最も頼るべき感染症対策は『免疫力』
2021年に入り、2度目の非常事態宣言が発令されましたが、その前後に、実家の母と暮らす妹や、お子さんを持つクライアントさん達から「今までも思いつく限りの対策をしてきていて、これ以上どうしたらいいのか分からない」と、ご相談をいただきました。
私からはっきりと言えるのは『免疫力向上は、最も効果的な感染症対策の一つ』だということ。
ついつい「自分の外」での対策に気を取られてしまいがちですが、外部環境というのは自分の力だけで変えることは難しいもの。他人を変えるより自分が変わるほうが早いと昔から言われていますが、それと同じです。
そして、免疫力と自律神経・栄養は切っても切れない間柄ですし、知識をつけて理解することは自分や家族を守るための武器や防具となりますし、その最大のメリットは、免疫力を高めることを意識した生活習慣は、どの病気に対しても有効な対策だということです。
私たちの身体の中には、優秀な防衛機能が備わっている
私たちの身体の中では常に、免疫細胞(リンパ球)がウイルスや菌などの侵入者や、癌細胞の異常増殖に対して目を光らせ、必要とあらば、いの一番に迎撃して対処してくれています。
非常に頼もしい存在の免疫細胞なのですが、その実力を発揮するには、彼らがスムーズに動くことのできる『環境』が非常に重要になってきます。
私たちの身体が、免疫細胞が活躍できる適切な環境であるとき、ウィルスや菌などの外敵に曝されたとしても、免疫細胞がそれらを駆逐してくれるため、病気(感染症)にかかる危険性を激減してくれます。
逆に、免疫細胞が働かないとしたら、新型ウィルスどころか私たちの肌や身体の中に多数存在する『常在菌』によって、命の危機に曝されることになります。無菌室での入院を余儀なくされている方や、身近でもっと軽い例だと「疲れがたまると口の周りにヘルペスが出来る」という方が、その典型ですよね。
空気中にも私たちの身体にも多数の菌が存在していて、私たちがそんな中でも生きていられるのは、免疫のおかげなのですが、現代人の多くは、免疫細胞たちが実力を発揮するには不十分な体内環境になっていると、言わざるを得ない状況です。
身体の防衛システム『免疫』を知ろう
免疫の働きは、病原菌やウィルス、アレルゲンなどの外敵から肉体を守るというものです。
外からウィルスや菌が侵入すると、T細胞という免疫細胞が、胸部リンパにあるウィルス(や菌などの)定義ファイルをもとに「こいつは敵だ」と判断して、戦いますが、この時B細胞という免疫細胞が、外敵のデータを収集して定義ファイルを更新し、抗体を作ります。
ただ、これだと既知の敵にしか対応できず、それでは困るので、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)という、ファイルのデータに依らずに独自で判断して先陣を切って戦ってくれる免疫細胞が存在しています。
ちなみにこのNK細胞は『癌細胞の天敵』としても有名で、癌患者本人のNK細胞を体外で培養してから戻し、腫瘍と戦わせるという免疫療法もあるとのこと。私が癌を患ったらコレを取り入れたいなと考えています。
『外敵の排除』が免疫の仕事なのですが、具体的には、くしゃみや咳で体外に排出するように促したり、発熱することによって、ウィルスや菌を戦闘不能(不活性化)にします。
なので、風邪をひいたときなど、微熱が出てすぐに解熱剤を飲むことはお勧めしません。
敵を熱で焼き殺そうとしているのに、その熱を上がらないようにしてしまうというのは、敵の応援をしているようなもの。自らウィルスや菌が活発に活動出来る環境を整え、進んで病気になるようなものです。
例えるなら、ニホンミツバチが巣箱に侵入したオオスズメバチと戦うために、大勢の仲間で群がって蜂球を作り、その熱でオオスズメバチを倒そうとしているところに、ミツバチたちに冷水を浴びせるようなもの。
苦手な暑さから解放されて力を取り戻したオオスズメバチは、そのあとどうするでしょう?巣箱の中で水をかけられ弱ったミツバチを尻目に、大勢の仲間を呼び、巣を食い荒らしてしまうのは時間の問題でしょう。
それと同じことが、配役を変えて身体の中で起こるのです。
ちなみに、アレルギーというのは、この免疫反応が暴走してしまって、自分の身体にダメージを与えてしまっている状態です。
一度過剰反応するようになってしまうと、反応を穏やかにすることはとても困難なので、アレルゲンに接触しないのが一番の対処だと言えます。
また、ストレスがかかると、身体はストレスの緩和の為にビタミンCを消費しますので、ストレスが溜まっているときは、「免疫細胞がエネルギー不足になっている=免疫力が落ちている」なので、病気にかかりやすくなります。
自分の中の迎撃システムを起動しよう
生まれてから40歳ごろまで常に何かしら病気を抱えていた、病弱だった私は、「病気を治そう、健康になろう」と決心して以降、鉄欠乏性貧血やうつ病などの、何度も繰り返しやすい病気を『その病気の正しい知識をつけ、理解すること』で正しい戦い方を知り、寛解させてきました。
その病気を知ってしまえば、必要以上に怖がる必要も、自分や家族の身体を「どんな治療を施されるのか、よく解らないまま」医療に丸投げする必要もなくなり、正しい選択が出来るようになります。
二度目の緊急事態宣言も発令され、新型ウィルスの不顕性感染が広がる中、私たちの身体の中にあるこの、NK細胞という優秀な迎撃システムの性能を最大限高め、自分と家族を守るためには、この武器を自分が持っているということをはっきりと自覚し、それがスムーズに稼働できるように体内環境を整えておくことが大切です。
具体的には、睡眠をきちんととる・午前中に日光を(特に額に)浴びる・栄養のバランスを考えて食事を摂る・ストレスを溜めない、など、自律神経を整えておくことや、どうしてもストレスから逃げられないようであれば、ビタミンCをたっぷり摂ることが上げられます。
また、免疫細胞と腸内環境は密接にかかわっていますので、食物繊維や乳酸菌を摂取して腸を整えることも大切です。
そしてもちろん、正しい知識をしっかりとつけることは重要です。敵の正体がわかっていれば弱点もわかります。そうすれば、必要以上に恐れることなく退けることが出来ます。
人間は『わからない』ことに対して、非常に恐怖心を覚えますし、恐れという強い感情は、恐れている状況で作り出した「悪い想像」を現実化してしまいます。
新型の感染症の、感染力が強いのは、私たちのウィルス定義ファイルにデータがなく、抗体を持っていないからです。
その為、T細胞は早急な対処が出来ませんが、私たちにはNK細胞があります。私たちは、病気と闘う武器をちゃんと持っています。
NK細胞とT細胞・B細胞は、リンパ球と呼ばれる免疫細胞として、私たちの身体の中で、いつも外敵から私たちの肉体を守るために働いてくれています。
免疫細胞がしっかり活躍できる身体は、それだけで有力な感染症対策です。
楽観視はよくありませんが、恐れ過ぎるのも身体はストレスに曝されていますので、免疫に回すべきエネルギーを無駄にしてしまいます。
おまけ『解熱剤がつかえない体質の、私が風邪をひいたときの対処法』
私自身はNSAID's過敏症(アスピリン喘息と言われることも)という、ほとんどの解熱剤が使えない体質です。
基本的には『酸性の鎮痛剤』だそうですが、比較的問題なく使えると言われているアセトアミノフェンでも同様の症状が出たので、個人的には湿布薬などの消炎鎮痛剤も含め、一切の解熱鎮痛剤は現在使っていません。
成人の喘息患者の10人に1人くらいがこのような体質を持つと言われています。
解熱鎮痛剤や消炎鎮痛剤などに対する拒絶反応のようなもので、喘息発作が出たりアナフィラキシーのように血圧低下や蕁麻疹が出る。場合によっては昏睡状態に陥り、死亡することもあるそうです。
この症状が現れたのは、40代になってから。それまでは風邪薬も鎮痛剤も、問題なく使えていたのですが、なってしまったものは仕方がないので、薬を使わない対処法を調べて実行して、この対処法で落ち着きました。
未成年者のインフルエンザなど、解熱剤が使えない時などの対処法としてもお勧めなので、よかったら最後まで読んでみてください。
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身体を冷やさないとか水分をこまめにとるなど、しっかりと免疫力向上のための対策をして、それでも風邪のような症状が出た場合、先ずは身体を温める。寒さというストレスは免疫力を下げるので、暖かくして、水分とビタミンCをしっかりと摂る。
この段階では、解熱剤の入った市販の風邪薬は、先述の通り敵に塩を送るだけなので、薬を飲むなら体を温めてくれる葛根湯がお勧めです。
水分補給には経口補水液や、生姜紅茶などもいいと思います。白砂糖や三温糖のような精製糖は体を冷やすので、はちみつや黒砂糖で甘味を足すと良いかと思います。
免疫細胞が活発に動いて敵を撃退するためには、水分と、免疫細胞のエネルギー源であるビタミンCをたっぷりと補給し、体力(エネルギー)を敵の撃退に集中させるため、布団に入って体を休めるに限ります。
よく「食べて治す」という方が居ますが、治りかけの頃なら良いと思いますが、罹り始めの頃は消化にかかるエネルギーを撃退に回したほうが早く治癒しますよ。
熱が上がって38℃を超えてきたら、首や脇の下など、大きなリンパ節のある所や額を冷やします。普段から、保冷剤や保冷マクラを冷凍庫に入れておくと便利です。
あとは、とにかく眠る。
これで、単なる風邪であれば、早ければ一晩で熱は下がります。多少こじらせたとしても、長くても3日で抑え込めます。
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今、熱が出てもすぐには病院にかかれない場合があります。風邪でもインフルエンザでも。
そんな時でも、知識を持ち、基本の対処法を心得ていれば冷静に、次に何をすればいいか考える余裕が出来ます。
免疫力を高めて、この時期を乗り越えましょう。