黒山羊の家の紡ぎ歌 7/8
第7章 去りゆくものたち
次の朝、グレゴールが目を覚ますと、ジーホはいつものようにラジオの音楽をかけながら、何やらバタバタと忙しかった。
藤籠の中に敷いていた毛布を窓へ持っていって埃をはたき、きれいにたたんで棚へ収めている。
「何やってるんだい? 大掃除?」
「違うよ、帰るんだよ。休暇は終わり! 日常に戻るんだ」
不意を突かれて、グレゴールは思わずベッドの上で起き上がった。
「もしかして、夕べ狩りに行ったことで、気を悪くしたのかい」
「違うよ、そんなこと、僕にとっちゃ関係な