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いたずらかお菓子か
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
https://shimonomori.art.blog/2020/10/01/haox/
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2学期の中間テストを終えた学内は、
オレンジ色のカボチャの絵に
黒色の目鼻口が象徴となる
ハロウィンの飾り付けがされている。
ケルト人発祥のこのお祭り行事はキリスト教とも
日本とも関係なく、本来の意味合いさえ失い
イベ
キツネ憑く山
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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そこは古くから祟り山と呼ばれ、
村外のヒトの入山を禁じている。
入った者はキツネに取り憑かれ、
死に至るとまで言い伝えられていた。
現に今、私の目の前で
ひとりの若者がキツネに憑かれているからだ。
村が管理している
ひとつ目小僧の憂鬱
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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座長は経営に頭を悩ませていた。
江戸時代のいつ頃かは分からないが、
諸国を巡って見世物小屋を代々開いている。
見世物小屋は親の親、またその親と
何代にも渡り続けており、家族の仕事が
幼い頃から普通のことであると思って
座敷わらし
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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この家には座敷わらしが居る。
いつの間にやら住み着いたのだ。
わたしはこのことを誰かに話しても、
誰にも信じては貰えなかった。
わたしの居た家は商家で、
当時は世界中で恐慌の真っ只中だった。
例に漏れずわたしの居
事故ったし!
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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やっべー。ジコ、事故、事故った。
やっちまったー。夢であってくれー!
もしかしてアタシの人生これで終わり?
ヒトゴロシで刑務所行きじゃん。
これメシマズフルコースなんですけど。
いや待って。
まだ確認してないからセー
呪い、呪わば、呪えども
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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脈絡もなく突然わめき、
カンシャクを起こし、
無関係な他人を責める。
世の中には頭のおかしなヒトが居るものだ。
世には地域や言語に関係なく、
呪いというものが存在する。
丑の刻参りと呼ばれる
他人を不幸に陥れようと
置行堀ののっぺらぼう
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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私と同い年ほどの警察官が、
額に深いシワを刻み、目を細めた。
「いい年してなにをやってんだか。」
警察官の言葉が反省を促しているのか、
それとも単に疑問を口にしただけなのか、
私は自分が何故今に至った理由を考えた。
ラジオから孫娘の声がする
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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老人が買ったラジオから、
亡くなった孫の声がすると言うのだ。
話を聞くと、その孫娘は
数年前に亡くなったそうだ。
老後の蓄えで最新機種のラジオを買った。
外見はアナログのレトロなデザインの
安物ラジオだが、液晶モニ
網妖怪
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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このオバケには名前がまだ無い。
――悪霊である。
キツネのように獲物を執拗に狙い、
時には野犬のように同類に紛れ、群れをなす。
個であり群であるが、特定の形を持たない。
――神出鬼没である。
縁もゆかりも無いヒトのう
化けネコ
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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「バレてしまいましたか。」
我が家のネコである『たま』がそう喋った。
テレビを見ていた。
普段与えている高齢ネコ用の(不評な)
キャットフードではなく、
戸棚に入れていた高い缶詰を開け
(堂々と)隠れて食べている現場
送り狼・迎え犬
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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俺は今夜、オオカミになる。
狙いは可愛い子ヒツジだ。
大学の合コンに来たハーフの子は、
明朗快活で積極的に男に接近する。
「イヌ、好きですか?」
可愛らしい声の彼女で尋ねられ俺はうなずく。
「キミみたいな子イヌち
海なし寺とカニ坊主
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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かつて甲斐の国(山梨)に、
連続殺人事件が発生した。
現場はいずれも寺であり、
被害者はその寺の住職であった。
死因は撲殺。
事件の夜には、巨体の僧侶が
その寺を訪れたという証言があった。
住職は遠くから来た僧侶
化けタヌキ
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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山奥の小さな村里に
朗報が舞いこんだのは秋頃であった。
農作物の収穫を終えて冷害にあった
今年の不作を嘆いていたところ、
山のような腹の巨漢が村にやってきた。
目の周りには濃いクマがあり
タヌキの焼き物を思わせる風貌
事故物件
掌篇シリーズ『今夜12時、誰かが眠る。』
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足音がする。
破裂音がする。
女の笑い声がする。
まぶたを閉じているのに、
目の覚める閃光を時折感じる。
地震も無いのに本棚の物が落ちる。
テレビが点いてチャンネルが変わる。
それから蛇口が開いている。
鈍感な男が借り