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2024年4月22日 「MAMA」感想 ネタバレあり



少し自由になる時間があったので、
久しぶりにAmazonプライム映画見るかーと思っていたら、
X(Twitter)でタイミングよくおすすめ投稿をされている方がおり、
魅力的な紹介だったので鑑賞しました。
ネタバレありの感想です。
ホラー映画の結末を知りたくない方はここでブラウザバックしてください。
ネタバレします!

さて、「MAMA」は、Wikipediaによれば以下のような制作の映画です。
Wikipediaは詳細にネタバレしているので、検索する際にはご注意ください。


2013年に制作されたホラー映画。スペインとカナダの共同制作。アンディ・ムスキエティ監督が2008年に発表した短編映画を原作に、映画監督のギレルモ・デル・トロが製作総指揮を務め、ハリウッドで長編映画化した作品。監督は引き続きアンディ・ムスキエティが務めた。

MAMA  (映画)Wikipediaより

オープニングのイラストだけで百点


ホラー映画を見るのはずいぶん久しぶりです。
ワクワクしながら、イヤホンで鑑賞しました。
吹き替えにしてもよかったのですが、字幕にしたので、字幕を読むために、しっかり集中して見ました。
イヤホンで鑑賞すると、映画に集中できて良いですね。
この映画、冒頭のシーンの後、子どもが壁に描いたイラストが映し出されるのですが、
これがなかなか怖かったです。
ざっくりとしたあらすじは読んでいたものの前情報なしに見始めたので、
イラストの意味が正確にはわからな買ったのですが
ホラー映画の導入としては完璧でした。
鑑賞後に、感想などを調べていると、
あの絵からさらなる考察をしていらっしゃる方もおり、興味深く読ませてもらいました。
まあ、真相はさておき、どんな事がこれが起きるのか、そして起ころうとしているのか…と観客を惹きつけるのには十分なイラストだと思います。
飛ばさず、じっくり見てください。
10年前の映画のようですが、
スマホを意図的にあんまり出さないようにしているのか、時代は気になりませんでした!

(この映画では)男性が役に立たない


個人的に、この話、冒頭で結論は出ておりまして、
とにかく、姉妹の父であるジェフリー・デサンジが諸悪の根源です。
年端もいかぬ幼い娘2人を乗せた車で
雪山を猛スピードで走る冒頭場面は映画的には良いシーンでしたが、
人道的にはすでによろしくありませんでした。
ホラー映画上のストーリーとしては、
後述する別の存在、怪異があるわけですが、
小さい姉妹がひどい目にあったのは、どう考えても、父であるジェフリーが悪い、と思います。
経営上の失敗で不安定になっていたことは理由にならないのでは…と思うのです。
じゃあそっくりの弟(1人二役だったらしい)、ルーカスが頼りになるのか?主人公になるのか?と思いきや、そうでもないのです。
ルーカスはほぼ、役に立ちません。
役に立ったとすれば姉妹を探すために資財を投じたこと、
そして、美しく頼りになる彼女、アナベルと付き合っていたことです。
どちらも、直接的に頼りになったわけではないのです。
素晴らしい男前ではありますが、すぐやられるし、倒れます。
活躍のシーンはほとんどありません。
もう1人、ドレイファス博士という、催眠療法をしている医師のおじさんも登場しますが、
このおじさんも謎解きをやってくれるものの、
完全解明はできませんし、
怪異に打ち勝てるわけではありません。
おじさん、もう少し頑張って…と言いたくなるくらいです。
この映画では、男性がことごとく役に立ちません。

姉妹の名演技


この映画、子役がとても上手です。
特に、姉妹の姉、ヴィクトリアを演じた役者さんがとても自然かつ、観客を惹きつける演技をしていました。
可愛らしくない子どもの表情がとてもお上手です。その分、周りを信用していない様子から少しずつ心を開いていく様子がよくわかりました。
リリー役のお子さんも、怪異に魅入られてしまっている様子を、うまく演じています。

アナベル、あんたは偉い


と、ここまで1行ほどしか出てこなかった、ルーカスの彼女、アナベルがこの映画の主人公です。
アナベルは、ルーカスと付き合っていたためにこの厄介な出来事に巻き込まれてしまいます。
目の周りを黒く塗り、両腕がタトゥーだらけで、口が悪いミュージシャン(おそらくベーシスト)のアナベルが、この映画では1番頼りになります。
アナベルは、ドレイファス博士が用意した家で、ルーカスと暮らすことになります。
外見から予想もできない、尽くし系女子!
ルーカスに事故?が起きても、なんとか投げ出さずに姉妹の養育をやろうとします。
「どう考えてもルーカスがよくない…、別れたほうがいい」と突っ込んでしまいました。
しかもアナベルは、ざっくばらんな口調ではあるのですけど、誠実なんです。
姉妹と初対面の時も、「ママとかやめて。アニーとか好きなふうに呼んで」というし、
家事をイヤイヤやってはいるけれど、姉妹に当たることは絶対しないし、
子供を取り押さえる時も、あたたかくがっちり捕まえる、
家族ヅラしないし、ママヅラしません。
「あんたたちとあたしは他人。ママにはならない。でも、守るよ。あんたたちは私の愛する男が大事にしてる子どもたちだから」というのが、とてもさっぱりしていて、フェアで気持ちが良いのです。
結局、この映画のいいたいことって、そういうことではないかしら…とも思うのです。
つまり、子どもの傷つきを癒すのは、狂気の愛情(ジェフェリーと怪異)なんかではないし、血筋(ルーカス、そして姉妹のおば)や偏った専門性(博士)だけでもダメで、アナベルのような態度なのではないでしょうか。
アナベル以外は、皆、姉妹の「「家族」や「母」になりかわろうとしている存在で、アナベルだけが、アナベルのまま姉妹にかかわっていました。
映画の最後まで「アナベル、あんた偉いよ!」と言いながら見ていました。
本当に、偉い!

ホラー映画としての感想


そうそう、この映画は、ホラー映画でした。
ホラーとしては、前半80点、後半10点です。
前半はかなり怖かったです。あのまま行けば相当怖かったと思います。
途中、死者からのメッセージのシーンは、明らかに「リング」の呪いのビデオのオマージュでしたね。
あの服を被ったあのポーズは、絶対にそうだと思います。
(どの感想見ても指摘されていないのですが、
もはや「リング」の呪いのビデオのこと覚えている人がいないのかしら…。)
何故?と思ったのですが、ギレルモ・デル・トロ監督が制作総指揮とのことなので、
この映画の監督に
「日本のホラー映画見たー?あの演出入れない?」と言ったのでは…と妄想してしまいました。
そして、
怪異の過去を見てしまうシーンの演出、画面のタッチはとても好きでした。
あれもう少し見たかった…。
あのあたりまで、ホラー映画として、とてもよかったのです!!
しかし、後半、怪異がこんにちはしてしまいました。
そうとしか言いようがないです。
怪異が、こんにちはしてきます。
存在が見えてしまうとどれほどのクリーチャーでも笑えてきます。
暗いところを見る能力に著しく、
難がある自分は、
真っ暗ななかで怪異が暴れ回るシーンでは、
「何も見えない」ので怖くなく、
明るくなると、怪異がバッチリ見えているので、怖くありませんでした。
日本人たるもの、怪異がバッチリ見えてると、興醒めしますね。
チラッと見せて欲しい、それが1番怖いのです。

前半は怖いですが、
後半は笑えてくるので1人でみても大丈夫だと思います。

海外版「姑獲鳥」


あの怪異は、海外版「姑獲鳥」だと推理しています。
「かわいそうな人たちの病院から逃げた女性が、赤ちゃんと…」というくだり、
その女性の子どもであったとははっきり言っていなかった気がするのですが、
どうなのでしょう。
英語だともっとはっきり言っているのでしょうか。

妄想的に「自分の赤ちゃん」が盗られたと思い込んだ女性が修道院に乗り込んで、
赤ちゃんを奪ったのではないのかなと推測しています。
実の子どもだとすると、最後のシーンは納得できないからです。
実の子を取り返したい人があんな行動するでしょうか。
怪異は、子どもを大切に思っているわけではないのです。
理由や経緯はどうあれ「子どもを自分のものにすること=母であること」にこだわっていたから、
あのシーンになったのではないでしょうか。
子どものことを本当に大切に思っていたなら、ああいう行動にはならないはずです。
あれは執着でしかないですから。
そして、その執着を砕いたのは、まっすぐな子どもの愛だけだったのだと思います。
そういう意味では、この映画ではリリーが1番頑張ったのかもしれません。
しかし一方で、人間世界に戻るには、リリーは幼すぎたのでしょう。
登場当初から、心をそのまま、怪異に飲み込まれてしまっていました。
壁に絵を描くことができたヴィクトリアは、飲み込まれず、人間の部分を残す事ができたのかもしれない、と感じました。
かくこと(描くこと・書くこと)は人間として生きるということなのです、多分。
さて、最後に最大の謎が残っています。
家に貼ってあった「ヘルベチア」は結局どういう意味だったんでしょう。
検索しても「古いラテン語でスイス」って出てくるんですけれども…。
スイス?あの?ハイジで有名な??
怪異の本物は、スイスの姑獲鳥、スイスの妖怪という可能性があるのでしょうか…。
それとも違う意味があるのでしょうか。
謎は解けないままです。

感じたこと・気になったこと


・虫、特に蛾と蝶が苦手な人にはお勧めしない。日本ではなかなか見ないサイズの蛾がいっぱい出てきます。
・犬…犬は大丈夫でした。
・閉鎖環境にいた子供がしゃべる英語はシンプルなのでわかりやすい。英語の勉強になった。
・カナダのさくらんぼは、ものすごく大きい気がする。子供の手のひらいっぱいの大きさでは?日本のアメリカンチェリーの3倍はあった気がする。 
・アメリカンチェリーだけで5年間生きていたんだろうか本当に?変なもの食べてない?
・怪異の身体が折れ曲がってたのは風雪に晒されたから…みたいなこと言っていたけど…普通に水に浮かんでいた気がする。
・怪異が、なんとなくアジア風の人種に見えるのは気のせいか…。目が青かったし違うか…。

久しぶりのホラー映画面白かったです。

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千歳緑/code
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