
夏のキャンプの大暴露大会
大学生だった4年間、
毎年、夏の時期に必ず琵琶湖の湖西のほうに、
キャンプに行っていた。
今でもつながりがある地元の仲間の男友達6人で。
なぜか第1回目から、
深夜の時間帯に、1年間誰にも言わなかったことを、
暴露しようという、
大暴露大会が恒例の行事となっていた。
毎年、1年間かけて、
その暴露の内容を各自が準備する。
キャンプまでの間は、
誰1人として、そのことには触れない。
大学生レベルの暴露なので、
もちろん犯罪とか、そういう内容は一切ない。
「 え〜〜〜っ、そうな〜ん!!」
と、
毎年大爆笑できるネタが多かった。
大学4回生の時の、
最後のキャンプ。
最後の大暴露大会。
今でも覚えている。
衝撃が走ったことを。
6人の中の1人のメンバーで、
6人の中で1番モテていた男がいる。
毎年、その男は、
「 実はあの時、〇〇ちゃんと付き合ってて〜ん!!」
と、
驚くが笑ってしまう相手と付き合っていたという
内容が多くて、
毎年、その分野の暴露の専門となっていた。
そのモテ男が、
最後の大暴露大会で、
強烈なフレーズを発した。
大暴露大会は、
焚き火を囲みながら、順番に1人ずつ話すのだが、
毎年、最後がそのモテ男の大暴露で締めるという形を取っていた。
最後の順番がきて、
そのモテ男が言う。
「 実は・・・・ 」
「 この中の誰かのお母さんと・・・ 」
「 少しの間、付き合っててん・・・ 」
「 え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!! 」
全員、言葉を失う。
「 えっ、待って待って・・・、誰なん?? 」
思わず1人の友達が言う。
「 それは言われへん 」
6人の友達の中で、
お母さんで1番若い40代手前の方がいた。
おそらく、
そのお母さんなんだろうなと推測するのだが、
ずっと、
未解決事件のままだ。
それぞれが黙り、
それぞれのお母さんを想像する。
「 いやいや、絶対うちのおかんじゃない・・・ 」
みんながそう思っただろうし、そうあってほしいと思っていた。
その日の大暴露大会は、
衝撃の幕切れとなり、
次の日の帰りも、
なんだか変な空気のままの帰宅となった。
私ももう、四捨五入したら50歳になってしまう。
今でもまだ、
あの時の暴露の内容は、
真相が明かされないままだ。
最近、
自分のおかんにある質問をしてみた。
認知症のおかんだが、
昔のことはまだ覚えていて、
よく家に遊びに来ていた私の友達のことは、
名前を言うと、
「 あ〜、あの子な〜〜 」
と覚えていて会話が成り立つ。
「 おかん、俺の友達の中で、誰が1番カッコイイと思う??」
という質問。
それに対して私のおかんは言う。
「 あの男前のSちゃんやな!!」
まさに、最後に大暴露する、モテ男のことだ。
「 えっ、おかん・・・ 」
「 ないないないないないないないない・・・ 」
夏の大暴露大会。
事件は未解決のままであるが、
久しぶりに友達に会ったとしても、
あまり話題にはあがらない。
今でも、
あの夏の衝撃は忘れない。

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