合された70年代のコカ・コーラの新しい見た目によって、全てのコンタクトポイントで一貫して適用していくことで、明るくてモダンで現代的なリーダーシップのイメージを打ち出していく。しかもそれは、効果的かつ効率的な取り組みだと伝えているところが、やはりアイデンティティシステムという考え方に繋がっていると感じます。それにより、1970年代の新しい消費者に向けて、的確にコミュニケーションをし、効果を出していくだろうという、力強い宣言をこのページでしているわけです。
![](https://assets.st-note.com/img/1724312441216-Kj6kiQO5iX.png?width=1200)
日本語訳概要:
幸いなことに、新しいデザインを構築するために大切な、確固たるブランド基盤が既にいくつか存在している。
コカ・コーラのブランドアイデンティティにとって重要な4つの要素は、
・「Coke」のロゴ、
・「Cokca-Cola」のロゴ、
・ 赤の標準色、
・ ボトルの形状
これまで、これらのアイデンティティの4つの要素は、販売経路においてバラバラに機能してきた。
たとえば、近くで見た場合でも、「Coca-Cola」と「Coke」という商標表示の表現には、明確な視覚的関連性がなかったのだ。
ボトルもまた、他のデザイン要素とのつながりが薄く、ブランドイメージの統一感が希薄だった。
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日本語訳概要:
今日必要とされているのは、これら個々の要素をすべて一つの強力なブランドビジュアルとして統合するための、パワフルなブランドアイデンティティシステムである。
ここまでで、未来と指針を描きつつ、今自分たちが抱えている現状のブランドアイデンティティにおける課題を踏まえて、いよいよ新しいブランドデザインのコンセプトについて伝えているのが、次の見開きからです。
本日の講義はここまでとなります。この続きは、
【事例編1】ヴィンテージ ブランディング 70年代 Coca-Cola 関係者向けパンフ“Meet the 70's”を読み解く(後編)でお伝えしていきます。
↓ 後編動画の内容
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❸ 新たなブランドデザインコンセプト
❹ 新たなブランドデザイン展開例
3. ここがビジョン・キャストだ!!
私たちUVDL(un-T Vision Design Lab.)が提唱するビジョン・キャストという概念に照らし合わせ、このパンフレットのどこがビジョン・キャストなのか?を解説してまとめにして終わりたいと思います。
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引用元・Coca-Cola USA / A Division of The Coca-Cola Company Meet the 70's
チャプターとタイムスタンプ
00:00 - オープニング
00:34 - アンティー・ビジョンデザインラボと講師の紹介
ーーー01:03 - 本編スタート 本日の講義内容
03:15 - 1. 1960年代後半の時代と市場の背景
09:02 - 2. 関係者向けパンフレット“Meet the 70's”とは?
12:59 - ❶ 未来と指針を描く
19:23 - ❷ 現状の課題
ーーー26:17 - クロージング
・Youtube
・Podcast
準備中
後編はこちら!↓
このセミナーでは、パーパス以上にビジョンを重視し、理想の未来社会像と組織の姿をビジュアライズすることで、企業や組織に持続可能な成長を促す革新的なアプローチについて、私たちが実際の業務で培ってきたノウハウやオリジナル資料も含め、たっぷりと発信していきたいと思います。これまでの企業理念やブランディング業務を通して得られた、数々の知見やメソッドの集大成として、かなり本気で取り組んでまいります!笑
自分たちらしい企業経営や組織づくりで、事業やプロジェクトをグロースさせたいけれど、その方法がわからないとお悩みのみなさまにとって、新たな価値創造をもたらすヒントになれば幸いです。
アンティー・ビジョンデザインラボ
日本全国に拠点を置く、クリエイティブ&デザインエージェンシー
アンティー・グループの中にある研究チーム
数々の企業理念策定、ブランディング業務を通して得られた知見やメソッドをもとに社内外の仲間と価値創造の模索を行う
このセミナーで紹介しているビジョン・キャスト メソッドは、アンティー・グループ内にあるブランド開発会社、アンティー・デザインのサービスとして提供しています。
企業や組織のブランディング、理念策定など、プロジェクトのご相談は、概要欄のメールアドレスまで、お気軽にお問い合わせください。