地衣子

書いた文章を置く場所。ふだんはTwitterにいます。

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マガジン

  • エッセイのようななにか

    適当に書きなぐっています。書いてすぐ投稿しているわけではないので、情報は古い場合があります。

  • おみくじの歴史

    令和5年の初詣以降に引いたおみくじの記録です。

最近の記事

令和6年に詠んだ短歌

令和6年に詠んだ短歌のなかから、ある程度以上気に入っているものをまとめました。毎月の自選よりは広めに選んでいます。初出が新しい順です。 それぞれの歌の右下に初出の日付と媒体を書いています。媒体の記載のないものは私のTwitter(現:X)です。題詠の作品は詠題も付記しています。 最終更新:令和6年11月16日 11月発表の短歌 10月発表の短歌 暗くなるプラネタリウム 目的の違うふたりは並んで座る 令和6年10月9日 題「デート」

    • ほのかなり君がふるさとの白

      好きになった人のことはなんでも知りたくなるのが、人の性というものである。どんな服を着て、どんな休みを過ごし、どんなものを食べて育ち、どんな音楽を聴き、どんな本を読み、どんな人に囲まれて過ごし、どんな人に恋をしてきたのか。ただ気の合う人とか、一緒に過ごして楽しい人というだけでも知りたくなることがないではないが、やはり好きな人のことというのは特別感があるし、あの人の知らなかった一面を知る瞬間にしか得られない感慨がある。知りたくないことを知ってしまうこともあるが、良くも悪くも平静で

      • 今朝見た夢の話

        おことわり:夢の話なので、一部事実と異なる箇所や架空のものごとがあります。 舞台は温泉施設の大広間か休憩室のような、畳敷きの広い部屋。友達(Aくん)とふたりで、わたしの好きなひとの話をしている。なんでも、Aくんは好きなひとの秘密を知っているという。 Aくんはスマホで、好きなひとのインスタをこれ見よがしに見せてくる。縦長の画面に燦然と輝く好きなひとの名前と、iPhoneのウォレットみたいなアイコン。なんであなたがアカウントを知っているんだ、しかもわたしの見たことのない投稿が

        • 目指してた、これでよかった

          わたしには好きなひとがいた。今でも変わらず大好きだけれど、もう会っていないし、そのひとの気持ちに期待するのもやめたので、好きだったひと、なのかな。もう長いこと会っていないけれど、訳あって関わる機会は続いている。好きだけれど会わない、でも関わりだけはある、そんな縁のない腐れ縁みたいな、よくわからない状態がずっと続いていたのだけれど、きょう、それがついに切れる方向に動きはじめた。好きなひと当人は不在だったが、色々と見直そうという話になって、わたしの口から、その縁のない腐れ縁を切ろ

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        • エッセイのようななにか
          16本
        • おみくじの歴史
          4本

        記事

          つらいな

          つらいな、と思う。 さむい夜、布団で一緒に寝ていた犬。暖めあって、寄り添って寝ていた犬。でも犬は死んだ。代わりになってくれる子はいなさそうだから、あれ以来犬は飼っていないけれど、布団に入ってくれる何かは無くなった。別に暖かければなんでもいいわけじゃない。でも、何もない。何もないのである。一日のふりかえりに短歌を詠んで、ツイートして、スマホを充電器に挿して、寝る。それだけ。犬はいない。暖めてくれそうな代わりのものは、特にない。キンキンに冷えた布団に身体をうずめて、自分の熱エネ

          池袋行き各駅停車

          北海道で汽車に乗った。小雪の舞う暗いホームで芯まで冷えきった身体を、ソファみたいにふかふかな座席に委ねると、もわっ、と足元に熱気を感じた。あったかい。思わず、真っ暗な窓の向こうに目をやる。文明はありがたいな、と感じると同時に、なんだか身体の奥底がむずむずとするような感じがして、ふいに中学生だった頃を思い出した。 中学生の頃、毎週土曜に練馬駅近くの塾に通っていた。帰る頃には日がとっぷりと暮れていて、冬だとけっこう冷える。通過する急行電車を眺めながら、身体が芯から冷えていくのに

          池袋行き各駅停車

          チー

          それは、小学3年の冬だったと思う。母子家庭だった我が家に、一匹の犬が加わった。マルチーズのメス。関東近郊のブリーダーから、ペットショップを介さず直接我が家にやってきた。 初めてブリーダーのお宅を訪問したとき、たくさんいたマルチーズたちのなかで真っ先に私たちをお出迎えしてくれたのが彼女だった。尻尾を全力で振り回して、初対面の私たちに全速力で駆け寄ってくる白い犬。母は即決で、この子だ、と思ったらしいし、私もそれに異論はなかった。 このブリーダーは、マルチーズの美しさを競うコン

          神社に行く

          神社に行くのが好きだ。行くのは初詣くらいという人も多いところ、最低でも月一回は行くし、前回から一週間しか経っていないのにまた参拝することまである。 けっして熱心な神道の信心家というわけではない。むしろ私は浄土系のある宗派を信奉している仏教徒であって、家のお墓やお仏壇も仏式である。じっさいほんの数年前までは、神社に行くのは初詣くらいで、ある意味ちょっとしたイベントだった。 よく行くようになったきっかけは、バイクの点検を待つあいだ、たまたま店から近かった行きつけの神社を参拝し

          神社に行く

          輪ゴムを落とした

          ある日、本屋でバイトをしていた。昼から夜までのフルタイム。ちょっと残業つき。 売場から撤収した本をバックルームに持ち込み、本の束をまとめようと輪ゴムを一本手に取ったときである。 あっ。 輪ゴムを一本、落とした。 その瞬間、胸の奥で何かがぷつんと切れたような気がした。いや、確かにぷつんと言った。聞こえた。すべてがどうでもよくなり、続けてえも言われぬ不思議な感覚の流体が胸から鼻腔のほうにあがってきて、溢れてしまった。出てくるというよりは、みるみる水位が上がってきて、溢れて

          輪ゴムを落とした

          思う事なし――令和5年3月3日氏神様

          ひなまつりですね。館山のひな人形を見に行きたいのですが時間が取れなさそうです。家族の送り迎えついでに、旅行の安全祈願と個人的なお願いで参拝しました。運勢は大吉。 和歌何の比喩もない、読んで字の如き歌ですね。なんでも思い通りになりそうです。 解説これまでずっと「待て」「待て」ばかりだったのが、いよいよなんだそうです。目上の人の思いがけない引立ってなんでしょう。評価されるのかなあ。 「暮らされます」の「れる」は可能の意味で使っているんでしょうかね。日常場面では「暮らせる」と

          思う事なし――令和5年3月3日氏神様

          頭いいのに

          冒頭から手前味噌だが、頭いいんだね、と言われる機会がとても多い。中高生時代の話になると、中高一貫校の出であることを説明しなければならないことが多々あるし、大学名を尋ねられて答えても、全く通じないか冒頭のように驚かれるかの二択である。ここでの「頭いい」というのは学業、とくにペーパーテストの成績のことだろうが、ほとんどの場合には褒め言葉として言ってくれているのだろうと思う。 ただ、自分が卑屈なのかもしれないが、おそらく褒めてくれているのであろうこの言葉を素直に喜べないことのほう

          頭いいのに

          道埋る――令和5年2月6日氏神様

          前回おみくじを引いてから5日しか経っていませんが、氏神さんのところを通りがかったので挨拶がてらの参拝です。運勢は中吉でした。 和歌私自身は雪道や雪景色が好きなので少し違和感があるのですが、おみくじの和歌で低温だったりドカ雪が降っていたりするのはあまりよくないことの表象に思えます。吹きあるゝ嵐ですからね。希望が見えない歌です。 解説けっこうきびしい訓示です。和歌は道埋るまで雪がふりつんだところで終わっていて、将来の希望が全く見えませんでしたが、こちらでは雪が消える未来につい

          道埋る――令和5年2月6日氏神様

          一日バーテン

          12月17日の土曜日、北海道の小さな町の居酒屋での出来事である。毎年恒例のイベントに関連して、全国からの参加者80人ほどで懇親会を開催することになった。 私は企画を運営する側半分、参加する側半分くらいの感覚であり、懇親会では一参加者として飲み食いを楽しむつもりでいた。ところが少し会が進んだころ、店員のおばさんに衝撃的な依頼を受けた。 「お兄さんお酒注いだことある? やって」 ないです、と言う間もなく厨房に連行され、あれよあれよと一日バーテンダーをすることになった。混乱し

          一日バーテン

          運転スペースについて

          (最終更新:令和5年2月2日) Twitterで不定期に「運転スペース」なるものをやっています。それについて色々。 どんなスペースなのか私が車を運転する音を流す、作業音垂れ流しスペースです。なので、誰もいないときは原則として無言です。車のエンジン音と周りの車の音と、たまにウインカーのリレー作動音が聞こえるくらいだと思います。まれに運転支援システムの誤動作に悲鳴を上げたりもしますが……。 ただ、せっかく来てくれる方がいるなら喋りたいし、無言を貫くのはなんだか悪いなあとも思

          運転スペースについて

          若葉の色――令和5年2月1日氏神様

          今月もおみくじを引きました。 おみくじを開いたら、まずは運勢ではなく裏の「神の教」欄を見るのがいつもの流れなのですが、文章になんだか見覚えが……。 もしかして、と思って表を見ると運勢は末吉。和歌は「若葉の色ぞ美くしき」。先月引いたのとまったく同じものでした……。 当然分野ごとの運勢も全く同じ。こんなことあるんですね。まだまだ待たないといけないようでした。

          若葉の色――令和5年2月1日氏神様

          スーパーカブ

          普通車の運転免許を取ったのは、大学1年の秋だった。これで全国どこでも、公共交通の通じていないところにでも行けるようになると思った。夜な夜な車を借りては、あちこちの幹線道路や首都高速道路を走りまくった。車そのものは好きではなかったけれど、移動するのは大好きだし、法規に従うというゲーム性も手伝って、毎回200km単位でオドメーターを加算していった。 しかし、運転していた車は家族のものだった。当然いつでも使えるわけではないし、ガソリン代を負担しているとはいえ、走行距離への多大な貢

          スーパーカブ