8年ぶりの満月とさんぽ
今日は2ヶ月ぶりに会社へ出勤をした。
社内で続々と感染者が出たのは7月の連休前のこと。
そこから社内全員がPCR検査を受けた。陰性と出たら出社、もしくは在宅にするかを選べることになったので、迷わず在宅を選んだ。
在宅をしてよかったことは、たくさんある。
そのひとつは、家事をする時間が増えて、息子とゆっくり過ごせるようになったこと。
息子を保育園に送って行ってから始業まで30分は時間がある。
洗濯機をかけておけば家に戻った後洗濯物を干すことが出来るし、そのあとサッと掃除機をかけて、キッチンに戻って食洗機に食器をセットし、スタートボタンを押してすぐ仕事を始められる。
通勤していた頃は息子がいる時間にそれらの家事を全てこなして家を出なければいけないし、化粧や身支度もある。
なので毎朝割と慌ただしかった。
その間息子のこともEテレの前に置き去りで、会話をしたり、表情なんかをじっと見ることもできなかった。
かぁか、かぁかと言われても、
ちょっと待ってねと言うことが朝は多くて、それだと息子もフラストレーションが溜まるのか、ぐずぐずと言いながら家を出て、保育園に着く頃にはお互いぐったりなんてこともしょっちゅうだった。
在宅になってからは、最悪着替えてさえいればいい。
なんならたまに時間が余って近所を散歩したりしている。
とにかく時間がのんびりと流れてゆく。
会社の人はいいひとなので、お昼休みも楽しく会話して過ごしていたし、それはそれでとても楽しかったけれど、
在宅になるとテレビが見られるようになった。
きっかり1時間、好きなドラマやバラエティを見て過ごす。
晴れた日なんかは外に出て買い出しをしたり、散歩をしたりもできる。
子育て中の身としては結構ありがたいひとり自由時間だ。
そうして13時ぴったりにまた席について、今度はラジオか音楽を流しながら午後からの作業を始める。
「15時からは15分休憩してくださいね」と言われても、出社して周りが休んでいないと中々休憩を取りにくい。
今はそこで紅茶を淹れたり、甘いものを冷蔵庫から引っ張り出して食べたりしている。
クタクタの日はソファに横になって15分間目を瞑ったり。
2ヶ月ぶりに出社すると疲れてしまうかもなぁとか、眠たくて大変かもなぁとも思ったけど、むしろ逆だった。
夏休み中の登校日のように、新鮮であっという間に時間が過ぎた。
お昼休みも会社のひとと溜まりにたまった色んな話をすると気づけば1時間が終わっていた。
わたしは多分慣れると怠慢になる。
慣れより刺激を求めるタイプなのだと思う。
そう考えると、コロナが落ち着いても在宅と出社半々(もしくは週一で出社など)選べるようになるといいなぁなんて勝手なことを思った。
今日は中秋の名月。
夜は夫と息子とお散歩をしてまんまる綺麗なお月様を見上げた。
夜に家の外を歩いたのも久しぶりだ。
当たり前だったことが、当たり前でなくなって、ただの夜の散歩がキラキラと楽しかった。
息子は「さんぽ」を歌っていた。
わたしも一緒になって歌うと、
「かぁか、やめて」
と言われてしまったので、はいと言ってじっと息子の声に耳を傾けていた。
すごいなぁ。ほとんど歌えるようになってる。
「今日は初めてお友達と手を繋いで公園まで歩けました。」と保育園の連絡帳に書いてあった。
さんぽを歌いながら歩いたのかなぁとその光景を思い浮かべながら息子の歌を聴いていた。
あまりに月が綺麗なので、携帯で写真を撮って母に送った。
「こちらは曇って見えないのでありがとう。今年は8年ぶりの満月だそうです」
と返事がきた。
8年ぶりの満月とはどういうことなのだろう?
よくわからなかったけれど、
「8年ですか。長いようで、あっという間でしたね。」
と返すと、
手を振り空へ去ってゆくヒヨコのスタンプが送られてきた。
やっぱりよく分からない。
多分全然会話が噛み合っていない。
噛み合わないLINEも、たどたどしいさんぽのメロディも、まんまるな月もいつかまた8年前になる。
8年後の息子は10歳だ。
わたしが「やまめ、テンサイ!」とダジャレを言っていた歳。
息子はどんなテンサイになるんだろう。
今日も一日無事で、ここに息子がいてくれること。
そんな毎日が続いてゆくこと。
それだけをお月様に願った。