
「11月」
少年が疲れた瞳で少女を眺め
怠惰な一日の終わりを想う
少女の曖昧な気持ちは手探りで
自分が小さく見えると微笑んでも
月日は凍りつくように速く
君たちが目眩を覚えるその若さは
何ものをも償うことができない
二人して歩く乾いた秋の山道なのに
君には独りだけの心持ちしかない
何ができるというのか?
君が彼女の裡まで届かなくても
それは恥ずべきことじゃないんだ
薄汚れたクーペのサイドシート
幾つもの夜と彼女の唇と微かな薫り
手に届くものと両手からこぼれるもの
ささやかなやさしさと歯ぎしりする寂しさ
月日は凍りつくように速く
君たちがうろたえるその若さは
すべてを越そうとする無謀さに揺れる
二人して歩く乾いた秋の山道なのに
同じ路をたどりながら違う景色を見てる
ゴールが一緒と限らない
君が彼女を強く抱きしめられなくても
それは恥ずべきことじゃないんだ