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【スト6】翻訳素人が勝手に翻訳字幕を作ったら、採用してもらえたよ!

今回は、Youtube動画の翻訳字幕(日⇒英)を勝手につくって、投稿者の方に連絡してみたら、とてもよろんでもらえた、というおはなし。
翻訳に際して、じっさい気をつけたことやったこと、なども書いています。とっても長いので、すこしずつ読んでもらえるとうれしい。
わたしは、ゲームも翻訳も、初心者です。どうなっちゃうの!?

すこしだけゲームのお話

さいきん、スト6(Street Fighter 6)をプレイしています。
いま世界的にビッグでホットな、すごいゲーム。今度賞金1億の大会があるらしい。ワオ!
格闘ゲームというジャンルにあたるもので、わたしはほぼ未経験。そんなわたしみたいな初心者が、ものすごい量参入してきたのが、このスト6らしい。

初心者が何かをはじめるにあたって、いまの主流はやっぱりYoutubeだよね。基本的なルールから、むずかしいコンボ、戦術に至るまで、たくさんの動画があります。

なんでも勉強できちゃう。いちおう、モザイクかけてます。

さて、わたしの好きなリュウというキャラは、どうもあんまり強くないらしい。やっぱり、強くないと注目度も低くなりがちです。

かっこいいでしょ。

格闘ゲームというのは、相手を研究/対策して、やっつけるゲームです。
でも、あまり強くないキャラ相手には、そんなめんどくさいことしなくても勝てちゃったりする。初心者同士ならとくに。リュウは、みんなにちょっと、なめられてるのかな。
さらに、彼は長年の看板キャラだから、古参ファンは使う方も相手する方も、扱いかたをすでに心得ている。リュウは、おじさんたちの心のなかに住んでいる妖精なのだ。すてきだね。そういうところが、わたしの好みです。
そんなわけで、いろんな意味で情報がすくない部類のキャラクターみたい。
新しい情報が出にくいキャラクターともいえるね。

そんな中、とても参考になる動画を投稿しているひとを見つけた。
ライブ配信もやっている、ということで、ときどき遊びにいくようになった。このひともリュウ使いで、めちゃくちゃうまい。しかもやさしくて、感じのいいかたです。

わたしは初心者なりに、ブロンズ1からダイヤ2まで上達することができました。(このゲームには、勝っていくとランクがあがる、負けると下がる、修行モードがある)
その過程で、いちばんありがと~~~と思ったのは、にゃじさんの動画でした。簡潔で、すごくわかりやすかった。わたしの文章の正反対。


じゃあ翻訳してみよう

さっき、リュウの情報はあんまり多くない、といいました。
これは、海外でもわりと当てはまる。Youtubeの動画も、ほかに比べてあんまりない。もしかして、海外の初心者リュウ・エンジョイヤーたちも、困ってるんじゃないのかな?と思ったわけ。

ということで、英語字幕をつくってみよう、とかんがえました。
翻訳は日英/英日ともに、こどものころからの趣味でした。わたしはアメリカに住んでいたので、どちらの言葉にも触れる機会がたくさんあった。小説の好きな部分を訳したり、歌詞を訳したり、映画の字幕を考えたり、ひとりで遊んでいた。だれにも見せたことはない。
ましてや、お仕事にしたこともない。ちゃんと勉強したことがないもので。

まあだけど、思いたったらとにかくやってみよう。わたしはそれをさいきん、またやっています。


まずはルールの確認

さて、まずは字幕翻訳のルールを勉強する必要があります。
よく映画や海外ドラマをみてて、「言ってることと字幕ちがうくない!?」っていうの、あるよね。
あれは文字数などに結構きびしいルールがあるから、という側面がある。ルールのバリエーションは多々あるようだけど、日本語字幕なら概ね一行20文字程度、英語字幕なら一行40文字程度。
まとまった文章の翻訳とちがって、一秒あたりの表示文字数の上限なんかもある。シーンが終わる前に読み切れない文字しか読めない、なんてことがないように、ということだろうね。

今回は英語字幕、かつYoutubeの動画ということで、TEDの字幕翻訳ルールを参考にした。簡単にまとめると;

・一行42文字まで
・82文字以上の字幕はダメ(=つまり2行まで)
・21文字/1秒以内でおさめる

https://translations.ted.com/English_Style_Guide

まだまだ細かいルールはたくさんあるのだけど、とりあえずこんなかんじ。
奥深いね。


ツールをさがそう

ルールがだいたいわかったところで、使うツールを決めましょう。
こんなのを見つけた。Subtitle Editという名前。名が体を表す激渋ツールだ。しかもオープンソース。無料です。かっこいいね。
こいつは字幕翻訳界のリュウだ。

Googleより。

実際の画面はこんなかんじ。

ねんのため、ちょっとぼかしてあります。

動画をみながら(画面右上)、音声の波形をみながら(画面右下)、字幕を入力して(画面左半分)、字幕の長さなども調節できる。
便利なのは、字幕のルールを設定しておけば、それを逸脱した場合に、わかりやすく教えてくれる。

オレンジになっているところがダメ。


さあ翻訳作業だ!

まず動画の音声から、日本語の原稿を作った。Youtubeにはいま、Transcriptという機能がある。おおまかなタイムスタンプを添えて、音声から文字起こしをしてくれる。
すごい機能なんだけど、わりと精度は低い。ChatGPTを使用した外部ツールなんかもあるのだけど、そちらもイマイチだった。
結局、大部分を手作業で直すことになった。

これを.txtファイルにして、Subtitle Editに読み込ませる。翻訳モードを使うと、日本語の原稿が表示された状態で作業ができるのだ。
あとは、字幕の表示時間などを調整しながら、ひたすら訳していく。
やってること自体はこれだけ!シンプルですね。


完成——そして苦労したこと

試行錯誤することなんと6時間、字幕が完成しました。
動画の長さ5分ほどのものです。どういうこと!?!?
人生初っていうのは、すごく時間がかかるものだね。

いちばんむずかしかったのは、いわゆる格ゲー用語と呼ばれる一種のスラング。
わたしはお話したとおり、ゲームを実際に遊んでいます。そして、それなりに用語にも見覚えがある。ジャンルに関しては初心者だけど、そこそこ馴染みはあるわけですね。
それでも中にはあいまいなニュアンスを含む用語もけっこう存在していて、まず日本語の格ゲー用語を再確認するところからやらなきゃいけなかった。
スラングっていうのは往々にして、個人やコミュニティによって認識がすこしずつ違ったりして、確固たる正解がなかったりする。
さらに、こんどは海外コミュニティで一般的な格ゲー用語というのもあるわけです。格闘ゲームというジャンルは、日本でとくに長年盛り上がっていたジャンルで、研究量(あるいは集合知だとか、暗黙の了解)の積み重ねもすごいみたい。だから、そのまま海外に持ち込まれた概念もたくさんある。それでも、海外独特の用語/概念というのももちろんあるわけです。しかも、そういう概念っていうのは、プレイの根底を支えるようなものであることがおおい。そりゃそうだよね。みんなが自然発生的に考える部分だもの。
このへんを単純に対訳するわけにはいかない。だから、日本/海外のプレイヤーや、いろんな動画投稿者の動画を何度も観かえして、そのひとたちが特定の用語をつかう文脈を少しずつ集めていった。

こちらのサイトは、海外の格闘ゲームコミュニティの有志が作った用語サイト。日本語との対訳、英語での用語解説などが充実している。
動画での文脈集めと並行して、上のサイトを使って、用語をどうにかこうにか、ある程度統一しながら、自然な訳をこころがけた。
こまかい粗はた~くさんあると思うけど、けっこう自信作だよ。


投稿者さんに連絡をとってみた

とはいえ、わたしはただの素人です。しかも、だれかのために翻訳をしたことなんて、こどものころ、毎年クリスマスカードを送るときくらい。母親が書いた日本語の文章を、英語になおしていた記憶がある。いわばこどもレベルの翻訳者(?)なわけです。

だから、完成した字幕をみながら、このまま、わたしだけの遊びで終わらせようかなーなんて本気で考えていた。
だけど、にゃじさんの人柄にすくわれた形。どういうわけか、もしかしたら、みてもらえるかなー、と思ったのよね。勇気を出して、不慣れなDiscordで連絡をしてみました。さいごにDiscord使ったの、何年前かな?

リュウが好きで、日本/海外の格闘ゲームコミュニティにあこがれと敬意があること、そして、投稿されている動画がすごく価値があると思っている、というような内容の、とんでもない長文を送りました。

すると、とてもあたたかくて、うれしいお返事をいただけた。
彼自身も、コミュニティにプラスになれば、という思いで動画投稿されているということ。しかも、字幕に興味をもってくださって、動画に使ってみたい(!)とのこと。

さっそく、.srtファイル(字幕ファイルとして一般的な形のようだ)を送りつけました。ものすごく褒めてくださって、さっそく動画に使っていただけました。うれし~~。

ちなみに、.srtファイルというのはすぐれもので、Youtubeにポンとアップロードしちゃえば、そのまま字幕として表示される。一秒単位で気を使いながら作った字幕が、手違いなどでズレないという利点があるね!

人類の智慧だ

こちらに、その動画をはっておく。

海外のがんばっているリュウ使いたち、観てくれるといいなあ。
翻訳者の方や、興味のある方がもし、この記事を読んでくれていたら、字幕の感想をききたいです。こんなへんな記事を読んでもらえればですけど…笑

すごくたのしい時間だった。5分ほどの動画に6時間って、もちろん調べものの時間が大半だけど、頭のおかしいバランスだよね。でも、1秒たりとも苦にならなかったし、一瞬で時間が過ぎていった。おかげで、ゲームはさいきんほとんどやってません。リュウ、ごめんね。でも、これから字幕翻訳、どんどんやってみたいなー。英⇒日のほうも、ためしてみたい。
今回はびっくりするくらい長くなったね。
では、またね!

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