しまうま
この歳にもなると年々腕の傷が恥ずかしくてたまらなくなる
一番最初は確か11歳だか12歳のとき、小5だか小6のとき、
校区外から来るまで送り迎えしてもらって学校に通うとかわけのわからない状況で、
ただでさえ遅刻ばかりで面倒くさがりな私は遅刻してまで祖母に車を出させるのが更に面倒で余計に休みがちになった
そうやって休んでばかりいたら今度は学校の中に居場所がなくなっていた
当たり前なんだけど
余計に居心地が悪くて、余計に車で送ってもらってまで通いたくなくて休むようになって
そのうちまともに人の目が見られなくなった
家族以外と会話しようとすると勝手に涙が出てくるようになった
外に出ると人の視線が気になって気になって気になってものすごく怖くて家からも段々出られなくなった
今思えば自業自得なんだけど
なんかちょっとずっと私は苦しくて 多くの人が平気でできることが苦手で
あとその時好きだった少女漫画にリストカットでしかストレスが解消できない可愛い女の子がいて
こんなふうに可愛くなりたいなとかいう邪な思想もありつつ、
母に気付いてほしくて、悲劇のヒロインぶりたくて手の甲をうっすらガード付きのカミソリで切ってみた
ちくちくステッチみたいになるように切ったりちまちまと目立つような傷をつけた
腕を切るのは怖かったから
でも子供の想像なんてやっぱり甘くて母親は全然気づいてくれなかった
一番最初に気づいてくれたのは、ずっといじめてた妹だった
妹が私の手がひどいって言ってたって母親に言われたとき、ものすごく惨めで、なにより情けなくなった
家からもまともに出られない私はまともな中学生にもなれなかった、入学式に行けなかった
指定の白のスニーカーがないから行けないとか屁理屈をこねたらあまりにもお金がなかった私の家を見かねた祖母の友人がお金をくれてイオンで一番安い真っ白なスニーカーを買った
それも私は可愛くなくて安っぽいのが嫌で結局一度も履かなかった
母親に駄々をこねて買ってもらったナイキのスクールバッグも一度も使うことはなかった、ただ罪悪感で捨てられなかった
半年間一度も行かず担任とすら顔を合わせず私は転校して、変な熱血教師みたいなのに無理やり教室に入れられたりしたけど、人の目がたまらなく怖くて
食べているところを見られるのがとても怖くて家族とすらまともに食事ができなかった私に給食なんて拷問に等しい行事で
別室登校になってそのうちやっぱり学校にも行かなくなって、
手の甲の傷はどんどん増えて深くなった
使うものもガード付きカミソリからカッターになった
ある日いつも以上に頭の中がうるさくてどうしようもなくて思い切り力を込めて切ったらぱっくり表皮が切れて
手の甲に小さな血のプールができた
たぶん結構痛かったんだけどなんかアホらしくて、パクパク開いた傷口がマスコットキャラクターの口みたいで笑いが止まらなくなったことをよく覚えてる
熱血教師に見つかったりなんだったりもあって、
そこから段々腕を切るようになった
やっぱりビビりだから手首は怖くて切れなかった
上腕の内側は脂肪が多くて面積も広いから切りやすくてあんまり痛くなくて好き
私に唯一いた友達は私の腕に傷が増えていたことを気づいてないわけなかったと思うんだけど、今の未だに1回も何か言われたことはない
高校に入ってから更にアムカ癖は酷くなって
1回で切る数も増えて傷自体もどんどん深くなっていった
本当にしょうもないなって自分でも思うんだけど、傷が増えたりより深く切れるとやってやったぜ!!!!って気分になれるんだよね
この世で一番しょうもない達成感
やっぱり教室が苦手で、よく息が詰まって学校のトイレでザクザクやってトイレットペーパーで適当に血が垂れてこないようにして保健室で手当してもらってた
傷は二の腕まで広がってそのうちに手首も普通に切るようになってしまった
真夏でも長袖を着るようになった
未だに私は職場や人前で半袖が着れない
この季節に堂々と腕を出した服を着ている人を見ると心底羨ましくなる、
高校生のときはなんとも思わなかったのにな
年々、かなしくなる
もう数え切れないくらい傷はあるから、
今は腕を切る代わりにゲロを吐くようになった
金もないのに何やってるんだろうって毎回虚しくなるけど
やっぱり脳内物質が出る行為は気持ちがスッキリする
なんだかな、情けないよなあ本当に
薬は割と効きやすい体質なのと単純にアレルギー体質でプロザックで全身ひどい蕁麻疹を起こしてから、
あと家にあった抗うつ剤とか何かよくわかんない薬80tガブ飲みして意識朦朧としたままゲロと脱糞を繰り返してからはガバガバodするのもやめた、数日全身がいたすぎてまともに動けなかったし
単純にもう若くないから身体も追いつかないしね
毎日ブロン飲んで学校とバイト行けてたあの頃に戻りたいよーーーー
なんだかよくわかんないことを長々と書いてしまったな
ソーメンみたいになった腕の白い傷跡を眺めながら、
高校生のときはあんなに誇らしかったのにな
アホだったから
今もアホなのに、今は恥が勝るなあ
私も大人になってしまったのかもね