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医師の仕事を120%の力でこなして挫折して知ったこと

眼科医コーチmayuです、こんにちは。コーチングプレイス認定コーチをしています。

医者でコーチングをしています、という時点で「この人きっと真面目に医者の仕事をしていないんだろう」「こういう腰かけのおばさんドクターがいるから現場の多忙は改善されないんだ」って思う多忙な医療従事者が多くいるんだろうなあって、正直なところ勝手に妄想しています。

それはきっと、半分当たっているので耳が痛いところでもあります。

私が学生の頃は、もう10年以上も前にはなるけれども、「365日24時間医師であれ」と教育を受けたものでした。

あの時はまだ20代前半で若くもあったので、自分の人生はそのまま仕事にささげられるものだと信じて疑わず、毎日朝から晩まで、そして晩が明けたらそのまま早朝から病院で働くものだと思い込んでいました。

もちろん、今でもそれを貫いてくれているドクターが沢山いて、その人たちのおかげで現場が廻っているのは確かです。

申し訳ない気持ちも沢山あるし、そのような働き方ができる方たちには尊敬の念しかないです。

それと同時に、私も全身全霊で働きたかった時を思い出すこともありますし、そうできない自分への不甲斐なさも感じます。

もしかしたらこの投稿に対して、「このご時世にこんな記事書いている暇があったら働いてこい」というような趣旨のコメントでもつくのではないかと怯えるような気持ちもない訳ではありません。

じゃあ、どうしてこのような文章を書くのか。

それは、365日24時間医師でいるような働き方ができない人は私だけではなくて、むしろできない人なんて珍しくもなくて、その人たちが罪悪感を抱えることなくイキイキと仕事ができることこそ、人々の健康を守ることにつながると信じているからです。


研修医時代の休職経験

私は、研修医1年目のときにうつ病で2か月半ほど休職しました。

当時は研修医に課せられた救急の当直に循環器内科の当直が加わり、腎臓内科の理不尽な上司への対応に悩んでいた記憶があります。

気がついたら救急のブースで一人頭を抱えて診療がストップしていたのを、先輩に発見されたのを断片的に覚えています。

徐々に朝の出勤もギリギリになり、カンファの準備もできなくなって、

確か循環器内科の部長が理解してくれて精神科部長に話してくれて外来受診をコーディネートしてくれていたのでした。

すでに入院するかギリギリの状態で、中等度のうつ病だから休職しなさいと言われたのでした。

頑張れなくなってから実際に休む決断をするまで、案外時間がかかっていたりします。その間に少しずつ病気は進んでいました。

私は幸いにして二ヶ月半ほどで復職でき、最初は17時に上がれる仕事から。(朝は6時だったけど、、、)当直は免除でした。

当直するということは睡眠リズムを乱すことになるので、そのような仕事は再発リスクを上げるためしてはならない、ということでした。

当直できない医者なんて、使い物にならないじゃないかって思った気がするけれど、頭を切り替えて当直の少ない科を選んで勉強し直しました。

それが今の眼科に繋がっています。


夜通し働くことはリスクだけれど、準夜勤のような夜中0時までの仕事なら良いと許可がでたのが復職から数ヶ月したときでした。

夜中0時までの仕事を多めに(みんなが月4回のところを6回)こなし、他のドクターの負担を私のできる範囲で少しでも減らそうとはしていました。

それでも、「0時まで働けて、なぜ朝までは働けないのか分からない」と真っ向から非難する医師はいました。

それを言われれば胸をえぐられるほど辛かったです。

眼科医になってからの日々

眼科医になってからは新しい勉強の毎日で、当直した時もあったけれど、

なんとか再発させないように必死でうまく手を抜きつつやり過ごしました。

これはまずい、このままでは倒れるかもって思ったことも、実は数回ありました。

けれど、落ち始めるときをちゃんと察知して、軽いうちに持ち直せば大抵はなんとかなりました。

少し早いかな、というタイミングで仕事をわずかに減らしたり、短期間と決めて薬を飲んだりと工夫してみました。

そこで自分を追い込んだり決してしないこと、自分のせいにしないこと。

頑張ることで解決しようと決してしないこと。

そうしたら、また低空飛行でも生きてはいけるんです。

さらに大事なことは、

一人でなんでも解決しようとしないこと

です。

人に話すことは勇気がいりますが、それでも抱え込むのではなくて困りごとを公開して乗り越えることが大切です。

そのほうが知恵も集まりますし、信頼も残るものです。


全力疾走しない勇気

120%の力で爆走しているとき、実は少し周りをみる力は落ちています。

高速道路ならいいけれど、歩行者が出てきたらぶつかってしまいますし、急な下り坂やカーブがあれば飛び出してしまいます。

医師は常に120%で走って病院にい続けろという意見もあるけれど、それができないことがダメ医者なわけではないんです。

それをしない選択肢もある。

それをしないことで学べることもあるし、病院以外で伸びるスキルもある。人間的なバランスの良さも人と接するには大切。

家庭においては、爆走して長時間労働する人を支える家族がいたほうがうまく廻るし、

トラブルにも気づきやすいですよね。

自分自身の体を整える時間もなくて気づいたら病気が進行してる、なんてリスクにも備えられるわけです。


批判する人は確かにいるけれど、

120%働けない自分にオッケーを出してもいいわけです。

60%ならその60%を頑張ったらいい。

それでも、0%じゃないのだから。

60%の自分を責めて30%のパフォーマンスになったらもったいないじゃないですか。

自分を責めたところで、60が80になったりしませんから。

全力疾走しないことを決めるのはそれまで大切にしてきた価値観を手放すことですから、相当大変でした。

でも、手放せるようになって周りの評価があまり気にならなくなってきて、随分生きやすくなったような気がしますよ。

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