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わんちゃんの関節痛の原因って?|早期発見と日頃の対策が肝心!

◎獣医師執筆◎

関節痛に悩むわんちゃんは多いですよね。年齢のせいだと思って飼い主様が放置すると、どんどん悪化してわんちゃんの生活の質が下がってしまう可能性がある、恐ろしい疾患です…。

今回は、わんちゃんの関節痛のそもそもの原因や、どのようなわんちゃんが関節痛になりやすいのかを解説します。さらに、関節痛の対策として飼い主様にできることもご紹介します。5分ほどで読める記事となっているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

わんちゃんの関節痛の原因

わんちゃんの関節痛は、多くの場合 ①関節の疾患で痛みが出る ②痛む場所をかばって生活するうちに患部自体が悪化または他の部分も痛みはじめる…という流れで悪化します。

おおもととなる関節疾患にはさまざまなものがありますが、ここでは比較的よくみられる疾患についてご紹介します。(注1) 原因疾患がさらに悪化すると、慢性的な関節痛に悩むことになってしまうかもしれません…。

【原因①】変形性関節症(DJD)


変形性関節症は、シニアになると増える関節の疾患です。関節の軟骨と周囲の組織が損傷して、痛みや関節の腫れなどがつづきます。進行していくと、関節自体が変形することもあります。

【原因②】前十字/後十字靭帯断裂


膝の靭帯が、加齢肥満などの原因で切れたり、損傷し歩きづらくなる疾患です。進行すると、半月板という軟骨も痛みさらに悪化します。

【原因③】形成不全


股関節形成不全は、股関節の発育がうまくいかず、成長とともに股関節の炎症が進行して痛みを感じる疾患です。運動量の多い大型のわんちゃんに比較的よくあらわれる疾患です。

【原因④】骨軟骨症


骨軟骨症は、ここまでご説明したほかの疾患とは異なり、若い年齢で発生することが特徴です。大型や超大型のわんちゃんの、5~10ヶ月齢程度の成長期にみられることが一般的です。女の子のわんちゃんより男の子のわんちゃんに多く発生し、前腕の骨や二の腕の骨、太ももの骨などに左右対称で出ることが多いです。

関節痛になりやすいわんちゃんの特徴

ここからは、どのようなわんちゃんが関節痛になりやすいのかを解説していきます。

・シニア犬


シニアになると、関節がすり減る、または関節内部でクッションの役割を果たす関節液(滑液)が減少するなどの原因で、変形性関節症などの関節の疾患を発症しやすいです。筋力の低下なども影響し、関節への負荷が大きくなることで関節痛が悪化しやすいです。

・肥満のわんちゃん


肥満のわんちゃんは、日々の生活や少しの段差などから飛び下りるなどの動作でも関節にかかる負担が大きいです。運動もしたがらない傾向があるため、筋力も落ち悪循環になる傾向があります。

・大型のわんちゃん


肥満と同じく、大型のわんちゃんも体重の負荷が関節にかかりやすいため関節を痛めやすいと言えます。特に激しい運動を行うわんちゃんの場合、関節を痛めやすい傾向があります。

・遺伝的なリスクのあるわんちゃん


股関節形成不全や骨軟骨症は、遺伝的な要因が強い疾患です。(注2)ブリーダーさんなどから情報を得た場合には、より注意深い観察が必要になります。

・生活環境が適切でない場合


フローリングの床は滑りやすいため、わんちゃんの関節に負担を与えます。爪の伸びすぎも、歩きにくさから関節に負担をかけます。その他、必要な栄養を摂取できない不適切な食事もリスクとなるでしょう。

関節痛対策のために飼い主様ができること

ここまで、わんちゃんの関節痛の原因や関節を痛めやすいわんちゃんの特徴についてお伝えしました。これらを踏まえ、わんちゃんの関節痛対策のために、飼い主様がしてあげられることをご紹介していきます!

【対策①】日々の観察で早期発見を


先ほどもお話したように、関節痛は直接的な原因があり、そこをかばい続けることで悪化するという、負のスパイイラルに陥ることが多いです。早期発見することで、進行を遅らせる、または完全に治癒できる可能性もあります。

いつもと少し歩き方が違う、お散歩に行きたがらないなどの異変を見逃さないよう、日頃から注意深く観察しましょう。

【対策②】肥満の場合はダイエット


肥満は関節痛だけでなく、さまざまな病気のリスクになります。わんちゃんの寿命にも影響する重大な要因なので、適切なフードを適切な量あげるようにしましょう。

過度の運動はかえって関節に負担をかけてしまうため、日々のお散歩などの適度な運動によってダイエットすることが大切です。

【対策③】生活環境の見直し


室内で暮らしているわんちゃんの場合、部屋がすべてフローリングというのはわんちゃんの関節に良くありません。可能な限り、カーペットやジョイントマットなどを利用しましょう。

わんちゃんが高い段差などを頻繁に上り下りすることも、関節にダメージを与えます。ソファや人のベッドから毎日飛び下りる、というのもオススメできません。人の「バリアフリー」をイメージして、可能な限りわんちゃんの生活の中から高低差をなくす工夫をしましょう。

【対策④】爪や毛のお手入れをこまめに


爪が伸びすぎていると歩きにくく、関節に負担をかけまてしまうため、こまめに切ってあげましょう。肉球周囲の毛をカットしておくと、フローリングでも滑りにくくなります。

【対策⑤】療法食なども検討する


獣医師さんと相談し、ドッグフードメーカーから販売されている「関節サポートなどの専門療法食を取り入れるのもオススメです。

関節にはグルコサミン、コンドロイチン、コラーゲン、DHA・EPAなどの不飽和脂肪酸、ビタミン類などの栄養が良いとされています。これらを多く含む食材や、サプリメントを取り入れるのも良いでしょう。

ただし、サプリメントを取り入れる場合も、事前に獣医師さんへ相談するようにしましょう。

わんちゃんの関節痛には早期の対策を


わんちゃんの関節痛を予防するためには、若いうちから、自宅の床を滑りにくい素材にしたり段差をなくしたりする、などの工夫が必要です。また、適度な運動を行い、肥満にならないように気をつけましょう。

関節痛は放っておくとどんどん悪化してしまいます早期の発見と対策がとても大切です。飼い主様の細やかな観察と工夫で、わんちゃんが関節の痛みに悩むことなく走り回れる日々を守りましょう。

●ライター:ttm
獣医師の資格を保有
●編集:うしすけチーム


注1 :参考文献 イヌネコ家庭動物の医学大百科 財団法人動物臨床医学研究所
注2:日本動物遺伝病ネットワークhttp://www.jahd.org/disease/about_hipjoint

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