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思い出し立腹

少し前の話。

なにか失礼なことを言われても、なんだか自分の方が間違っている気がして、怒りに結びつかなかったり、その場で迷って怒ることができなかったり。

怒るというのも、大事な健康指標だと思う。

2、3年前のこと。私が住んでいた実家のある市は、病気持ちの人(手帳をもってる人)の、公的移動手段には割引制度があった。

例えば、タクシーの初乗り運賃が無料とか。

病院通いのため、どうしても4週間に1回タクシーに乗る必要がある。バスが1番いいのは分かっているけど、3時間に1本とかで、診察の時間に合わないと、バス待ちで、待ちぼうけ1時間半とかになってしまう。

タクシーの運転手さんにも、色々な人がいる。行先の病院名を聞いただけで、最初から初乗り運賃の計算をして、請求金額を教えてくれる(自分でもできるけど)人もいれば、どうもなぁなことを言う人もいる。

あるとき出会ったタクシーの運転手さんは、

「あんたら、得だよね。この券(補助制度を使いますという福祉券のこと)で、タダやもんね。丸もうけやね」

と言った。

正確には、初乗り運賃が補助されるだけで、それ以降の乗った分は支払うわけで、全然タダではない。補助制度を使っても、毎度1000円程度は、払う計算だ。タクシー会社にしても、市からの補助金、私からの1000円で損はない。

私は呆然としてしまって、「はあ」とか言って、上手い切り返しができなかった。

でも、後から考えると、全然タダでも、得してるわけでもないことに思い至り、腹が立ってきた。

4週間に1度とはいえ、毎回タクシー代として1000円の支出があること。それ以前に、医療費が毎度普通にかかること。医療費、薬代、さらにタクシー代、収入もないのに、安定して出ていく支出がばかにならない。

それ以前に、「そもそも、あなた病気になりたいですか」と言いたい。

病院に行くのは、病気であるから。病気とは、普段の生活に支障があるということ。

確かに、市の福祉サービスで助けられているけど、病気でなければ、そんなサービスを使わせてもらう必要さえない。

肩身が狭いなどと思う必要もない。

普通に、即座に、タクシーの運転手さんにそういう風に言い返したかったとは、全然思わない。言ったところで、どうにもならないし、狭い町での嫌な噂話は広がりが早い。

でも、一瞬迷って、ちゃんと腹を立てることができなかった当時の自分が、情けなかったりはする。

これは、思い出しムカつき、思い出し立腹。

腹を立てるとは、自分のことを理解し、守ることでも、あるんだよなぁと思う、今日この頃。

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