【詩】まる

まっしろな画用紙

クレヨン12本もたされて

ぼんやり座ってだまってる

ああしなさい

こうしなさい

言われるとおりにすればよかった

それなのに先生は

あれかきなさい

これかきなさい

ちっとも言わないでまっている

おかあさんが喜ぶものは何だろう

おとうさんが褒めてくれるものは何だろう

先生が花丸くれるものは何だろう

まっしろな画用紙と同じでわからない

みんなの画用紙をそっとぬすみみる

あやちゃんはうさぎさん

ひろしくんはたこ焼き

みつきちゃんはトンボ

なつきくんはおばあちゃん

みんな好きなものをかいてる

好きなものをかく

かいていいのかな

好きなものかいていいのかな

先生が好きなものかいていいって言った

みんな好きなものかいてるから

私も好きなものかいてみよう

赤いクレヨンをもってましろな画用紙に大きくまるをかく

まるが好き

先生にみせたらびっくりして喜んだ

お母さんがうちの子は天才かもしれないと言った

お父さんは器用だなと感心してた

大きくなってから理由を知った

フリーハンドで完璧なまるをかくのは

とってもむずかしいんだって

今では子どもたちから感心される

キレイなまるをつけるたびに

先生として


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