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エッセイのようななにか

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適当に書きなぐっています。書いてすぐ投稿しているわけではないので、情報は古い場合があります。
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ほのかなり君がふるさとの白

好きになった人のことはなんでも知りたくなるのが、人の性というものである。どんな服を着て、どんな休みを過ごし、どんなものを食べて育ち、どんな音楽を聴き、どんな本を読み、どんな人に囲まれて過ごし、どんな人に恋をしてきたのか。ただ気の合う人とか、一緒に過ごして楽しい人というだけでも知りたくなることがないではないが、やはり好きな人のことというのは特別感があるし、あの人の知らなかった一面を知る瞬間にしか得られない感慨がある。知りたくないことを知ってしまうこともあるが、良くも悪くも平静で

今朝見た夢の話

おことわり:夢の話なので、一部事実と異なる箇所や架空のものごとがあります。 舞台は温泉施設の大広間か休憩室のような、畳敷きの広い部屋。友達(Aくん)とふたりで、わたしの好きなひとの話をしている。なんでも、Aくんは好きなひとの秘密を知っているという。 Aくんはスマホで、好きなひとのインスタをこれ見よがしに見せてくる。縦長の画面に燦然と輝く好きなひとの名前と、iPhoneのウォレットみたいなアイコン。なんであなたがアカウントを知っているんだ、しかもわたしの見たことのない投稿が

目指してた、これでよかった

わたしには好きなひとがいた。今でも変わらず大好きだけれど、もう会っていないし、そのひとの気持ちに期待するのもやめたので、好きだったひと、なのかな。もう長いこと会っていないけれど、訳あって関わる機会は続いている。好きだけれど会わない、でも関わりだけはある、そんな縁のない腐れ縁みたいな、よくわからない状態がずっと続いていたのだけれど、きょう、それがついに切れる方向に動きはじめた。好きなひと当人は不在だったが、色々と見直そうという話になって、わたしの口から、その縁のない腐れ縁を切ろ

つらいな

つらいな、と思う。 さむい夜、布団で一緒に寝ていた犬。暖めあって、寄り添って寝ていた犬。でも犬は死んだ。代わりになってくれる子はいなさそうだから、あれ以来犬は飼っていないけれど、布団に入ってくれる何かは無くなった。別に暖かければなんでもいいわけじゃない。でも、何もない。何もないのである。一日のふりかえりに短歌を詠んで、ツイートして、スマホを充電器に挿して、寝る。それだけ。犬はいない。暖めてくれそうな代わりのものは、特にない。キンキンに冷えた布団に身体をうずめて、自分の熱エネ

池袋行き各駅停車

北海道で汽車に乗った。小雪の舞う暗いホームで芯まで冷えきった身体を、ソファみたいにふかふかな座席に委ねると、もわっ、と足元に熱気を感じた。あったかい。思わず、真っ暗な窓の向こうに目をやる。文明はありがたいな、と感じると同時に、なんだか身体の奥底がむずむずとするような感じがして、ふいに中学生だった頃を思い出した。 中学生の頃、毎週土曜に練馬駅近くの塾に通っていた。帰る頃には日がとっぷりと暮れていて、冬だとけっこう冷える。通過する急行電車を眺めながら、身体が芯から冷えていくのに

チー

それは、小学3年の冬だったと思う。母子家庭だった我が家に、一匹の犬が加わった。マルチーズのメス。関東近郊のブリーダーから、ペットショップを介さず直接我が家にやってきた。 初めてブリーダーのお宅を訪問したとき、たくさんいたマルチーズたちのなかで真っ先に私たちをお出迎えしてくれたのが彼女だった。尻尾を全力で振り回して、初対面の私たちに全速力で駆け寄ってくる白い犬。母は即決で、この子だ、と思ったらしいし、私もそれに異論はなかった。 このブリーダーは、マルチーズの美しさを競うコン

神社に行く

神社に行くのが好きだ。行くのは初詣くらいという人も多いところ、最低でも月一回は行くし、前回から一週間しか経っていないのにまた参拝することまである。 けっして熱心な神道の信心家というわけではない。むしろ私は浄土系のある宗派を信奉している仏教徒であって、家のお墓やお仏壇も仏式である。じっさいほんの数年前までは、神社に行くのは初詣くらいで、ある意味ちょっとしたイベントだった。 よく行くようになったきっかけは、バイクの点検を待つあいだ、たまたま店から近かった行きつけの神社を参拝し

輪ゴムを落とした

ある日、本屋でバイトをしていた。昼から夜までのフルタイム。ちょっと残業つき。 売場から撤収した本をバックルームに持ち込み、本の束をまとめようと輪ゴムを一本手に取ったときである。 あっ。 輪ゴムを一本、落とした。 その瞬間、胸の奥で何かがぷつんと切れたような気がした。いや、確かにぷつんと言った。聞こえた。すべてがどうでもよくなり、続けてえも言われぬ不思議な感覚の流体が胸から鼻腔のほうにあがってきて、溢れてしまった。出てくるというよりは、みるみる水位が上がってきて、溢れて

頭いいのに

冒頭から手前味噌だが、頭いいんだね、と言われる機会がとても多い。中高生時代の話になると、中高一貫校の出であることを説明しなければならないことが多々あるし、大学名を尋ねられて答えても、全く通じないか冒頭のように驚かれるかの二択である。ここでの「頭いい」というのは学業、とくにペーパーテストの成績のことだろうが、ほとんどの場合には褒め言葉として言ってくれているのだろうと思う。 ただ、自分が卑屈なのかもしれないが、おそらく褒めてくれているのであろうこの言葉を素直に喜べないことのほう

一日バーテン

12月17日の土曜日、北海道の小さな町の居酒屋での出来事である。毎年恒例のイベントに関連して、全国からの参加者80人ほどで懇親会を開催することになった。 私は企画を運営する側半分、参加する側半分くらいの感覚であり、懇親会では一参加者として飲み食いを楽しむつもりでいた。ところが少し会が進んだころ、店員のおばさんに衝撃的な依頼を受けた。 「お兄さんお酒注いだことある? やって」 ないです、と言う間もなく厨房に連行され、あれよあれよと一日バーテンダーをすることになった。混乱し

スーパーカブ

普通車の運転免許を取ったのは、大学1年の秋だった。これで全国どこでも、公共交通の通じていないところにでも行けるようになると思った。夜な夜な車を借りては、あちこちの幹線道路や首都高速道路を走りまくった。車そのものは好きではなかったけれど、移動するのは大好きだし、法規に従うというゲーム性も手伝って、毎回200km単位でオドメーターを加算していった。 しかし、運転していた車は家族のものだった。当然いつでも使えるわけではないし、ガソリン代を負担しているとはいえ、走行距離への多大な貢

年上ということ

韓国の男性は、年上の男性を「형(兄、ヒョン)」と呼ぶらしい。年上に使う二人称が、呼ぶ人と呼ばれる人の性別に応じて4通り決まっている。それだけでなく、言葉遣いも必ず敬語である。言葉は文化の裏返しだ、という言説が本当なのだとすれば、なんだか日本よりも年齢による上下関係が厳しい気がする。 むろん日本にも、年上を敬いましょう、敬語を使いましょうといった慣習がある。バイト先に同期入社した4歳年上のお姉さんたちに、私は敬語で話す。対して彼女らは私にときどきタメ口だし、〇〇くんの先輩だか

「野生の勘」が嫌いだ

友人とイオンに食料品を買いに行った。カートに食材やお菓子を山積みにしてレジのお姉さんに渡す。レジに立っているのは高校生か大学生くらいの女の子だろうか。自分とそれほど歳は変わらないと見えた。 友人が「ありがとうございます」と言ってレジを離れようとしたとき、レジ番さんの目にただならぬものを見た。ありがとうございます、とボソボソつぶやきながら友人を見つめる異質な瞳。こころなしか赤っぽい。意味するところは明らかであった。 時折、自分以外の誰かに向けられた特別な気持ちになんとなく勘

夜ふかし

いま、夜ふかしをしている。タイピングの手を止めてパソコンの画面右下を見ると、2:28の表示。いい時間だ。このところ、2時を過ぎても大して驚かなくなってしまった。 これでも、決して昔から夜をふかしがちだったわけではない。保育園に通っていた頃は21時にもう力尽きていたし、中学高校の頃も1時には布団に入っていた。長期休みにはもう少し遅くなることもあったが、それでも2時以降まで起きていることはほとんど無かったように思う。ところが大学生になってからは、23時に寝て4時に起きる日もあれ