ポメラで娘の読書感想文が捗ったはなし
中学生の夏休みにも読書感想文がある。一気に終わらせてしまったほうが良いということで、娘と一緒に平日早朝のファミレスに篭ることにした。家だとゲームや遊んでほしい犬たちやなんだかいろいろなことで集中できないからね。
ファミレスに着くと、娘は学校から支給されているChromebookをリュックから取り出した。
今時は原稿用紙に書くのではなくて、Google Docに書いてネット上で提出すればよいらしい。令和すごいね。
ところが娘はお店のWi-Fiにつなごうとしばらくゴソゴソしていたが、どうもつながらない。もしかしたらフリーWi-Fiはダメという制限がかけられているのかもしれない。
そしてこのパソコン、オフラインだとメモ帳もなにも使えないらしい。ファミレスまで来たのになんてこった。
どうしようかと思ったが、私のバッグに入っているポメラを差し出すことにした。娘が読書感想文を書いている間、私もnoteを書いていようかなと思っていたのだ。
だが仕方が無い。娘の読書感想文を終わらせることが今日のミッションである。私はこれまたバッグに入っていたKindleで読書をしていることにした。
パソコンの使い方にはある程度慣れている娘なので、ちょっと教えるだけですぐにポメラを使い始められた。(テキストの選択についてはトラックパッドでのドラッグでいつもやっていたため、キーボードだけでやることが最初わからなかったらしい。)
こうして、静かな朝のファミレスでポメラをポチポチしている中学生が誕生したのである。
娘が悩みながら、本を読み返しながら、ポメラに自分の言葉を打ち込んでいくのを私は眺めていた。
泣くことしかできなかった赤ちゃんがいつのまにか言葉を操るようになった。そして今、自分の気持ちや考えを言葉にして紡いでいく人間の営みに加わっているのだなあと。
やだなあ、もうお母さん泣いちゃう。
ファミレスが昼時となり混雑してきたので、私たち親子は家に戻った。
感想文は2000文字程度書く必要があったのだが、この時点で1000文字前後だった。
(本のタイトルと自分の名前を書いたまま、数日呆然としていた去年の様子を知っているのでこれは驚くべき進捗なのだ。)
夏の強烈な日差しを防ぐために締め切ったカーテン。薄暗くクーラーの効いたリビングルームで娘はポチポチと無心に言葉を入力し続けていた。
夕方、私が次に画面をのぞき込んだ時には1900文字になっていた。推敲の必要はあるものの、娘の気持ちが言葉になって画面を埋めていた。
推敲は次の日にやろうね、こういうのは一晩寝かせておくといいよとアドバイスした。娘は「ぽめちゃん」に充電ケーブルを差した。
次の日、声に出して読んでおかしなところを直す作業を一緒にやった。言葉が曖昧なところは電子辞書をひいて確かめた。
結局、娘の読書感想文は削ったり、足したりして1975文字になった。
Google Doc上で体裁を整え、無事に娘の読書感想文は提出された。読書に1日、書くのに1日、推敲・提出に1時間。
今までにないスピードで読書感想文が書けたね、何が良かった?と娘に聞いた。
「ぽめちゃんと電子辞書だけを使ったのが良かったと思う。気が散らなかった。パソコンだと調べ物をしようとしてChromeを開いた時に出てくる急上昇ワードみたいなものをついつい見ちゃうから」
お母さんがポメラを使い始めた時に抱いた感想とまったく一緒じゃないですか。と、思わず笑ってしまった。
そして、なんとなくポメラを娘に奪われる将来が見えたような気がした。
娘が文章を書くことを好きになってくれたら、お母さんはすごくうれしい。繊細で優しい子なので、心の中の思いを言葉にできるようになることはきっと彼女の助けになると思う。