夜ふかし

いま、夜ふかしをしている。タイピングの手を止めてパソコンの画面右下を見ると、2:28の表示。いい時間だ。このところ、2時を過ぎても大して驚かなくなってしまった。

これでも、決して昔から夜をふかしがちだったわけではない。保育園に通っていた頃は21時にもう力尽きていたし、中学高校の頃も1時には布団に入っていた。長期休みにはもう少し遅くなることもあったが、それでも2時以降まで起きていることはほとんど無かったように思う。ところが大学生になってからは、23時に寝て4時に起きる日もあれば、3時に寝て13時に起きる日もあって、よく国内時差ボケしないものだと自分で感心するほどである。ちなみに翌朝授業やおでかけがなければ、夜ふかしして寝坊していることのほうが多い。

文章を打っていて、ふと高校時代に部活のOBから言われたひとことを思い出した。彼は当時大学生になって何度か留年もしていたのだが、毎朝8時台の始業めがけて電車通学している自分にこう言った。

「いやほんと、君たちよくやるなって思うよ。僕も高校時代は大学生って朝ゆっくりだな羨ましいなって思ってたんだけどね、いやいや朝早いもん。2限ですら早起きしなきゃってプレッシャー。そのうち3限でも朝早いって言い出すから……そんな大学生になっちゃだめだよ」

その先輩自身のキャラも手伝ってか、少し呆れつつも微笑ましく話を聞いていた。正直自分ごととしては考えていなかった。ところが自分もいざ大学生になってみて、なるほど今思うと言っていることがわかるような気がする。夜までバイトをしたりレポートを書いたり遊んだりしているとあっという間に日付が変わってしまうし、それからお風呂に入ったりなんなりしていると、寝る時間はあまり残されていないものである。さらには、夜に車でどこかに走りにいった日には、2時間は帰ってこられない。大学生活には夜ふかしの要因がごろごろ転がっているというわけ。むろん高校時代にも塾という拘束時間があったわけで、これらはおよそ言い訳にすぎないのであるが。

そんな大学生になっちゃだめだよ。今高校生の後輩と話す機会があったら、あるいは夜ふかししていなかった過去の自分と話す機会があったら、おそらく同じ台詞を言ってしまうと思う。でもね。この夜の時間のおかげでいろんな考えごとができたり、車の運転にちょっぴり慣れたりもしたんだよ。おとなの特権だよ。むろん悪いこともたくさんあったけれど、悪いことばかりではないと思うな。そう小声で付け足せる確証はないが、これもまた本音である。

こんなことを考えていたら、画面の時刻表示は3:01になった。夜型なのか、考えごとは夜のほうが捗るらしい。今日もなんの役に立つのかわからない考えごとをしていたら夜をふかしてしまった。さすがにもう寝なければ。いま、3:02。おやすみなさい。

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