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2024年9月20日 悪い予感
不意に、悪い予感に取り憑かれてしまうことがあります。
仕事の合間に、
眠りの始まりに、
食事の終わりに、
会話の隙間に、
眠りの前に、
不意に生まれる、予感です。
色で言えば黒。
水の中に一滴の墨汁を垂らしたように、瞬く間に、不安は全身に広がります。
身体の感覚としては、心臓を掴まれ、その後も軽く力を込められて息苦しいような、
高く不安定な場所に立たされている時に内臓がきゅっと縮まるような、
ある特有の感覚があります。
とても居心地の悪い感覚です。
悪い予感は、
それが生まれるまでには全く、
考えもしなかった心配をを膨らませていきます。
悪い予感は自分の思考のひとつであるのに、
同時に別種の生き物のように、
生まれると自律的に動き出すのです。
膨らみ、根をはり、枝葉を伸ばし、あまつさえ、花を咲かせ実をつけます。
悪い予感は別の悪い予感の種を生み出し、際限なく、増殖することができるのです。
人によって、悪い予感が起きるきっかけは、色々とあるのですが、
私は大体において、仕事でのミスや勘違い、自分のいたらなさに気づいた時が、多いようです。
仕事でミスや勘違いが起きないようにするに越したことはありません。
でも、どうしてもそういうことは起きるのです。
激しい後悔と申し訳なさ、気恥ずかしさ、
そして何より、不安が波のように押し寄せます。
気づくと波打ち際ではなく、波の真ん中に立っており、視界は全て、泡立つ白波です。
横を向いても、後ろを向いても、
もはや、逃げ場はないのです。
「逃げ場はないのかもしれない」「大変な失敗をしてしまったのかも」と思いいたり、
「こうすれば良かった」、「ああすれば良かった」と振り返り始め、
それが極まると、
悪い予感の種は、ぽろりと生まれ落ちるのです。
泡立つ感情の上に置かれた、黒光りする悪い予感の種は、
とても目を惹きます。
浮き出てみえるのです。
そうなると、悪い予感についてしか
考えられなくなります。
悪い予感を補強するような、
材料ばかりを考えては集めてしまい、
それによって、
悪い予感により磨きをかけてしまいます。
悪い予感は黒く光り輝き、増殖し、何を見ても、暗い未来を暗示します。
あらゆるものに悪い予感がはびこると、生きる喜びのようなものはかき消されてしまいます。
予感ですから、まだ起こっていないことだというのに、
今生きる喜びを見失うのです。
食べ物の味わいも、人とのコミュニケーションも、
目の前のものの美しさも、
わからなくさせる力が、悪い予感にはあります。
以前なら、悪い予感に負けて、そのような状態に陥ってしまい、なかなか抜け出せないことがありました。
そういうことを数限りなく繰り返して、最近ようやく、悪い予感を「枯らす」方法がわかってきたのです。
今でも、悪い予感に苛まれることはもちろん、あるのですが、以前のように一方的に、苛まれることはなくってきたのです。
今週、少し久しぶりに悪い予感に苛まれたので、
その対応を整理しました。
悪い予感が起きた時にすると良いこと
①何を恐れているかを知る
そもそも、私は、悪い予感に襲われる時何を恐れているのでしょうか。
悪い予感の通りになってしまったら、何がそれほど恐ろしいでしょうか。
それをまず、掘り下げて考えてみることにしました。
悪い予感が成就して、悪い出来事が起きたとします。
そもそも、「悪い出来事」とはなんなのか、一体どういうことが起きるのかを考えるのです。
考えた結果、私の場合は、
「誰かに責められるかもしれない」とか
「誰かに低い評価をつけられるかもしれない(失望されるかもしれない)」とか
「トラブルとして大事になるかもしれない(それで、仕事ができなくなるかもしれない)」とらいうことを悪い出来事と考えていることがわかりました。
突き詰めれば、「仕事ができないと思われたくない」という格好つけがほとんどなのです。
(ネイタルチャートで月天秤座であるゆえな気がします。)
ここに気づくと、少し、力が抜けてきます。
②精一杯やったか振り返る
私の場合、仕事に関することで悪い予感が起きることが多いので、
「精一杯やったか」「惜しみなく取り組んだか」を振り返ります。
これは、もっとやれたのでは?を確かめるわけではなく、その時の自分としてできることをやれたのかを、確認する作業です。
その時なりに精一杯やったのなら、もう、それ以上はないと、最近思うようになりました。
後から聞いた人は、「ああすれば良かった」「こうすれば良かった」というかもしれません。
でもそれは、後出しじゃんけんのようなものです。
勝ち筋が見える、後になってから言えることなのです。
「起きてしまったこと」に言えることはありますが、「起きつつあること」「起きていること」に言えることは、実はありません。
じゃんけんは出してしまったら、負けてもそれはそれなのです。
その試合は…負けです。
それまでの準備や経験が必要なことも、現実には結構あって、巡り合わせのようなものもあるのだろうと感じています。
反省は必要ですが、必要以上に自分を責めでも仕方がありません。
次の機会で失敗しないためにも、
「その瞬間一生懸命やったか」だけ振り返ります。
今週の私は、「懸命にやったが力及ばず」という感じでした。
それならいい、よくやりました。
③身体を動かす
悪い予感はぐるぐる考えている状況を好みます。
そこでこそ、発芽条件が揃うと言ってもいいかもしれません。
ですから、ぼーっと考えがめぐるような状態にいるのは良くありません。
頭も、身体も忙しく、悪い予感が発芽できない状況にするのが1番です。
・audibleや音楽を聴きながら料理などの家事をする
・audibleや音楽を聴きながら、トレッドミルを走る
・散歩をする
最近はこの3つが、有効だと感じています。
トレッドミルを走るのはかなり有効です。多少負荷のかかることが良いのだと思います。
そういう意味ではトレッキングなどの山歩きも、良いかもしれません。
スポーツを楽しめる方ならスポーツをするのが良いと思います。
ゲームが得意な方は、ゲームでも有効かもしれません。
ただ、少し、身体に負荷がかかった方が良さそうなので、ゲームだと効果はやや限定的かも。
呼吸数と心拍数が上がると人間の身体は、そちらの方に集中するようだからです。
好きな曲を聴いて、踊る、歌うのも比較的効果がある印象です。
④最悪を想像する
③の身体を動かすことで、悪い予感の動きが緩慢になってくるはずです。
ここで、悪い予感そのものに畳み掛けていきます。悪い予感を怖がるのではなく、悪い予感が示す最悪な未来を徹底的に想像します。
出来うる限り、最悪を想像するのです。
これはやりはじめはかなり気分が悪いですが、しばらくすると、マシになるので、少し我慢します。
「もし、悪い予感の通りになったら、仕事の評価が下がって、仕事を失うこともあるかもしれない。つまり、各社に謝罪して、いきなり仕事を辞めることになって…」と考えるわけです。
そこまで最悪を考えてみると、「もし仕事辞めないといけなくなったらしばらく仕事を休んで旅行するか」とか「仕事から離れるいい機会かも」と意外にしぶとい自分の考えが浮かんできます。
「あんた、最悪の事態って言ってた割にはやれそうやん」となればしめたものです。
悪い予感が成就しても、それはそれでやっていけそうな気がしてくると、
悪い予感はますます生気を失います。
これで、あと一息。
⑤次のチャンスがあればどうするか、挽回策を考える
④で、最悪の場合を考えました。
最悪なことが起こった場合は、そうやって生きていくことにしましょう。
しかし、最悪なことが起きて最悪の結果になる前に、次のチャンス、挽回できる場面もあるかもしれません。
例えば「仕事を辞めないといけない」が最悪な結果だとしても、「辞めるまでにさすがにいくらかの時間があるのでは」とか「申開きの場所があるのでは」ということですね。
その場合、どう動くか、どう立ち回るかを考えます。
この場合、荒唐無稽な策ではなく、現実的にできそうなことをいくつか考えておくのが良いと思います。
自分を守る言い訳をするのではなく、
相手があることであれば、相手、
もしくは自分の周りの利益になるようなものである方がうまく行く気がします。
自分だけ助かろうみたいな方法は却下です。
悪い予感は萎れた
①から⑤まだやると、悪い予感は大抵の場合、萎れます。
形は残っていたとしても、大きくなったり、タネを飛ばすことはなくなります。
完璧に形を消すことを目指すより、悪い予感が勢いを増すたびに、この①から⑤に繰り返し取り組む方が効果があるような気がします。
できれば悪い予感などなければいい…と思いつつ、
悪い予感がなければ、回避できないこと、反省できないこともあるものな…とも思います。
きっと、必要だから備わっているのです。
なんとか、共存、もしくは制御できるようになるしかないですね。
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