USG TOUR「Patrick Vegee」ライブレポート
UNISON SQUARE GARDEN TOUR「Patrick Vegee」、
2022.1/26(水)東京ガーデンシアター公演を観てきました。
自分、神奈川県民なのですがFC先行では自宅から近い会場の公演は悉く落ちて近々のユニゾンライブは何故か毎回東京公演だけ当たります。ガーデンシアターここ1年で何度行ったことか。
で、チケットの当落が昨年の6月だったんですね。さすがに半年待たされるのは生殺しだなと思いつつ、関東圏で行けるライブ無いかな、と思ってたら昨年10月の千葉公演が一般発売で余裕で買えまして。既にそちらを観ていたのでネタバレ済みで2回目の観賞に臨んだ次第です。
いやしかし、コロナ禍のなかあえて元々席数抑えてたのかもしれないけど、余裕で関東公演が一般でチケット取れるなんてユニゾンのライブではめったにない状況で。それほど今が異常事態なんだと思います。
このnote始めた辺りでは「不要不急なものはこの機に淘汰されるものもある。それは時代の流れが早く来ただけでしょうがない」的なこと偉そうに書いてましたが自身の周りのエンタメで感じると浅薄だったなと考え改めますね。新しい生活様式自体は大いに賛同ではあるのだけれど。
そんな感じで2公演踏まえた自分の感想兼レポートを。本公演がファイナルなのでセトリはネタバレ解禁です。
そもそも、今回のアルバムツアー、アルバムの発売自体は一昨年の9月なんですね。コロナ禍真っ只中だったこともあり、アルバム出してすぐさまツアーとは行かず1年寝かせた状態から昨年10月よりツアー開始と相成った次第です。
そもそもこの「Patrick Vegee」というアルバム、バンドの持つポップネスはそのままに各楽曲はそれぞれ好き勝手やってる、そしてそれを一つの組曲みたいにした割と変化球な作品で。
15年以上を超える彼らのバンドとしての活動を踏まえ、「もうこれからは好き勝手楽しくバンドやります」的なアルバムだったんですね。
⇧ 一応自分なりの感想はこれです。読み返すと文章が今以上に稚拙でちょい恥ずかしい。
前作「MODE MOOD MODE」がバンド史上非常にポップに振れた内容かつ彼らのキャリアとしても一つの完成形、区切りのようなアルバムだったので、さぁここからどうするんだという気持ちもありつつ。
このアルバムを引っさげた前回のアルバムツアーも彼らの集大成、ロックバンドにおける「ライブ・ショー」の極みのようなものを感じていて、個人的には彼らの中で一番のクオリティのライブ(ツアー)だったと思っています。
初武道館や、舞洲での記念ライブは別枠としても。
(あと個人的に彼らのカップリング曲がなんならアルバム曲より好きなのでカップリングツアーは自分好みという点では最高でしたが)
そして、今回のツアー。
ベースの田淵智也は「当初はアルバムに沿いかつハードな曲を中心に見せるライブを考えていたが、コロナ禍により時間が空いたことにより考えが変わった」という旨の発言を何かのインタビューで読んで、一観客としてはどうなるのだろうと色々身構えていました。
そんな中で自分が観測した彼らのライブ。
先に結論から言うと最高でした。以下に披露した楽曲毎にゆるりと感想を書いていきます。
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1.Simple Simple Anecdote
最初はこの曲。
斎藤さんのサビ弾き語りからバンドアンサンブルへ。
実は、一曲目だけTwitterのTLで盛大にネタバレを見てしまい、この曲始まりなのは知っておりました。
ただこの曲ふんだんにアコギ使う曲なので、後出しっぽいですが演るなら最初か最後のどちらかなんじゃないかなぁ、とは予め思ってたので予想の範疇ではありました。ちなみに演奏自体はバリバリのエレキでしたけど。
2.Hatch I need
ここでアルバム一曲目の攻撃的なロックチューン。
最近のアルバムツアーは一曲目をライブでそのまま一曲目でやることが多かったんですが、今回はこの位置に。
音楽ライブという性質上しょうがないんだけど、どうしても一曲目はお客さんが様子見に入っちゃうので近々のアルバムツアーに関しては楽曲のポテンシャルが正当に発揮できてない感も思っていたりで。
(M-1でもトップバッターは点数低めになっちゃいますよね。あれです。)
そういう意味では今回場を温める二番打者での起用は良かったと思います。
余談ですがこの前の配信ライブで中盤にやったOwn Civilizationとか最高でしたよね。
曲順の妙でアルバムの序曲はまるっと輝き方を変えると思います。
3.マーメイドスキャンダラス
アルバムと同様に前曲の「I need Hatch」のフレーズからこの曲へ。
各アルバムの序盤に1曲は置かれる「ザ・ユニゾン」というロックチューン。この3曲の流れで会場をユニゾン色に暖める準備運動が整った気がします。
4.Invisible Sensation
ここで前アルバム収録のシングル曲。最近は終盤の盛り上がり所で披露される楽曲だったけどこのツアーでもやるとは。
「だから、生きて欲しい!」のフレーズが現況下で確かな説得力を会場にもたらす。推察だけれども、この曲こそコロナ禍を経て急遽セトリに組み込み直したのかなとも思ったりなどしました。
5.フライデイノベルス
一区切りからの斎藤さんMC「みんなが聴きこんでくれた今回のアルバム曲をぶっ壊します」宣言から演奏される曲はまさかの前々作のポップロック。一気に会場が多幸感溢れる世界に。
この曲始まりの前に斎藤さんがコードをジャラーンと一回弾いたのだけど、「あっフライデイノベルス来る」とズバリ当てたので褒めてほしい。
6.カラクリカルカレ
4,5曲目の流れで「なるほど今回はアルバム曲以外はポップな曲で固めてくるのか、そういう感じか」と思わせてからの1stアルバムのロックチューン。フェスではたまに演奏されるがツアーで聴くのは何時振りだろう。
ユニゾンのストレートな疾走3分ロックが大好きな贔屓目もあるけれども、この曲が演奏された時点で「このライブ、当たりだ」と確信。
7.Nihil Pip Viper
新曲。
この曲こそ今のバンドのタームを如実に表しているというか、「好きなように曲作ったらこうなりました」に溢れる楽曲。みんなたのしそう。(アホ感想)
8.Dizzy Trickster
そして前作のロックチューン。Invisible~もそうだけどこの曲もかなり前作のカラーを表している曲だと思うので、ここでの披露は正直予想外でした。最近のユニゾンのライブは「もう一盛り上がり」という所でこの楽曲をセトリに組み込んでいる印象。数年前まで「23:25」を毎回のように演奏している時期があったけど今はこの曲がその枠なのかな。
正直最初に千葉公演でこの曲を聴いた時は「好きな曲だけどまた前作のこれやるんだ…」と思った節はあるのだけど、あえてこの曲を擦る理由は「詞」に着眼点を当てたから、というのもあるのかなと予想。
アルバム「CIDER ROAD」~「Dr,Izzy」までの時期はある種執拗とも言うくらい「自分たちはこういうバンドだ」との意志を歌詞に込めた曲が多かった印象があるのだけど、直近の楽曲だとそれがこの曲なのかな、と。
色々で言い表せない状況が重なった今、あえてバンドのスタンスを示す曲かつセトリの流れで演奏するにはこの曲が相応しいのかな、とも思いました。個人の感想です。
歌詞リンクを。
9.摂食ビジランテ
前曲で一盛り上がりを終え、一旦間を空けてからのシリアスかつ変化球なロック曲。
アルバムでは他の曲に隠れがちな印象があったけども、今回の公演ではこの楽曲でロックバンドの矜持を見せつけた気がしました。
いやこの音圧スリーピースで出してるのおかしいだろ。絶対ステージ裏に各パート1人ずつ影武者いるだろ。
10.夜が揺れている
今回のツアーでのサプライズ曲かも知れないですね。
2ndアルバム「JET CO.」から1曲。体感ですがMMMツアー辺りまで2ndの曲は「ライドオンタイム」「アイラブニージュ―」「23:25」を除いてこれまで演奏されるのはレアだった印象ですが、コロナ禍以降はNormalツアーだったりリバイバルツアーもあったりで演奏される機会がやたらと増えた気がします。今の演奏で過去の曲を聴けるのはファンとして嬉しい。
11.夏影テールライト
はい来ました超絶怒涛のハイパーウルトラめちゃエモ切な名曲です。自分の2020年ベストソング。
自分の世界線ではMV2000万再生越えiTunesランキング10週連続1位は余裕で行ってるんですが。このハイパーウルトラめちゃエモ切な名曲がミリオン再生にすら届いていない現状はちょっとどうかしてると思います。
詞、曲ともに「こういうユニゾンを待ってたんだよ」で自分の性癖にドン刺さりです。
ライブというか曲の感想になっちゃってますが、この曲聴いてない人はさっさと聴いて下さい。
12.オーケストラを観にいこう
ここでMMMからもう一曲来ました。
照明も前作のテーマカラーの黄土色に染められ、壮大なオーケストラの同期とともに鳴らされる爽やかなバンドサウンド。
前回のアルバムツアーで度肝を抜かれた楽曲のフィニッシュとともに客電が真っ暗になる演出は今回も健在。
13.Phantom Joke
暗転からの間を置かずに変拍子のスピードロック。音の暴力。
正直オーケストラ~の演出再現からバラードとかになったら前ツアーの焼き直しみたいで何かなぁ、と思っていたのだけど「そうは行かねぇよ」とばかりの変態曲をここでぶち込んでくる辺りがユニゾンらしさだなぁとも。
一応学生時代にユニゾンの曲をコピバン的なのやってたんですが、仮にいま学生だったとして「この曲のリードギターやって」って言われたら全力で回避します。
ドラムソロ〜セッション
来ました貴雄ドラムソロ。今回の流れは過去ツアー振り返っても一、二を争うほど好きかも知れない。
ドラムソロに関して、今回はビートは王道なのだけど、相変わらず手数が鬼で。ある種のシリアスさも感じる熱演。
毎日のようにYoutubeでゲーム実況してるおじさんですが、「そういえばこの人バカテクドラマーだったなぁ」と。
そしてソロが終わり三人でのセッション。
今回のセッションは次曲に繋がるツアー史上最もヒリヒリするような内容でした。非常にシビアな拍子、タイミングでのキメをひたすら続ける彼ら。音数は最小限だけれども観客に息も継がせぬ内容。
14.世界はファンシー
その流れで今アルバムのリード曲かつ一、二を争う変態曲。全然ファンシーなんかじゃない。
ライブ前半ではハード寄りな曲も交えつつも印象としては「ポップなライブ」だったのだけど、いつの間にか会場が完全にロックバンド然とした雰囲気になっている。この雰囲気作り、スムーズな移行は流石のセトリおじさん。
15.スロウカーヴは打てない (that made me crazy)
メンバー全員が音楽楽しんでるなっていう微笑ましい楽曲。冷静に考えるとこの曲もリズム取り鬼なんだけど。
この曲は特に田淵がステージ中を縦横無尽に駆け回る。3人の定位置がストライクゾーンだとしたらずっとボールゾーンを名の通りスロウカーヴのように動きながらベースを奏でる。そしてコーラスの時は帰巣本能が働いて定位置に帰ってくる。かわいい。
でもなんでその動きしつつあのベースライン弾けんだよ。
16.天国と地獄
手を緩めることなく伝家の宝刀。
意外と最近やってなかった気もする。まぁ、この曲やればフロア湧きますよ。あえて語る必要もない気がします。
この曲学生時代コピーしてましたがギターめっちゃ楽しいですよ。ああ見えてユニゾンの中で実は竿組に関しては弾きやすい方の曲なんじゃないかなと思ってます。ドラムは鬼だと思いますが。
最初のイントロと間奏の2回、15/16拍子とかいう訳わかんないこと要求されるけどそこ乗り切れば。
リードギターと田淵コーラスやってたんですがサビ最後の「今夜も駄々騒ぎ~」のとこをギターの単音と共に歌いながら弾くとかなりドヤ顔できます。
17.シュガーソングとビターステップ
これも説明不要の代表曲。ここでライブ本編が大団円を迎えるような感じです。まだ物足りないような気もするけど実は17曲もやってたという。
この曲の発表から時間が経ち、一周回ってこの曲をセトリにお約束で入れるでも逆張りであえて入れないでもなく「ワンマンライブのセトリの流れによって他の曲と同様入れたり入れなかったりする曲」と同じ扱いになったのは数年を通しバンドがこのヒット曲だけに頼らず歴史を積み上げてきたことの証だと思います。
18.101回目のプロローグ
アルバム最後の曲。そしてライブ本編でもトリを飾る。この曲はこの位置だよなあと。
「世界は七色になる!」でステージの照明が歌詞通り七色になる演出、初見でもビックリしましたが昨日観た二回目も変わらずおおっとなりました。
あまり派手な演出を行わず、無骨にロックを演るバンドだからこそ、時たま来るオーケストラの暗転や今回の七色演出が際立つのよね。
そして落ちサビ、フルカラープログラムを思わせる斎藤さんのアカペラ。
この日ライブに集まった「物好き」達一人ひとりへのこれ以上ないメッセージでしょう。
ーEncoreー
現況下もあってか、アンコールは早めに登場。
MC。
「やっちゃダメだ、と言われてまで無理やりライブをやるつもりは無いけれど、もしライブをやれる環境があって、対策をしつつこうやって皆も楽しんでくれるのであればこんなに楽しい場を無くすつもりは更々ない。そして、様々な理由で今回ライブに行かないという選択をした人もいると思う。その人達がいつでもふらっと戻ってこられるように自分達はライブを続けて行きたい。」
コロナ禍になってから、毎回アンコールでのMCで斎藤さんはこの旨の発言をしている。これがこのバンドのスタンスだと言うように。
そしてこの場を守るためには、バンドの想いを汲んで観客側も自分に出来ること、感染対策・ライブでのマナ―遵守はしっかりと続けていくべきだと改めてこのMCを聴く度に思います。
勿論これだけの流行り病、感染してしまうこと自体は悪ではないし仕方のない事ではあるけども、リスクを減らすこと、それがこの楽しい場を守ることに繋がると思うので。
そして4月に発売する新曲の宣伝も。
宣伝だけして別にやりはしないというのがユニゾンらしい。
多分普通のバンドならファイナル公演だしサービスでやっちゃうか、的なノリで聴けちゃったりするのだけれどユニゾンはツアーでセトリをほぼ変えたりしないので。変えてもせいぜいどこかの1曲が2パターンある位。そんなバンドのライブにかれこれ10年は通ってるので「そらそうだよね」と。
そしてアンコールへ。
19.crazy birthday
イントロのリフで確定演出が始まる曲。
本当にライブで映えるよなぁこれ。でも最近この曲やる時、Dメロでリズム隊のノーモアハッピーバースデーが無いので寂しい。お祝いしてほしい。
20.オトノバ中間試験
意外な選曲。アンコールは通してハッピーな路線で行くのだな、という。
そして「この現況下でも音楽を楽しめますか?」とのユニゾンからの試験という意味合いの選曲のような。それに観客それぞれが自分の好きなようにステージ上の3人と音楽を楽しみ応える。ユニゾンのライブの醍醐味。
21.春が来てぼくら
ラストはこの曲。
ここに来て曲中斎藤さんが頻繁にイヤモニ気にしてたり高音が全体的にフラットになったりでちょっと心配しちゃった部分もあったのは正直な所ですが。
この楽曲も発表当初より現況だからこそより響く曲になったと思います。
結果として「春」や「間違ってないはずの未来に向かう」というフレーズに色々な意味が乗せられたというか。
スカさずに堂々と希望を謳うこの曲でアルバムツアーを締める、それが今彼らが音楽を奏でる確かな根拠になっているのだなと思いました。
まとめ
この記事冒頭で前作「MODE MOOD MODE」でユニゾンの集大成を作り上げ、それを踏まえた今作「Patrick Vegee」でユニゾンは好きな音楽をやるタームに入った、という旨を書きましたがそれはアルバムツアーでも同様で。
前回のアルバムツアーがロックバンドにおける「ライブ・ショー」の完成形だとするならば、今回はユニゾンと言うアーティストの「ロックバンドのライブ」の現時点での到達点なのでは、と感じました。
そしてそれを今後も更新し続けていくのでしょう。
プラス今回のツアー、感染症による延期も踏まえた結果、「Patrick Vegeeというロック・アルバムの楽曲を届けるツアー」と「バンドが今だからこそ音楽で伝えるべきメッセージ」が両立した内容になったのではないでしょうか。
さて、今回のライブも最高でした。
いつかまた、自分は大好きなロックバンドを観に行きます。
それでは、また次の記事で。