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第34回 真っ暗で足元すら見えなかった

みなさん、こんにちは。
毎週月曜日に更新するトイレの連載です。
といっても、今日は火曜日です、すみません。。

今回はトイレの照明の大切さです。

トップの写真は、避難所(熊本地震)でトイレまでのアプローチが暗くて怖い、という声をお聞きしたので、応急的に支援したソーラー充電によるガーデニングライトです。たしか500円くらい。

熊本地震の避難所に設置したガーデニングライト
(日本トイレ研究所)

昼間に充電しておいて、夜間は必要なところに置くことができます。

ペットボトルの上半分を切り取って、そこに挿すことで廊下の足元を照らすこともできます。震災時は余震で停電を繰り返すので、こういったライトは効果的です。

ローソクは火事にならないように管理が必要になるため、大変です。

だから、このようなガーデニングライトがおすすめだよ、と教えてくれたのは東日本大震災を経験した気仙沼の唐桑の人たちでした。

唐桑の人の教えを熊本の避難所で実践したところ、かなり喜んでいただくことができました。

被災経験者の教えに感謝です。

足元も見えないほど暗い

最近、ある地域で男性の行政職員(私と同じくらいの世代だと思いますので40〜50代)の方からこんな話を聞きました。

「2011年3月11日は、東北に研修に行っていました。そのとき東日本大震災が起きたのですが、情報が得られないため何が起きたのか全く分からない状況でした。

いま、どのような被害があり、地域がどうなっているのかが分からないというのは、かなりの恐怖と不安です。

その日の夜は、停電で真っ暗、しかも曇りで月明かりもありませんでした。

外に出ようとしたら、足元も見えないほど暗く、怖かったことを記憶しています。」

こんな感じのことを仰っていました。

トイレの照明はぜったいに必要

トイレに関して、災害が起きたとしてもその辺ですれば何とかなるのでは?という言葉を聞くことがあるのですが、この方の話をお聞きすると、あらためてその辺でするのは無理だと思いました。

仮に屋外にトイレがあったとしても、真っ暗なトイレは汚してしまいやすいし、転倒することもあります。そもそも怖くて行けないですよね。
とにかく照明が必要なのです。

ということで、みなさんにお伝えしたいのは、トイレの照明の大切さです。

両手がフリーになるあかり

まず、自助としては両手がフリーになるあかりを備えてください。
屋内のトイレは窓がない場合も多いと思いますので、停電すると真っ暗です。

普段のトイレでの動作を思い出してほしいのですが、片手に照明を持ったまま用をすますのはかなり難しいですよね。

そのため、棚における、フックにかけられる、もしくはヘッドライトなど、両手がフリーになり、空間全体を照らしてくれる照明がおすすめです。

以下のyoutubeは、トイレ内の照明を消してそれぞれのあかりについて確認した動画です。参考にしてください。

照明はトイレの内と外の両方に!

つづいて、トイレを設置する行政等の担当者へのお願いです。
とくに屋外にマンホールトイレや仮設トイレを設置する場合は、トイレ内外の照明が欠かせません。

ソーラーによる街灯に加えて、トイレの個室ごとに照明が必要です。
暗がりだと、入口がどこなのか、空いているのかどうか、扉の取っ手の位置はどこなのかなど、意外と分からないものです。
トイレの個室内であかりをつけたらシルエットが透けてしまう、なんてことはないようにしてください。

仮設トイレは、照明があるものを優先して調達してください。

国土交通省は洋便器で臭気対策があり、照明も備えているような仮設トイレを「快適トイレ」として普及を推進しています。いざというときは、快適トイレを優先的に調達すべきだと思います。

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/tec/content/001358661.pdf)

トイレ専用の照明を備蓄する

避難所として照明を備蓄しているから大丈夫というのはダメです。
トイレ専用の照明として備蓄してください。これは被災経験自治体からのメッセージです。
避難所ではさまざまなところで灯りが必要になります。トイレまでまわらなくなるからです。

犯罪の抑止効果になる

明るくて多くの人の目が行き届くトイレは、犯罪の抑止効果にもなります。
トイレはあればいいというものではなく、安心して使えるかどうかが大事です。

夜に防災訓練を実施して、子どもたちに「このトイレ、使いたいと思う?」と聞いてみる、というのはどうでしょうか?

安心できるトイレ環境づくりは、一人ひとりの声が大切ですので、よろしくお願いいたします。

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