農園うしお(7月中旬号(きゅうり))
こんにちは!
毎度、家庭菜園ネタの方が熱量が上がる牛尾です!
ちょうど今、私の農園ではきゅうりが収穫真っ最中です。長らく家庭菜園をしてきましたが、きゅうりは私と相性がいい野菜(あんまり苦が無く育てられるという意味)の一つでして、思い入れのある野菜です。
今回は、そんなきゅうりの小話についてお送りしたいと思います。
きゅうりのイロイロ
きゅうりといえば、スーパーなどでもほぼ間違いなく毎日並んでいる、非常にスタンダードな野菜かと思います。
ただ、一般の方はあくまで消費者目線から眺めることがほとんどで、生産者目線からみる機会はほぼ無いのではないでしょうか。今日はそっちの方面からきゅうりを眺めてみましょう。
また、他の野菜と違った不思議な特徴や、栄養面のことにも触れていきたいと思います。
①見た目の形の違い
日本のスーパーなどで流通しているきゅうりはほとんど、白イボ系というタイプになります。表面はわずかにイボイボがあります。また、ブルームと呼ばれるワックス成分(わずかに白みがあり、曇ったように見えます)も、僅かにあります。
過去、ブルームが白っぽく残るきゅうりは「農薬が残っているんじゃないか?」と敬遠されることがありました。そのため、現在流通に乗るキュウリのほとんどは、ブルームが無いものか、非常に少ないものかに分かれています。
実際には、ブルームは農薬とは全く関係ありません。また、ブルームがある品種では、残っている物のほうが新鮮です。これはイボに関しても同様で、イボがしっかりと残り、ツンとしている方が新鮮です。
これに対し、イボやブルームがほとんどないタイプの、イボなし系のきゅうりもあります。表面がつるっとしています。料理の下処理(塩あらい)などの手間が省けるため、その方面の方々からの支持を得ている品種になります。皮は、イボありに比べれば若干厚い傾向があり、また歯触りも少し異なりますので、好みが分かれてくるところです。
他にも、ドーンと太くなる加賀の地方野菜、加賀太きゅうりや・・・
長さがあって、奈良漬け等によく使われる大和三尺きゅうり・・・
イボがたっぷり、ツンツントゲトゲしている四葉(すよう、すーよー)系や、その改良品種で少し短めに成る四川(しせん)系のきゅうり・・・
・・・と、こんな感じでいろいろあります。
ちなみに私は、四葉きゅうりがダントツで好きなので、毎年四葉しか作っていません。もちろんどのタイプもそれぞれの美味しさがありますが、私の舌には四葉がぴったりとハマっています!(笑)
四葉は皮が薄くて傷つきやすかったり、イボイボが取れると鮮度がガクンと落ちやすいので、あまり流通に乗らないというのが泣き所。だからこその家庭菜園で、畑から食卓へ、最短距離での産地直送にて楽しむというのが、私のスタイルです(^^)
②節なりと、とび節なりの違い
これは、蔓への実の着き方による違いです。
節なりのものは省スペースで育てやすい特徴があります。親蔓に雌花が咲いて着果するので、1本支柱で伸ばしていくスタイルに適しています。
対して、飛び節なりのものは親蔓には着果しない(しにくい)タイプです。親蔓がある程度伸びた後、摘心し親蔓を止め、新たに小蔓・孫蔓が出てくるように仕立てます。その小蔓・孫蔓をネット等を使って横方向に広げながら栽培するか、カボチャのように地面に這わせて栽培するやり方が基本となります。この場合、実が直接土につないように、敷き藁などを一緒に行います。こうしておくと、ひげが藁に絡むので、突風にも強くなります。
私の畑では、ネットを用いた立体栽培(地這いではない、ということ)でやっています。
圃場にもよりますが、私の畑にはけっこうカタツムリ・ナメクジ系がいるので、地這いだと結構かじられてしまいますので、なかなか難しい所があるんです。また、水はけもあまり良くないので、大雨の際に水没しやすいことも理由の一つです(苦笑)
杖を立てる立体栽培では、ネットを張ったり、誘引する手間はかかりますが、実が高い位置に成ります。ですので、収穫時は腰をかがめなくていいので楽ですね。また、古い葉を落として風通しを調整するのも、非常にしやすいです。
なお、現代の一般的な専業農家は、面積当たりの収率の良し悪しがあるので、立体栽培で管理することがほとんどです。そういう見方をすれば、地這い栽培は、ある意味レアで贅沢な育て方なのかもしれませんね(^^)
③単為結果性
他の野菜ときゅうりの大きな違いの一つに、この単為結果性があります。すべてのきゅうりが持つわけではないのですが、現在栽培されているきゅうりのほとんどがこの性質を持っています。
みなさん昔、理科の時間に「めしべに花粉がくっついて受粉し、それから実ができる」という授業を受けたかと思います。つまり普通は、受粉が失敗すれば実が付かないわけですが・・・
これが、きゅうりの場合は違うのです。受粉しようがしまいが、実がなるのです。雌花が単独で実を付ける事ができるこの性質は、単為結果性といいます。
通常、スーパーなどで見るサイズのきゅうりだと、受粉したものなのか、単為結果のものなのかは、ほぼ見分けが付きません。中を切っても、種ができる前の状態なので、ほとんど分かりませんし、食味も変わりません。
家庭菜園では、収穫適期をやや過ぎてしまい、意図せず大きくし過ぎてしまったきゅうりを食べることが多々あります。この場合だと、受粉したきゅうりにのみ種ができていることが分かります。なければ単為結果のものだったという事です。
他にも、イチジクや温州ミカン、バナナなどもこの性質を持っています。
④栄養成分
きゅうりは、重量の約95%が水分でできています。このため、一時期「栄養がほとんどないきゅうりに、お金だすのなんてもったいない!」なんてことを言った人がいたようですが・・・とんでもない!水分が多いきゅうりですが、ちゃんと栄養も入っていますよ!(^^;)
まず、きゅうりにはカリウムが多く含まれています。カリウムは体内の浸透圧の調整に密接に関わっていて、血圧を適切に調節する役割などを持っています。また、足などが「つる」のを防ぐ作用もあります。このカリウムは発汗などで失われやすいので、夏場に食べるきゅうりは、この補充にぴったりの食材です。
食物繊維も含んでいます。もちろん、大量に入っているわけではないのですが、比較的ポリポリと食べやすい野菜なので、摂取しやすいかと思います。水溶性・不溶性食物繊維もどちらも入っています。
またビタミンKも入っています。これは骨の形成や血液凝固、細胞の増殖に重要な役割を持つ栄養素になります。
微量栄養素も、銅やモリブデンを土から吸収しています。銅は鉄と同様、血液の中の赤血球を作る際に重要な役割を持つため、貧血防止に役立つ栄養素です。モリブデンは銅の体内濃度の調節などに役立っています。
最後に、もしかしたらご存じのかたがいるかもしれませんが、一昔前に「きゅうりはビタミンCの働きを阻害するから、ビタミンCを多く含む食べ物と一緒に食べちゃダメ!」と言われていた時期がありました。これは、きゅうりが持つ酵素が、還元型ビタミンCを、酸化型ビタミンCに変化させることによるものでした。
ただ現在では、酸化型ビタミンCとして摂取したとしても、体内では還元型ビタミンCに変化(戻る)ことが分かっています。みなさん、安心してボリボリ食べましょう!(笑)
きゅうりは、人間が生きていく上で大切な栄養をしっかり持っています。いっぱい食べて、この暑い夏を一緒に乗り切っていきましょう!(^^)
・・・おわり
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