【書評】サッカー戦術本「サッカーとは何か」の解説と所感 Vol.15
浦和レッズ分析担当コーチ・林舞輝さんのサッカーの本質を問う書籍「サッカーとは何か」
本書では「戦術的ピリオダイゼーション」「構造化トレーニング」という2つのトレーニング理論に視点をあてて、サッカーとは何かという漠然としていて、抽象的で、壮大な問いを追求していく
Vol.1-4では、戦術的ピリオダイゼーションの「戦術的」の部分を解説してきた
Vol.5では「ピリオダイゼーション」の部分の入り口である意味や方法を解説した
Vol.10からは「構造化トレーニング」を解説し、構造化の意味や理解に迫った
Vol.11では、トレーニングメニューを組む際の4つの条件に焦点をあてて解説した
Vol.12では、選手一人一人にスポットを当てたコンディショニング管理と、それに伴う負荷の掛け方を解説してきた
Vol.13では、3つのシーズン(プレシーズン、シーズン、移行期)の中で、それぞれどんな準備・トレーニングが大切なのかを探った
Vol.14では、短期目標で構造化トレーニングをどのように機能させていくのかを、5種類の構造化マイクロサイクルにスポットを当てて深掘りした
Vol.15では、FCバルセロナの実例をもとに構造化マイクロサイクルを解説していく
FCバルセロナの構造化マイクロサイクルの実例
Vol.14含めここまでは理論的な話ばかりだったので、実際チームのトレーニングに落とし込む時の例を出してみようと思う
FCバルセロナのある2週間の構造化マイクロサイクル
この2週間はストレングス構造と持久力構造に焦点を当てている
1週目は週末のみ試合があり、特有負荷転換期の構造化マイクロサイクルを適用している
Vol.13でも述べたように、月曜日に一般負荷のストレングスを行い、火曜日・水曜日に直接負荷・特有負荷のストレングスと持久力のトレーニングを行っている
構造化トレーニングvsジム
構造化トレーニングにおけるストレングスや持久力のトレーニングとは、ジムでのウェイトトレーニングを指しているのではない
ジムでのウェイトトレーニングをすれば、ジムのウェイトトレーニングで使う筋力が向上するだけであり、それはサッカー選手に必要な筋力ではないのだ
そして、オーバートレーニングや局所への過負荷に繋がり、内発的な怪我の原因にもなる
サッカー選手として鍛えるべきはサッカーというスポーツに焦点を当てた、サッカーにおけるストレングスでなければならない
また、ボールも一緒に使ったトレーニングにすることで、コーディネーションの要素も加わり、よりピッチで活きるものになる
まとめ
これまでVol.10-Vol.15で「構造化トレーニング」の解説をしてきた
選手個人にスポットを当てた、とても緻密でありながら合理的な考え方だと感じた
運動生理学やコンディショニングを考慮した中で、「サッカー」として活きる為のとても最適なトレーニングである
「戦術的ピリオダイゼーション」「構造化トレーニング」
チームの最適化と選手の最適化
この2つのトレーニング理論は、日本の今までの培ってきた細やかな哲学や文化を凌駕し、汎用的且つ合理的な「サッカー」の為のトレーニングである
このトレーニング理論を既に使用している欧州
未だ浸透していないアジアの極東
この差を埋めるには果てしない道のりになりそうだ
しかし、2大トレーニング理論を理解し実践することができれば
この国のサッカー未来も変わるかもしれない