違国日記⑦

2020年はたくさんのドラマや漫画や小説などエンタメに救われた1年だったけど、1番やるせなくて辛かった時期は、気づけば違国日記ばかりを読み返していたなぁと思う。

両親を交通事故で亡くした高校生の朝と、小説家を生業とする叔母の槙生との二人暮らしの日々の話し。

この漫画の好きなところは、出てくる人たち全員が人間味があるところ。ストーリーのために、主人公たちのために存在させられている感じが全くしないところ。
高校生たちも30代後半の槙生の周囲の人たちもみんな自分の人生をもがきながら生きている感じがする。

物語の冒頭で槙生が朝に日記をつけはじめるといいかもしれないと言ったときの
「この先、誰が あなたに何を言って
 誰が何を言わなかったか」
という言葉は、孤独と向き合う朝にかけるとてもやさしい言葉だと思う。
きっと、こういうことかと分かるのには時間がかかるけど。
相手のことをとてもよく考えていないと、言わないでいてくれるやさしさというものに気づけない。

孤独と向かい合う話しでありながら、親や家族からの呪縛の言葉と向き合っていくこと、LGBT、女性差別、男性社会の生きづらさ等たくさんのことが描かれていて、読んでいて分かる!と思う瞬間がすごく多い作品。

2/8に発売された新刊の7巻を読んで、わたしはどうやら槙生の友人のもつが言うことに1番心動かされることが多いなぁと思った。

結婚するまでさあ 自分が結婚に向いてないなんて思わなかったの
皆してるし自分にもできると思い込んでた
そしたら違ったんだけどさ
(中略)
あのね 思いもよらないことがやってみたら向いてたってのもあるよねっていうこと
            ー違国日記2巻より
でも「キャラ」なんてさ-…
わたしは後悔したよー そう思ってしたことに
わたしはものわかりのいいキャラだから
口答えしないキャラだから
自分より他人を優先するキャラだから
泣きわめいたりしないキャラだから
…後悔したよ 自分が本当にそうしたいときだけそうすべきだった
「キャラだから」って言ってるうちに自分が
本当はどうしたいのかわかんなくなっちゃったもん
            ー違国日記7巻より

高校生じゃなくても、おとなになってからでも
なりたい自分になろうとして、やってみていいんだ。
理由や動機なんて言う必要なくて、
ただ やればいいのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?